【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(9日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる9日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領側近がイラン訪問 弾道ミサイル売却めぐり協議か

ロシアの国営メディアは、9日、プーチン大統領の側近、パトルシェフ安全保障会議書記がイランを訪問していると伝えました。

イランの国防や外交政策を統括する最高安全保障委員会のシャムハニ事務局長などと会談するということです。

この訪問についてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は8日、「イラン製の弾道ミサイルをロシアに売却する可能性について協議するとみられる」と指摘しました。

イランは、これまでロシアに無人機を供与したことを認めていて、ロシアとしては、深刻な兵器不足に陥っていると指摘されるなか、イランからさらに兵器の供与を受け、戦力の立て直しにつなげたい狙いもあるとみられます。

米 核軍縮条約に基づく査察再開に向け ロシアと協議で合意

ロシアはことし8月、アメリカとの核軍縮条約「新START」に基づく関連施設への査察活動について、ウクライナ情勢をめぐるアメリカの制裁措置によってロシアの査察官が渡航することが難しくなったなどと主張し、一時的にアメリカ側の査察の受け入れを停止すると発表しました。

これについてアメリカ国務省のプライス報道官は8日、記者会見で、査察の再開に向けてロシア側と協議することで合意したと明らかにし「協議は近く行われる」と述べました。

そのうえで「われわれは、こうした協議を通じてリスクの軽減に力を入れてきた」と述べ、不測の事態を防ぐためにも核大国の米ロ両国が対話のチャンネルを開いておくことは重要だと強調しました。

一方、プライス報道官は、米ロの協議では「ウクライナの問題も取り上げられるのか」と質問されたのに対し「ウクライナ抜きでウクライナの話はしない」と述べ、あくまでも米ロの核軍縮問題が話し合われると強調しました。

スウェーデン NATO加盟巡りトルコと首脳会談

北欧のスウェーデンは、ロシアによるウクライナへの侵攻を受けて軍事的中立を転換し、ことし5月、フィンランドとともにNATOへの加盟を申請しました。

NATO加盟には30の加盟国すべての批准が必要で、これまでに28か国が批准していますが、とりわけ批准に難色を示してきたトルコの対応が焦点となっています。

こうした中、9月の総選挙を経て先月就任したスウェーデンのクリステション新首相が8日、トルコを訪れエルドアン大統領と初めて会談しました。

トルコは、テロ組織と見なす少数民族のクルド人武装組織などをスウェーデンが支援していると主張し、テロ対策を講じるなどの条件付きで加盟を認める姿勢を示しています。

会談後の会見でクリステション首相は「トルコの将来的な同盟国としてテロリストに立ち向かうという約束を果たす」と述べ、トルコ側の要求に柔軟に応じる姿勢を示しました。

一方、エルドアン大統領は、武装組織のメンバーの引き渡しなどの対応を求めました。

そして両首脳は今後、具体的な協議を進めることで一致し、今月末にもフィンランドを交えた実務者どうしの会合を開くことになりました。

ウクライナ軍反転攻勢続く

ウクライナ軍は、東部ドネツク州や南部ヘルソン州で、占拠された領土の奪還を目指して反転攻勢を続けていて、ゼレンスキー大統領は7日、ドネツク州を中心に、ロシア軍への反撃を強めていることを明らかにしました。

また、ロシア側との停戦交渉の再開についてゼレンスキー大統領は「ウクライナの領土の回復や、戦争によって生じたすべての損害に対する賠償、戦争犯罪者の処罰などが条件になる」と述べ、現時点で交渉の再開に応じる用意はない姿勢を強調しました。

「COP27」でゼレンスキー大統領「平和なくして対策なし」

2日間にわたって開かれた気候変動対策を話し合う国連の会議「COP27」の首脳級会合の最後に、会場ではウクライナのゼレンスキー大統領のビデオメッセージの映像が流されました。

ゼレンスキー大統領は「ロシアによる軍事侵攻は、世界的なエネルギー危機を招き多くの国に石炭火力による発電所の再開を余儀なくさせた」と述べ、軍事侵攻が温室効果ガスの排出量が多い石炭への回帰の原因になっていると批判しました。

そのうえで「平和なくして有効な気候変動対策はない。ロシアが銃を置き、ミサイルをしまうことで、私たちはようやく気候災害から身を守ることができるようになる」と述べ、世界が一致して気候変動に向き合うためにはロシアによる軍事侵攻を今すぐ止めなければならないと強調しました。

G20ゼレンスキー大統領オンライン参加へ プーチン大統領欠席か

11月15日からインドネシアのバリ島で開かれるG20サミットは、ウクライナ情勢への対応も議論される見通しで、議長国インドネシアは、メンバー国ではないウクライナのゼレンスキー大統領も招待しています。

これについて、ウクライナの大統領報道官は、8日、地元メディアに対し「ゼレンスキー大統領は何らかの形で出席するだろう」と述べたうえでオンラインで参加する見通しを示しました。

一方、プーチン大統領のG20サミットへの出席をめぐって、ロシアの有力紙ベドモスチは8日、大統領府に近い関係筋や外交筋の話として、対面での出席を見送るものとみられ、ラブロフ外相が現地に向かう見通しだと伝えています。

英国防省「ロシアがマリウポリ周辺に防御用構造物設置か」

戦況を分析しているイギリス国防省は8日「ロシアが、占領を続けるマリウポリの周辺に『竜の歯』と呼ばれる防御用の構造物の設置を始めた」と指摘しました。「竜の歯」は、戦車などの移動を妨害するため、コンクリートなどで造られた構造物で、「ロシアが前線の後方深くに、必死に防衛ラインを築こうとしていることを示唆している」と分析しています。

ロシア ショイグ国防相が指揮所を視察 軍の引き締め図るねらいか

ロシア国防省は8日、ショイグ国防相が軍事侵攻の作戦指揮を執る指揮所を視察し、スロビキン総司令官から戦況や動員された予備役の待遇などについて報告を受けたとする映像を公開しました。

ロシア軍では、動員で派遣された予備役500人以上がウクライナ軍の攻撃を受け、一個大隊がほぼ全滅した可能性も指摘されるなど、訓練や装備が不十分な中で前線に送られた予備役の戦死者が相次いでいて、士気の低下が伝えられる中、軍の引き締めを図るねらいもあるとみられます。

ゼレンスキー大統領 停戦交渉の再開は領土の回復が条件と強調

ウクライナ軍は、ロシアに対して各地で反転攻勢を続けていて、ゼレンスキー大統領は、ロシアとの停戦交渉の再開にはあくまで領土の回復が条件だとする姿勢を強調しました。

ウクライナ軍は、東部ドネツク州や南部ヘルソン州で、占拠された領土の奪還を目指して反転攻勢を続けていて、ゼレンスキー大統領は7日、ドネツク州を中心にロシア軍への反撃を強めていることを明らかにしました。

また、ロシア側との停戦交渉の再開についてゼレンスキー大統領は「ウクライナの領土の回復や、戦争によって生じたすべての損害に対する賠償、戦争犯罪者の処罰などが条件になる」

ロシアとインドの外相が会談 ウクライナ情勢で議論

インドのジャイシャンカル外相が8日、ロシアを訪問し、ラブロフ外相と会談しました。会談後の記者会見でジャイシャンカル外相は、ウクライナ情勢について話し合ったとしたうえで「エネルギーや食料の安全保障への懸念が高まっていて、新型コロナによる厳しい状況に追い打ちをかけている」と述べ新興国への経済的な影響に懸念を示しました。

そのうえで、ロシアによる軍事侵攻について「対話と外交に立ち戻ることを強く求めている。われわれは平和、国際法と国連憲章を尊重する側にある」と述べ、戦闘行為を中止するよう求めました。

一方、ロシアのラブロフ外相はインドとエネルギーや軍事技術などあらゆる分野で協力していくとしてインドを重視する姿勢を改めて強調しました。

両国は伝統的な友好国で、インドにとってロシアは最大の武器の供給元となってきたことから、インドはロシアに対する経済制裁に慎重な姿勢を崩していません。こうした中で、欧米との対立を深めるロシアとしては、インドと協力関係の維持を図りたい考えです。