【詳しく】 皆既月食×天王星食の天体ショー 各地の様子は

【詳しく】 皆既月食×天王星食の天体ショー 各地の様子は
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月全体が徐々に地球の影に覆われる皆既月食が8日夜、全国各地で観測されました。

特に東京近辺から西にかけては、月が地球の影に完全に覆われる「皆既食」中に月の後ろに天王星が入る天王星食も見られました。

皆既食と惑星食が同時に見られるのは日本では442年ぶりで、次回は322年後の2344年の土星食と予想され、極めて珍しい天体ショーとなりました。

各地の様子をまとめました。
※皆既月食、天王星食の仕組みと、見ることができる時間や位置は文末に掲載しています。

天王星が月の後ろへ NHK山口放送局のカメラ映像

山口市にあるNHK山口放送局に設置しているカメラからの映像では、天王星は画面の左下から徐々に月へと近づき、午後8時24分になった時点で月と接しているような状態となりました。

そして20秒余りで月の後ろへと入り込み、天王星は全く見えなくなりました。

滋賀 びわ湖岸 当初は厚い雲も 赤く染まった月が姿見せる

滋賀県大津市のびわ湖岸では赤く染まった月の姿を撮影しようと写真愛好家などが集まりました。

大津市本堅田にある満月寺・浮御堂では、当初、月は厚い雲に覆われていましたが、午後7時10分すぎには赤く染まった月が姿を現しました。

大津市に住むの60代の男性は「幻想的な月が撮影できて良かったです」と話していました。

徳島 阿南 四国最大の反射望遠鏡で皆既月食望む

四国最大の反射望遠鏡がある、徳島県の阿南市科学センターでは、8日午後5時半から皆既月食の観望会が開かれ、およそ90人が集まりました。

午後6時9分ごろから月が欠け始めると、参加者は望遠鏡を交代でのぞいたり、スケッチしたりしていました。

そして午後7時すぎ、月が地球の影に完全に覆われる「皆既食」になると、赤黒くなった月を目にした人たちが「きれい」などと声をあげていました。

参加した阿南市の7歳の男の子は「月が赤っぽく見えてとてもきれいだと思いました」と話していました。

また阿南市の70代の男性は「400年以上前と同じ空を見ることができて非常に感激しています。来て本当に良かった」と話していました。

東京 渋谷 高さ約230メートルの展望施設で観察会

東京・渋谷区にある高さおよそ230メートルの展望施設では観察会が開かれました。

午後7時16分ごろ、月が地球の影に完全に覆われる「皆既食」となると、月は全体が赤黒く見え、訪れた人たちが望遠鏡を使って観察したり、都心の夜景に浮かぶ皆既月食の写真を撮ったりしていました。

母親と横浜市から訪れた中学1年の男子生徒は「望遠鏡で見た皆既月食は赤色が濃い部分と薄いところが分かれていました。次は日食を見てみたい」と話していました。

神奈川 平塚 博物館の屋上に約10人の天文ファン

神奈川県の平塚市博物館の屋上には、およそ10人の天文ファンが望遠鏡やカメラを手にして、集まりました。

集まった人たちは、博物館の学芸員の話を聞きながら、月食が進む様子をスケッチしたり、写真に撮ったりしていました。そして、月の色や明るさが変化していく様子に、驚きの声を上げていました。

観測に訪れた46歳の男性は、「きょうはよく晴れてよかった。月食はそのときどきで色が変わるが、11年前の皆既月食と比べて今回は暗く感じる」と話していました。

JR仙台駅前 スマートフォンを手に夜空を見上げる

仙台市のJR仙台駅では、駅舎の西側に設置されている「仙台駅」の文字の後方に浮かんだ丸い月が午後6時9分すぎから徐々に欠ける様子が見られました。

天体ショーを一目見ようと、駅前には人が訪れスマートフォンを手に夜空を見上げていました。

午後6時半ごろには月は3分の1ほど欠け、夜空が暗くなるのと対照的に「仙台駅」のだいだい色の文字がはっきりと照らされていました。

宮城 気仙沼漁港 月が欠けていく様子はっきり

宮城県気仙沼市の気仙沼漁港では、停泊する漁船の後方に浮かんだ月が午後6時9分ごろから欠けはじめました。

漁船には照明がつけられていますが、明るく輝く丸い月が欠けていく様子が肉眼でもはっきりとみることができました。

アマチュア天文家も心待ち「このチャンスを絶対無駄にしない」

埼玉県春日部市に住む元銀行員の三田明さん(70)は小学生のころから60年以上、天体観測が趣味で、1986年に地球に接近したハレー彗星や20世紀最大級の大きさと明るさを持つ1997年のヘール・ボップ彗星などを撮影してきました。

21年前には自宅の屋上に直径2.3メートル高さ2.6メートルの観測用のドームを設置し撮影した天体の写真をホームページで公開するとともに地域の子どもたち向けの天文教室で指導するなどの活動をしています。

三田さんは、今回の皆既月食と天王星食もこのドームから撮影する予定で、1週間ほど前からカメラと望遠鏡の調整を重ねてきました。暗い天王星の明るさにカメラを合わせると月がうまく写らなくなるため、シャッターのスピードや明るさをうまく調整する必要があり、両方をきれいに撮影するには高い技術が求められます。

8日は、天文ドームの屋根を開けたり、天気に合わせてカメラと望遠鏡を微調整したりして、442年ぶりの天体ショーを待ちわびていました。
三田さんは、「惑星食の中でも天王星食と皆既月食が同時に起こるのは数千年に1回という現象なので、すごく今から楽しみでもあり緊張もしています。自分にとっては初めての出来事なのでこのチャンスを絶対無駄にしないぞという意気込みで取り組みます」と話していました。

皆既月食 天王星食 時間は?方角は?仕組みは?

皆既月食は、月が地球の影に徐々に覆われていき、太陽と地球と月が一直線に並び、月全体が地球の影に完全に覆われます。
完全に覆われた状態を「皆既食」と呼び、その間、月が見えなくなるのではなく、太陽光の一部の赤い光が地球の大気でわずかに屈折して月を照らし、赤黒い色に見えるのが特徴です。
国立天文台によりますと、今回の皆既月食は全国どこでも8日の午後6時9分ごろから月が欠け始め、7時16分から8時42分の間、「皆既食」の状態となり、部分的に欠けた状態を経て、9時49分ごろ明るい満月に戻るということです。

天王星食も同時に 観察には望遠鏡を

また、今回の皆既月食では小笠原諸島を除くほとんどの地域で太陽系の7番目の惑星、天王星が月の後ろに入り込む天王星食が同時に見られます。

国立天文台によりますと、日本で皆既食中に、天王星食のような惑星食が見られるのは、戦国武将の織田信長が活躍した安土桃山時代の1580年以来、じつに442年ぶりです。

こちらは時刻や見え方が地域によって異なり、西日本から東京周辺にかけては皆既食の最中、北海道や東北地方では皆既食が終わったあとの部分的に欠けた状態のときに天王星が月の後ろに入る見込みです。

天王星は肉眼で見えるギリギリの明るさですが、皆既月食の間は月が暗く見えるため、望遠鏡などを使えばよく観察できるということです。

天王星食 各地の予報時刻は

天王星食について、各地の予報時刻は以下のとおりです。

【札幌】
▼潜入開始 午後8時49分 ▽出現開始 午後9時47分

【仙台】
▼潜入開始 午後8時44分 ▽出現開始 午後9時32分

【東京】
▼潜入開始 午後8時41分 ▽出現開始 午後9時22分

【京都】
▼潜入開始 午後8時32分 ▽出現開始 午後9時21分

【福岡】
▼潜入開始 午後8時22分 ▽出現開始 午後9時17分

【那覇】
▼潜入開始 午後8時13分 ▽出現開始 午後8時54分