ウクライナ 南部の要衝ヘルソン ロシア軍撤退を示唆する動き

ロシア軍が占拠してきたウクライナ南部の要衝、ヘルソンについて、ロシア側は部隊の撤退を示唆する動きをみせています。一方、ウクライナ側は、ロシア軍の動きを慎重に見極めたうえで、部隊を進める考えを示していて、ヘルソンを巡る攻防が激しくなるとみられます。

ウクライナ軍は、各地で反転攻勢を続けていて、このうち南部ヘルソン州では、中心都市ヘルソンに向けて部隊を進めているとみられます。

ヘルソン州の親ロシア派幹部は3日、ドニプロ川の西側の、中心都市ヘルソン周辺にいるとみられるロシア軍の部隊について「川の東側へ離れることになるだろう」と発言し、ロシア軍部隊がヘルソン周辺から撤退することを示唆したとみられています。

さらに、この幹部は4日、ヘルソンに残った住民に対し外出禁止令を出すと発表しました。

また、ロシアのプーチン大統領はロシアの祝日「民族統一の日」にあわせて4日、首都モスクワで開かれた式典で、ボランティアの人たちと意見を交わしました。

このなかで「ヘルソンの住民は、危険な地域から退避する必要がある。住民たちが砲撃など戦闘の被害にあってはならない」と述べました。

アメリカの有力紙、ワシントン・ポストは4日、欧米側の当局者の話として「ロシア軍はヘルソンから完全に撤退する準備をしているようだ」として、ロシア軍の撤退をうけ、ウクライナ軍が近く、中心都市ヘルソンを奪還する可能性があると伝えています。

一方、ウクライナのレズニコフ国防相は4日、記者会見で「占領者が本当に撤退するかどうか見極めなくてはいけない。今回の情報がわなで、撤退するといいながら現地で戦闘の準備をしている可能性がある」と慎重に見極める姿勢を示しました。

その上で「ウクライナ軍は少しずつヘルソン州の中に進んでいる」と述べていて、南部の戦略的要衝、ヘルソンを巡る攻防が激しくなるとみられます。