【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(10日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる10日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

G20首脳会議 プーチン大統領 対面での出席を見送り

インドネシアで来週開かれるG20=主要20か国の首脳会議について、ロシア大統領府は、プーチン大統領が対面での出席を見送り、ラブロフ外相を派遣する予定だと明らかにしました。

インドネシアが議長国を務めるG20=主要20か国の首脳会議は、今月15日と16日にバリ島で開かれ、ウクライナ情勢を背景にした食料やエネルギーの安全保障などについて議論が交わされる見通しです。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は10日、ロシアの複数の通信社に対して、プーチン大統領が、首脳会議への対面での出席を見送り、ラブロフ外相を派遣する予定だと明らかにしました。

プーチン大統領が現地を訪問しない理由については伝えられていません。また、インドネシアの複数のメディアによりますと、首脳会議の運営を統括するルフット海事・投資担当調整相も「プーチン大統領は出席せず、ラブロフ外相を派遣すると伝えてきた」と述べたということです。

G20の首脳会議には、アメリカ政府がバイデン大統領の出席を発表していて、ウクライナ情勢を巡ってアメリカとロシアの対立が深まる中、プーチン大統領が対面で出席するかどうか、動向に関心が集まっていました。

松野官房長官 戦闘参加の日本人死亡の情報 “事実関係を確認中”

松野官房長官は、ロシア軍との戦闘に参加するためウクライナに入ったとみられる日本人が死亡したという情報がSNS上に投稿されているとして、事実関係の確認を行っていることを明らかにしました。

松野官房長官は午前の記者会見で、記者団が「SNS上に、ウクライナでロシア軍との戦闘に参加する『義勇兵』の日本人が死亡したという情報があるが把握しているか」と質問したのに対し「情報は承知している」と述べました。

そのうえで、現在、在ウクライナの日本大使館が事実関係の確認を行っていることを明らかにしました。そして国民に対し「政府としてはウクライナ全土に退避勧告を出しており、どのような目的であっても渡航はやめてほしい。すでに滞在している人は、安全を確保したうえで、ただちに待避してほしい」と呼びかけました。

ゼレンスキー大統領「非常に慎重に動いている」

ウクライナのゼレンスキー大統領は9日、新たな動画を公開し、ロシア軍がウクライナ南部の戦略的な要衝、ヘルソンから軍の部隊を撤退させるよう命じたことについて「きょう、情報空間には多くの喜びがあり、その理由は明らかだ。しかし、感情は控えめでなければならない」と述べました。

そのうえで「われわれは損失を最小限に抑え国土のすべてを解放するため、非常に慎重に動いている」と述べ、ロシア側の動きを見極めながらヘルソンの奪還に向けて慎重に部隊を進めていると強調しました。

さらにゼレンスキー大統領は「いま最も激しい衝突は東部ドネツク州で起きている。われわれは立ち向かい、何ひとつ譲らない」として、南部だけでなく東部でも反転攻勢を続ける姿勢を示しました。

プーチン大統領の側近がイランを訪問

ロシアのプーチン大統領の側近、パトルシェフ安全保障会議書記はイランを訪問し、9日、ライシ大統領などと会談しました。ロシア側の発表によりますと、会談では「安全保障分野における両国間の協力や国際問題について議論が交わされた」ということです。

また、イランの国営通信は、ライシ大統領が、欧米に対抗してさまざまな分野で戦略的な協力関係を強化する考えを示したと伝えています。ただ、ライシ大統領は「戦争が拡大することをすべての国が懸念している」とも述べたとしていて、ロシアとの軍事協力に国内外から批判が出ていることに配慮したとみられます。

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍が深刻な兵器不足に陥っているとされる中、今月5日、イランがロシアに無人機を供与したことを認めるなど、両国は急速に接近しています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は8日、今回の会談について「イラン製の弾道ミサイルをロシアに売却する可能性について協議するとみられる」と指摘していて、具体的にどのようなやり取りがあったのかに関心が集まっています。

ウクライナ 穀物の保管場所が不足 FAOが支援

ウクライナでは、ロシア軍の攻撃で破壊されるなどして穀物の保管場所が不足する中、FAO=国連食糧農業機関が、各地の農家に穀物を一時的に保管するための大型の袋の配付を進めています。

FAOによりますと、ウクライナではロシア軍による穀物貯蔵施設への攻撃や、南部の港からの輸出が再開後も滞っていることなどから、1600万トン分の穀物の保管場所が不足しています。

このため、穀物を廃棄せざるを得ない農家も出ていて、FAOは、ウクライナ各地の農家を支援するため、穀物を屋外でも一時的に保管できる大型の袋の配付を進めています。
袋は、幅3メートル、長さ60メートルで、1つあたり200トンの穀物を数か月間、保管できるということです。

この取り組みには日本やカナダなどが資金を支援していて、今後、およそ700万トンの穀物を保管できるようになるということです。

ヘルソン州支配の親ロシア派勢力幹部 交通事故で死亡

ウクライナ南部ヘルソン州を支配する親ロシア派勢力のトップは9日、幹部の1人、ストレモウソフ氏が交通事故で死亡したと、SNSで明らかにしました。ロシアの国営メディアも、ストレモウソフ氏の死亡について速報で伝えましたが、詳しい状況はわかっていません。

ストレモウソフ氏は、ロシアによるウクライナ侵攻以降、ロシアの立場を正当化するプロパガンダをSNSを通じて積極的に発信していました。

ロシア国防相 ウクライナ南部ヘルソン州州都からの撤退命令

ロシアのショイグ国防相は、プーチン政権が一方的な併合に踏み切ったウクライナ南部ヘルソン州の州都を含むドニプロ川の西岸地域から軍の部隊を撤退させるよう命じました。ロシア軍がウクライナ侵攻直後のことし3月から掌握していた戦略的な要衝からの撤退となれば、戦況は重大な局面を迎えることになりそうです。

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアの国防省は9日、戦況をめぐる会議を開き、その映像を公開しました。

この中で軍事侵攻の指揮を執るスロビキン総司令官は、ウクライナ南部のヘルソン州について、州内を流れるドニプロ川の西岸地域にとどまる部隊が孤立するおそれが出ているとしたうえで、川の東側で防衛を固めるのが最善の選択だと報告しました。

これを受けてショイグ国防相は「部隊の撤退を進め、川を渡る人員や武器、装備の安全な移送を確保するためあらゆる措置に着手せよ」と述べ、州都ヘルソンを含むドニプロ川の西岸地域から軍の部隊を撤退させるよう命じました。

ロシア軍は、ウクライナ侵攻直後のことし3月、ヘルソン州の全域を完全に掌握したと主張し、プーチン政権が9月にヘルソン州など4つの州の一方的な併合に踏み切りました。

これに対し、領土奪還を目指すウクライナ軍は反転攻勢を強め、州都ヘルソンに向けて部隊を進めていました。

ロシア軍が戦略的な要衝のヘルソンから撤退するとなれば、戦況は重大な局面を迎えることになりそうです。