イラン政府 無人機供与認める ロシアがさらに調達の可能性も

ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍は、東部ドネツク州で攻撃を強めているものの、ウクライナ側は徹底抗戦を続けているものとみられます。こうした中、イラン政府が、これまで否定してきたロシアへの無人機の供与を一転して認め、ウクライナ側は、ロシアがさらに無人機を調達する可能性があると警戒を強めています。

ウクライナ軍が各地で反転攻勢を続ける中、ロシア軍は、プーチン政権が一方的に併合したとする東部ドネツク州で攻撃を強めているものとみられます。

ウクライナ国防省は5日、ロシア軍が、ドネツク州のウクライナ側の拠点の1つ、バフムトなどに向けて攻撃を強めているとしたほか、ゼレンスキー大統領も4日「1週間を通して最も激しい戦闘はバフムトなどに集中している」と明らかにしました。

また、バフムトの副市長は5日、ロイター通信に「敵は複数の方向から街を攻撃し、郊外でも戦闘が続いている。戦闘が激しくなって以降、120人以上の死者が出ている。一部の集落は一時的に占拠され、正確な死者数が分からない地区もある」と厳しい戦況を訴えました。

一方でゼレンスキー大統領は、徹底抗戦を続け、ロシア側に多くの損失が出ていると主張したうえで「東部も南部も国境をすべて取り戻す」と述べ、領土の奪還に改めて強い意欲を示しました。

ドネツク州の戦況についてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は4日、ロシア軍が前線の兵士を増やしても、訓練や補給、指揮の不備から、戦局に大きな影響を及ぼす可能性は低いという見方を示しました。

こうした中、イランの国営通信によりますと、アブドラヒアン外相は5日、記者団に「ウクライナの戦争の数か月前に、限られた数の無人機をロシアに供与した」と述べ、ロシアへの無人機の供与を初めて認めました。イランからロシアへの無人機の供与は、ウクライナや欧米が非難し、アメリカやEUなどがイラン側に制裁を科す措置に踏み切っていますが、イランはこれまで一貫して否定していました。

一方、ウクライナのレズニコフ国防相は4日、記者会見で「ロシアは最初におよそ300機のイラン製の無人機を持ち込み、そのほとんどを使って、民間施設やインフラ施設を攻撃した」と指摘しました。そのうえで「ロシアには1500から2400機が供与される予定だが、まだすべてを受け取っていない」と述べ、ロシアがさらに無人機を調達する可能性があると警戒を強めています。