ウクライナ産農産物の輸出が再開 輸出めぐる合意 延長が焦点に

ウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意にロシアが復帰し3日、ウクライナ南部から船が出港し輸出が再開しました。一方、輸出を継続する合意の期限が今月中旬に迫っていますが、ロシアは自国の農産物の輸出が制限されていると批判していて、合意が延長されるかどうかが焦点となっています。

ロシアは先月29日、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の履行を停止すると一方的に表明し世界的な食料危機への懸念が広がっていましたが、ロシアは2日、合意への復帰を発表しました。

3日、ウクライナ南部から農産物を載せた7隻の船が出港し、ロシアが合意に復帰してから初めての輸出となりました。

一方、輸出をめぐる合意は120日ごとに延長され、その期限が今月19日に迫っていて、仲介役のトルコは「延長すべく一層努力する」としてロシアやウクライナと調整を加速させる考えを示しています。

これについてロシア大統領府のペスコフ報道官は3日、「延長について正式に議論しなければならない。総合的に評価し決定する必要がある」と述べました。

ロシアのラブロフ外相も3日、ウクライナからの輸出だけでなくロシア産の農産物も輸出する必要があるものの、制裁の影響でロシアからの輸出が制限されていると批判し、合意が延長されるかどうかが焦点となっています。

一方、ウクライナ軍は支配された領土の奪還に向けて南部ヘルソン州で反転攻勢を強め、中心都市ヘルソンへ部隊を進めているとみられます。

これに対し、ヘルソン州の親ロシア派幹部は3日、国営のロシアテレビで、ドニプロ川の西側の中心都市ヘルソン周辺にいるとみられるロシア軍の部隊について「川の東側へ離れることになるだろう」と述べました。

ウクライナ軍の反撃を前に、ロシア軍が中心都市ヘルソン周辺から撤退することを示唆した可能性もあります。

ただ、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、ロシア軍はドニプロ川の東側に防衛線を築こうとしていると指摘したほか、ウクライナ側はロシア軍が4万人規模の兵士を集結させているという見方も示していてヘルソン州での戦闘はさらに激しくなるものとみられます。

国連事務総長 “輸出再開を歓迎 ロシア産の輸出も必要と強調”

国連のグテーレス事務総長は3日、ニューヨークの国連本部で記者会見し、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意に基づいて輸出が再開されたことを歓迎しました。

そのうえでグテーレス事務総長は「すべての関係者に対し、合意の延長と完全な履行、そしてロシア産の農産物の輸出を妨げる障害を取り除くことに集中的に努力するよう求める。わたしはこれらの重要な目標の達成のために全力で取り組む」と述べ、世界的な食料危機の懸念が高まる中、今月19日が期限となっているウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の延長とともに、ロシア産の農産物の輸出も必要だと強調しました。