【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(12日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる12日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア軍の黒海艦隊攻撃 ウクライナ側が関与を示唆

ウクライナ大統領府は、ロシアが一方的に併合した南部クリミアに駐留するロシア軍の黒海艦隊に対する先月29日の攻撃について11日の声明で「無人水上艇による攻撃が行われた」として初めて関与を示唆しました。

声明でウクライナ大統領府は、無人水上艇による攻撃がロシア側の艦艇3隻に命中したとしたうえで「ロシアは海における確固とした優位性を失った」としています。

この攻撃をめぐってロシア側はウクライナ軍の「無人機」による攻撃を受けたと主張し、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の履行を一時的に停止しましたが、ウクライナ側は関与を明言していませんでした。

“世界初”の「無人水上艇の艦隊」編成計画も

今回の声明でも無人水上艇の攻撃がウクライナ軍によるものかは言及していませんが、今後、ロシア海軍の艦艇に対抗するため、世界初だとする「無人水上艇の艦隊」を編成する計画があるとしています。

計画ではゼレンスキー大統領が立ち上げたクラウドファンディングのサイトで寄付を募り、無人水上艇の製造資金に充てるとしていて100隻の製造を目指すということです。

ウクライナ軍 ヘルソン入りで奪還の勢い

ウクライナのゼレンスキー大統領は、南部ヘルソン州の州都に軍の一部が入ったとアピールし、ロシアが侵攻直後から支配してきた南部の重要拠点を奪還する勢いを見せています。

南部のヘルソン州をめぐり、ロシア国防省は、11日、州都ヘルソンを含むドニプロ川の西岸地域から3万人以上の兵士や軍装備などすべてを対岸の東側に撤退させたと主張しました。

ウクライナ外相「ヘルソンのロシア軍撤退は1つの勝利の証し」

ウクライナのクレバ外相は訪問先のカンボジアで12日、記者会見し、南部ヘルソン州の州都を含む地域からのロシア軍の撤退について「解放された地域の住民がウクライナ軍が戻ってきたことを歓喜の涙で歓迎し、ウクライナの国旗がこの地域に掲げられたことはロシアとの戦いの1つで勝利したことの証しだ」と述べました。

そのうえで「戦争はまだまだ続くが、ウクライナの人々の士気はとても高い。われわれは領土を侵略した敵と戦い、兵士たちは領土を解放し続ける。ウクライナがこの戦争に打ち勝つことに疑問の余地はない」と述べ、徹底抗戦の姿勢を改めて強調しました。

ゼレンスキー大統領「歴史的な日だ」

ゼレンスキー大統領は11日夜に声明を出し「きょうは歴史的な日だ。われわれは、ヘルソンを取り戻しつつある」としたうえで、「軍の部隊がヘルソンに向かっていて、特殊部隊についてはすでに市内に入っている」と述べました。

一方で、ゼレンスキー大統領はロシア軍が多くの地雷や爆発物を仕掛けて撤退していて、安全確保を進める必要があるとしています。

また、ウクライナ側は対岸の東側に撤退しきれなかった多くのロシア軍兵士が、民間人の服に着替えてとどまっているという認識を示していて、ヘルソン市内に残っているとされるロシア軍の兵士に投降するよう呼びかけました。

ウクライナ軍は、ロシア軍の動向を警戒しながらもロシア側が侵攻直後から支配してきた戦略的な要衝の州都ヘルソンの奪還に向けて勢いを増しているものとみられます。

ウクライナ外相 ヘルソンの西の町の状況をツイッターに投稿

ウクライナのクレバ外相は、11日、ツイッターにヘルソンの西、およそ10キロの町で撮影されたとする動画を投稿しました。

動画では住民が「ロシアは永遠にここにいる」と書かれたポスターを剥がそうとしている様子が写されています。

そのうえでクレバ外相は「ウクライナはさらなる重要な勝利を収めつつある。ロシアが何を言おうが何をしようが、ウクライナが勝利する」とコメントしています。

州都ヘルソン 多くの市民が広場に集まり喜び合う姿

ロイター通信が配信したヘルソンで撮影されたとする複数の映像では、広場に多くの市民が集まりウクライナの国旗が掲げられる様子や「ヘルソンはウクライナだ」などと声を上げたりして喜びを分かち合う様子が映されています。

また、ヘルソンから北西におよそ20キロの場所にある集落では、ロシア軍が倉庫として使っていたとされる建物で大量の砲弾や衣類などを残したまま撤退したことが伝えられています。

ロイター通信は住民の話として、およそ100人のロシア兵が8か月間にわたりこの集落を占領して住民の殺害や略奪を行い、9日の夜、戦わずに撤退したと伝えています。

ロシア軍 住民に兵士紛れ込んでいた可能性も

一方、ウクライナ側は、ロシア兵の一部が民間人を装ってヘルソン市内に潜んでいるとして警戒を続けるとともに、投降するよう呼びかけています。

こうした中、ドニプロ川にかかる複数の橋が損傷しているのが確認され、戦況を分析するイギリス国防省は12日「ロシア軍が撤退する過程で破壊した可能性が高い」という見方を示しました。

また、ロシアのショイグ国防相が今月9日に撤退を命じてから撤退完了の発表まで、わずか2日間だったと指摘したうえで、先月下旬以降ヘルソンの住民を強制的に退避させる過程で、住民に紛れ込んで兵士が避難していた可能性を指摘しました。

ウクライナ外相 ASEANとの関係強化強調

カンボジアで開かれているASEAN=東南アジア諸国連合の一連の会議に参加しているウクライナのクレバ外相はASEAN各国との個別の協議を通じて、ウクライナへの支援を求め、関係の強化を強調しました。

ウクライナのクレバ外相はカンボジアの首都プノンペンで開かれているASEANの一連の会議に今月8日からオブザーバーとして参加していて、12日、記者会見しました。

クレバ外相は今回の訪問について「ASEANの各国と政治や食料安全保障などの分野で関係を深めることができた」と述べ、ウクライナへの支援を求めるとともに関係の強化を強調しました。