
五輪汚職事件 賄賂の総額は2億円近くに 背景は?どう防ぐ?
東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー契約をめぐる汚職事件。
東京地検特捜部は9日、組織委員会の元理事を受託収賄の罪で追起訴し、賄賂の総額が2億円近くに上るとされる一連の事件の捜査は大きな区切りを迎えました。
問題の背景は何だったのか。オリンピックの歴史に詳しく、組織委員会の理事を務めた中京大学の來田享子教授に話を聞きました。
最新の動きとともに詳しくお伝えします。
五輪組織委の元理事 4回目の起訴 賄賂総額2億円で捜査に区切り
事件の詳しい構図や経緯はこちら
【事件について】
Q.事件が与えた影響は?

A.少なくとも日本国内では今、オリンピックの価値は大きく傷ついている。
さらに残念なのは、国際社会から見た日本の価値も傷ついているということだ。
コロナの対応が国際社会で比較的きちんとしていたと評価されていただけに、大前提のところが何でできていないんだということになる。
これを取り戻すことの意味は非常に重要で必要とされる。
また、アスリートの立場からすればアスリートは被害者で価値を損ねられたといえる。
スポーツ界はアスリートの価値を毀損しないための対策を取らなければならない。
さらに残念なのは、国際社会から見た日本の価値も傷ついているということだ。
コロナの対応が国際社会で比較的きちんとしていたと評価されていただけに、大前提のところが何でできていないんだということになる。
これを取り戻すことの意味は非常に重要で必要とされる。
また、アスリートの立場からすればアスリートは被害者で価値を損ねられたといえる。
スポーツ界はアスリートの価値を毀損しないための対策を取らなければならない。
Q.事件の問題点や背景、対策が必要だった点は?

A.専門性の高い人たちを集めて組織を作っているが、専門家たちに公明正大に活動してもらうための前提となる仕組みをきちんと作っていなかったことで、今回のように得をしようとする人が出てきた時に、その人が、それができる感覚になった。
事前にやっていいことと悪いこと、倫理的な確認をきちんとできていたかというと、十分ではなかったかもしれない。
なすべきことはあった。
▽1つ目に、倫理的な研修を理事も職員も分かっていてもやり続けることが大事だった。
▽2つ目は、何を守るべきかという倫理憲章のようなものがあったか確認をする必要があった。なければ問題だし、あったとしても機能していなかったのか、確認が必要だ。
▽3つ目に、専門部署の中で公平な立場でものごとが進むようになっていたか。ある特定の人の権力が大きく作用する構造になっていなかったかチェックすべきだった。
▽最後に、自分たちは正しくやっているつもりでも、周りから見たらそう見えない状況が知らず知らずに起きていないかチェックする第三者機関を置く必要があった。
事前にやっていいことと悪いこと、倫理的な確認をきちんとできていたかというと、十分ではなかったかもしれない。
なすべきことはあった。
▽1つ目に、倫理的な研修を理事も職員も分かっていてもやり続けることが大事だった。
▽2つ目は、何を守るべきかという倫理憲章のようなものがあったか確認をする必要があった。なければ問題だし、あったとしても機能していなかったのか、確認が必要だ。
▽3つ目に、専門部署の中で公平な立場でものごとが進むようになっていたか。ある特定の人の権力が大きく作用する構造になっていなかったかチェックすべきだった。
▽最後に、自分たちは正しくやっているつもりでも、周りから見たらそう見えない状況が知らず知らずに起きていないかチェックする第三者機関を置く必要があった。
【汚職事件に関する資料の公開について】
都議会で追及も 都は情報公開に応じず

9日には都議会のオリンピック・パラリンピック特別委員会が開かれ、大会をめぐる汚職事件に関連した契約書や契約料などが非公開となっていることについて、複数の委員から「開示できないのか」といった質問がありました。
これに対し都の担当者は「事業情報などの守秘義務が課されているものや個人情報が含まれているものがあり、閲覧には裁判所の許可が必要になる」などとして公開は難しいとの見解を示しました。
これに対し都の担当者は「事業情報などの守秘義務が課されているものや個人情報が含まれているものがあり、閲覧には裁判所の許可が必要になる」などとして公開は難しいとの見解を示しました。
Q.資料の公開については?

A.スポーツ団体は、東京大会の組織委員会の資料などを見ていかなければいけないが、現段階ではスポーツの大会でありながら、スポーツ界が今後どうすればよいかを知るために必要な今回の汚職事件に関連する部分の資料が公開されていないため、非常に問題があると言わざるをえない。
スポーツ団体は資料を入手して、今後どうするかを考えなければいけないが、そのための材料を何も得られないことになれば困難だ。まず、これを解決しなければならない。
スポーツ団体は資料を入手して、今後どうするかを考えなければいけないが、そのための材料を何も得られないことになれば困難だ。まず、これを解決しなければならない。
【今後の国際大会の招致について】
スポーツ庁 大会運営組織の指針を策定へ
今回の事件を受けてスポーツ庁はJOC=日本オリンピック委員会などとともに、大規模なスポーツ大会での運営組織の在り方などを定めた指針を策定し、再発防止につなげたいとしています。
招致を目指す札幌市 市民から不安や懸念の声

2030年冬のオリンピック・パラリンピック招致を目指す札幌市には、多くの市民から開催への不安や懸念が寄せられています。
札幌市スポーツ局の梅田岳局長は、今後の招致活動について「スポーツ庁やJOC=日本オリンピック委員会などとスポーツ界全体の問題として対策を講じていかなければならない。どういった点に問題があって、どういう対策をとれば防ぐことができるのか、具体的に検討し発信していきたい」と述べ、市民に対し丁寧に説明を続けていきたいという考えを示しました。
札幌市スポーツ局の梅田岳局長は、今後の招致活動について「スポーツ庁やJOC=日本オリンピック委員会などとスポーツ界全体の問題として対策を講じていかなければならない。どういった点に問題があって、どういう対策をとれば防ぐことができるのか、具体的に検討し発信していきたい」と述べ、市民に対し丁寧に説明を続けていきたいという考えを示しました。
Q.今後、国際大会の招致に向けて取り組むべきことは?

A.自分たちの組織の内部で、何をやってよくて何をやってはいけないか、検証可能なガイドラインをはっきりさせて、そのうえで組織内部でチェックする仕組みを確立することが大事だ。
さらに、組織の外にもそういう組織を作ることをスポーツイベントを招致するときの絶対的な条件にすることだ。
それがあって初めて大会を招致できるスタートラインになったと考えるべきだ。
さらに、組織の外にもそういう組織を作ることをスポーツイベントを招致するときの絶対的な条件にすることだ。
それがあって初めて大会を招致できるスタートラインになったと考えるべきだ。