ウクライナ ロシア軍“撤退示唆”見極め 奪還へ部隊進める考え

ロシア側が占拠してきたウクライナ南部の要衝ヘルソンをめぐって、ロシア軍の部隊が撤退を示唆する動きを見せる一方で、ウクライナ側はその動きを慎重に見極めつつ奪還に向けて部隊を進める考えを示し、攻防が激しくなるとみられます。ゼレンスキー大統領は「東部も南部もすべての国境を取り戻す」と、重ねて奪還への意欲を示しています。

軍事侵攻を続けるロシア軍に対し、ウクライナ軍は各地で反転攻勢を続けていて、このうち南部の戦略的要衝ヘルソンでは、ロシア側が部隊の撤退を示唆する動きを見せています。

ロシアのプーチン大統領は4日、首都モスクワで「ヘルソンの住民は危険な地域から退避する必要がある。住民たちが砲撃など戦闘の被害に遭ってはならない」と述べ、親ロシア派の勢力が進める住民の強制的な退避について正当化したものとみられます。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は4日、「ロシア軍はドニプロ川の西岸からの無秩序な敗走を避けるため、ヘルソン州の北西部で、統制のとれた撤退に向けた準備をしているようだ」という見方を示しました。

一方、ロシア側の動きについて、ウクライナのレズニコフ国防相は4日、記者会見で「情報がわなで、撤退すると言いながら現地で戦闘の準備をしている可能性がある」と述べ、懐疑的な見方を示しました。

そのうえで、ロシア軍の動きを慎重に見極めつつ領土の奪還を目指して部隊を進めていることを強調し、今後、ヘルソンをめぐる攻防が激しくなるものとみられます。

また、ウクライナ国防省によりますと、ロシア軍が東部ドネツク州のウクライナ側の拠点の1つ、バフムトなどで攻撃を強めているということです。

ウクライナのゼレンスキー大統領も4日のビデオ演説で、この1週間、バフムトでロシア軍による激しい攻撃が集中しているとしながら、徹底抗戦しているとして「ウクライナは自由になる。東部も南部も国境をすべて取り戻す」と述べ、領土の奪還に重ねて意欲を示しました。