子どもは手すりを乗り越える!転落事故を防ぐには?

今月、幼い子どもが自宅のベランダや出窓から誤って転落したとみられる死亡事故が相次ぎました。痛ましい事故をどうすれば防ぐことができるのでしょうか?

(大阪放送局 こどものキケン取材班)

2歳の男の子が相次いで…

今月5日、大阪・豊中市の集合住宅の4階に住む2歳の男の子が敷地内で倒れているのが見つかり、その後、死亡しました。

自宅の部屋の出窓は開いていて、出窓の下にはベッドが置かれていたということです。

警察は男の子がベッドに乗った状態で、窓から身を乗り出して転落した可能性があるとみて、詳しい状況を調べています。

その3日前。
今月2日には千葉市にある高層マンションの25階から2歳の男の子が転落して亡くなりました。

ベランダから誤って転落したとみられています。

子どもの転落事故はこれまでも起きていて消費者庁によると、令和2年までの5年間に、建物から転落して亡くなった9歳以下の子どもは21人。

このうちベランダでは8人、窓からは4人が転落しています。

安全基準を超える手すりも乗り越える

最新の調査で、幼い子どもは安全基準を超える高さのベランダの手すりを乗り越えることも分かっています。

子どもの事故防止に取り組むNPOなどが去年、京都府と神奈川県の保育園で3歳から6歳の子ども合わせて116人を対象に実験を行いました。

建築基準法で安全基準として定められている2階以上のベランダの手すりの高さは1メートル10センチ。

それを超える1メートル20センチから1メートル40センチまでの柵を準備し、子どもが足場なしでも乗り越えられるかどうか検証しました。
その結果、3歳の6割以上が、1メートル20センチの柵を乗り越えました。
また5歳の7割以上が、1メートル40センチの柵を乗り越えました。

その時間は、平均でわずか10秒ほどだったということです。
実験を行ったNPO法人「Safe Kids Japan」の大野美喜子理事は「ベランダの柵がどんなに高くても転落防止にはならない。さらに2歳ぐらいになると自分でいすを持ってきて足場をつくり乗り越えることができる。事故を防ぐには、子どもだけでベランダに出ない工夫が重要だ」と指摘しています。

「窓を開けて柵をよじ登って…」

子どもの転落事故について、街の人はどう感じているのでしょうか。
ヒヤリとした経験があるという人もいました。
5歳の子どもがいる母親は「子どもが3歳の頃、子ども部屋で1人で遊んでいて静かだと思ってのぞいたら、窓を開けて、柵をよじ登っていました。子どもはできないと思っていたことも、意外と勝手にやってしまっている」と話していました。

また、4歳と0歳の子どもがいる母親は「下の子にかまっている間に上の子に目が行き届かないことがあります。ベランダには物を置かないようにしています」と話していました。

ほかにも、6歳と3歳、0歳の子どもがいる母親は「子どもにベランダは危険な場所だと言い聞かせています。自分が家にいる時に事故にあうのは1番苦しくて悲しいから気をつけないといけないと思っています」と話していました。

私は3階から転落したことが…

子どものころ3階から転落した経験がある女性からも話を聞くことができました。

茨城県の40代の女性は、小学1年生の時に、放課後、児童館の内にあるらせん階段の手すりにまたがってすべろうとしたところ、誤って3階から地面に転落したということです。
当時の状況について女性は「運よくお尻から落ちて、大きなけがはなかったですが、命を落としていたかもしれません。まさか落ちるとは思っていなかったので、どこか痛いというよりは、びっくりしたことを覚えています。すぐに大人たちも心配して駆け寄ってきて、怒られると思い、とっさに『2階部分から落ちた』とうそをつきました」と振り返りました。

当時は、小学校の階段で手すりをまたいですべることがはやっていたため、危険性を考えずに遊んでしまったということです。

その後、大人になり、2人の子どもがいますが、子どもが小さい時はベランダにはのぼれるような物を置かず、子どもから目を離さないようにしていたということです。
女性は「子どもは危険を考えずに好奇心で動いてしまう。特に親が見ていないところで何かしようとしたりするので、大人の側が危険を予測して対応する必要がある」と話していました。

防犯グッズが転落防止グッズに

子どもの転落事故が相次ぐ中、注目されているのが二重ロックです。

大阪・生野区の会社では、およそ30年前から外から人が侵入するのを防ぐ防犯グッズとして「補助錠」を販売しています。

しかし、3年ほど前からは子どもや認知症のお年寄りが気付かないうちに外に出ることがないようにしたいといった問い合わせが増えているといいます。
この会社では窓の周りにつける補助錠をおよそ10種類扱っていて、鍵をかけた「つまみ」を外せるものや、子どもが届きにくいように窓の上のほうに取り付けられるものもあります。
ノムラテックの巽祐一郎常務取締役は「お住まいの環境を正しく見極めてもらったうえで対策をしてほしいと思います。もちろん、商品を使わなくてもよい世の中になってほしいと思いながら、開発を進めています」と話しています。

ただ、こうした補助錠、広く知られているとまではいえません。

消費者庁が子どもの安全などについて、ことし6月から7月にかけて15歳以上の男女5000人を対象に行ったインターネットのアンケート調査では、転落事故の対策として窓が大きく開かないよう補助錠を付けていたのは1割余りでした。

半数近くは、対策として補助錠を使うことを知らなかったと答えたということです。

子どもから目を離さないようにすることは大切ですが、一日中ずっと見続けるというのはかなり大変です。
NPO法人「Safe Kids Japan」の大野美喜子理事は「幼い子どもは10秒くらいでベランダの柵を乗り越えてしまうので、ちょっと目を離しただけでも悲しい事故が起こる。子どもには、ベランダや窓は危ないと日頃から言い聞かせること。まだ分別が付かない幼い子もいるので、子どもだけでベランダに出られないような工夫が何より重要だ」と指摘しています。

子どもキケン情報をお寄せください

NHK大阪放送局では、特設サイト「こどものキケン」で注意点などについてお伝えしています。

子どもとの日々の生活の中でひやっとした体験なども募集しています。

こちらのリンク先の投稿フォームから情報をお寄せください。