トルコ大統領 中央アジア各国の首脳会議に 影響力拡大ねらいか

トルコのエルドアン大統領は、ロシアが勢力圏とみなす中央アジアのウズベキスタンを訪問し、各国との首脳会議に臨みました。中央アジアの一部の国がウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアと距離を置く姿勢を見せる中、文化的にも近いこの地域で影響力を一層拡大するねらいとみられます。

トルコのエルドアン大統領は、文化的、歴史的にも近い中央アジアのウズベキスタンを訪れ、11日に中央アジア各国などと構成する「チュルク諸国機構」の首脳会議に初めて出席しました。

この中で、エルドアン大統領は「カスピ海の利用を拡大して中央アジアとの貿易量を増やす」と述べ、中央アジア各国などと自由貿易の枠組みを創設する重要性を訴えました。

また、ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領は、ウクライナ情勢を念頭に、各国が深刻な対立や経済危機に直面しているとしたうえで、トルコなどとの連携の必要性を強調しました。

旧ソビエトの中央アジアは、ロシアが勢力圏とみなす地域ですが、中央アジアの一部の国はウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアと距離を置く姿勢を見せています。

エルドアン大統領としては、これまでも中央アジア各国と関係強化を図ってきましたが、ウクライナ情勢を受けた地政学上の変化もにらみながら、この地域で影響力を一層拡大するねらいとみられます。

中国やEUなども関与強める動き

ロシアが勢力圏とみなす中央アジアに対しては、トルコ以外にも中国やEU=ヨーロッパ連合なども関与を強める動きを見せています。

中国の習近平国家主席は、ことし9月にカザフスタンとウズベキスタンを訪れました。

このうちカザフスタンでは、習主席は、みずからが提唱した巨大経済圏構想「一帯一路」に触れ、「両国による協力の基礎は強固で、潜在力も大きい」などと述べました。

また、先月下旬には、EU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領もカザフスタンを訪れ、中央アジア5か国と初めて首脳級の会談を行いました。

さらに、EUの外相にあたるボレル上級代表が来週、ウズベキスタンを訪問し、EUと中央アジアの貿易を促進させるための会議に出席する予定です。

ロシアは、旧ソビエトの中央アジアを勢力圏とみなして安全保障や経済面などで関係を強化していて、プーチン大統領は、ことし6月、軍事侵攻後最初の外国訪問として、タジキスタンとトルクメニスタンを訪れています。

中央アジアの一部の国は、同じ旧ソビエトのウクライナに軍事侵攻したロシアと距離を置く姿勢を見せるなど、ロシアの求心力の低下も指摘される中、トルコや中国、それにEUなどが中央アジアに対する関与を強める動きを見せています。