【解説】ウクライナ ヘルソン奪還 プーチン氏に政治的ダメージ

ゼレンスキー大統領は、ロシア軍が撤退を表明した州都ヘルソン市にウクライナ軍の一部が入ったと述べ、南部の重要拠点を奪還する勢いを見せています。

「ウクライナ軍!」。「ヘルソンはウクライナだ!」。
ヘルソン市内の広場で市民たちが喜び合っています。
ヘルソン州は8年前、ロシアが一方的に併合したクリミア半島の北に隣接し、今回の侵攻における南部や黒海沿岸地域の戦略的な要衝です。

一方、撤退を余儀なくされているロシア軍。兵士たちの間での渦巻く不満の声が表面化しています。
「おい大佐、ちゃんと説明しろよ。なんでこんなめちゃくちゃなんだ」。
「まるで犬のように野原に放り出された。情報もない。指揮官もいない。敵も味方もどこにいるか分からない」。

ロシアの安全保障に詳しい防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんは、もちろん政治的ダメージは少なくないが、プーチン大統領にとって決定的な痛手にはならないようにしたとみている。

またロシア軍は、戦場で逃げようとする兵士を強制的に戦わせるため、「督戦隊」と呼ばれる専門の部隊を編成して、戦場で味方兵が逃亡・降伏したら銃撃すると脅しているとみられるとしています。

予備役から動員された戦闘意欲に欠ける兵士を強制的に従軍させ、冬の戦いも見据え長期戦に持ち込みたい考えのプーチン氏の今後の思惑を兵頭さんが解説します。

(動画は14分18秒。動画はデータ放送ではご覧になれません)