【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(11月4日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる4日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

独 ショルツ首相「中国がロシアに対し影響力行使を」

中国を訪れたドイツのショルツ首相は李克強首相と会談を行ったあと共同で記者会見に臨みました。このなかでショルツ首相は「ウクライナへの侵攻を続けるロシアは、国際平和の秩序を危機に陥れている。私は習主席に『中国がロシアに対し影響力を行使することが重要だ』と伝えた」と述べました。

そのうえで、ロシアが核戦力の使用も辞さない構えを示していることについて「習主席と、核による脅しは無責任であり、非常に危険なものだという認識で一致した。核兵器が使用されればロシアは国際社会が引いた一線を越えることになるだろう」とロシアをけん制しました。

中国 習主席「核兵器の使用や威嚇に共同で反対すべき」

中国の習近平国家主席は、4日、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が始まってからG7=主要7か国の首脳として初めて中国を訪れたドイツのショルツ首相と会談しました。

中国外務省によりますと、習主席はウクライナ情勢を巡って「国際社会は核兵器の使用や威嚇に共同で反対すべきだ」と述べました。
その上で「核兵器を使用してはならず、核戦争を行ってはならず、アジアとヨーロッパ大陸で核の危機が発生することを防がなければならない」と強調しました。

ウクライナ情勢を巡っては、ロシアのプーチン政権が核戦力の使用も辞さない姿勢を見せていることに対して、欧米などからは警戒する声が強まっています。習主席としては、ショルツ首相に対して、ヨーロッパ各国が抱く核をめぐる問題に配慮を示すことで、人権問題や海洋進出からヨーロッパで高まる中国への警戒感を和らげるねらいもあるとみられます。

G7外相会合 ウクライナ支援などで共同声明採択の見通し

ドイツで行われているG7=主要7か国の外相会合。最大のテーマは、ロシアによるエネルギー関連施設への攻撃で、国内のおよそ450万人が電気を使えなくなっているとされるウクライナへの支援です。

議長国ドイツのベアボック外相は、ロシアのこうした攻撃を強く非難していて、G7として制裁などを通じて圧力をかけ続けるとともに、ウクライナの人たちが冬を越すための支援について協議したほか、4日は、ウクライナから輸出される農産物に依存するアフリカへの支援についても話し合っています。

G7外相会合は4日、共同声明を採択する見通しで、各国がこれらの問題に引き続き連携して対応する姿勢を強調する方針です。

ウクライナ軍 各地で反転攻勢 南部ヘルソンめぐる攻防が焦点か

ウクライナ軍は、各地で反転攻勢を続けていて、このうち南部ヘルソン州では、中心都市ヘルソンに向けて部隊を進めているとみられます。

一方、ヘルソン州の親ロシア派幹部は3日、ドニプロ川の西側の、中心都市ヘルソン周辺にいるとみられるロシア軍の部隊について「川の東側へ離れることになるだろう」と述べました。ロシア軍がヘルソン周辺から撤退することを示唆したとみられています。

また、ロシアのプーチン大統領はロシアの祝日「民族統一の日」にあわせて4日、首都モスクワで開かれた式典で、ボランティアの人たちと意見を交わしました。

このなかで「ヘルソンの住民は、危険な地域から退避する必要がある。住民たちが砲撃など戦闘の被害にあってはならない」と述べました。

アメリカの有力紙、ワシントン・ポストは4日、欧米側の当局者の話として「ロシア軍はヘルソンから完全に撤退する準備をしているようだ」として、ロシア軍の撤退をうけ、ウクライナ軍が近く、中心都市ヘルソンを奪還する可能性があると伝えています。

一方、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」はロシア軍がヘルソンの対岸となるドニプロ川の東側に、ざんごうを掘るなど防衛線を築こうとしていると指摘しています。

侵攻直後のことし3月にロシア軍が掌握してきた南部の戦略的要衝、ヘルソンをめぐる攻防が焦点となっています。

ウクライナ 約450万人が電気使用できず

ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、動画を公開し、ロシアの攻撃により多くのエネルギー施設が被害を受け、3日夜時点でキーウ州やドニプロペトロウシク州など10の地域で合わせておよそ450万人が電気を使用できない状態にあることを明らかにしました。

そのうえで「ロシアは戦場でウクライナに勝利することができないので、人々の生活を壊そうとしている。ロシアのエネルギーテロに耐え抜くことは、いま国家の重要な課題の一つだ。我々はともに行動しなければならない」と述べ、国民に対して引き続き節電に協力するよう呼びかけました。

また放射性物質をまき散らすいわゆる「汚い爆弾」をウクライナ側が使用する可能性があるとロシアが一方的に主張している問題で、IAEA=国際原子力機関が査察の結果核関連の活動や物質の形跡は見つからなかったと発表したことについて「結論は明白だ。査察官たちはロシア側が指摘したすべての施設を完全な自由のもとで査察した」とウクライナの潔白を訴えました。

そのうえで「ウクライナは『汚い爆弾』を製造したこともないし、現在もしていないという確たる事実がある。汚いのはウクライナと世界に恐怖をもたらしているロシアの上層部だ」と述べ、ロシア側を非難しました。

ウクライナ産農産物の輸出が再開 輸出めぐる合意 延長が焦点に

ロシアは先月29日、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の履行を停止すると一方的に表明し世界的な食料危機への懸念が広がっていましたが、ロシアは2日、合意への復帰を発表しました。

3日、ウクライナ南部から農産物を載せた7隻の船が出港し、ロシアが合意に復帰してから初めての輸出となりました。

一方、輸出をめぐる合意は120日ごとに延長され、その期限が今月19日に迫っていて、仲介役のトルコは「延長すべく一層努力する」としてロシアやウクライナと調整を加速させる考えを示しています。

これについてロシア大統領府のペスコフ報道官は3日、「延長について正式に議論しなければならない。総合的に評価し決定する必要がある」と述べました。

ロシアのラブロフ外相も3日、ウクライナからの輸出だけでなくロシア産の農産物も輸出する必要があるものの、制裁の影響でロシアからの輸出が制限されていると批判し、合意が延長されるかどうかが焦点となっています。

ヘルソン州での戦闘はさらに激化へ

ウクライナ軍は支配された領土の奪還に向けて南部ヘルソン州で反転攻勢を強め、中心都市ヘルソンへ部隊を進めているとみられます。

これに対し、ヘルソン州の親ロシア派幹部は3日、国営のロシアテレビで、ドニプロ川の西側の中心都市ヘルソン周辺にいるとみられるロシア軍の部隊について「川の東側へ離れることになるだろう」と述べました。

ウクライナ軍の反撃を前に、ロシア軍が中心都市ヘルソン周辺から撤退することを示唆した可能性もあります。

ただ、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、ロシア軍はドニプロ川の東側に防衛線を築こうとしていると指摘したほか、ウクライナ側はロシア軍が4万人規模の兵士を集結させているという見方も示していてヘルソン州での戦闘はさらに激しくなるものとみられます。

国連事務総長 “輸出再開を歓迎 ロシア産の輸出も必要と強調”

国連のグテーレス事務総長は3日、ニューヨークの国連本部で記者会見し、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意に基づいて輸出が再開されたことを歓迎しました。

そのうえでグテーレス事務総長は「すべての関係者に対し、合意の延長と完全な履行、そしてロシア産の農産物の輸出を妨げる障害を取り除くことに集中的に努力するよう求める。わたしはこれらの重要な目標の達成のために全力で取り組む」と述べ、世界的な食料危機の懸念が高まる中、今月19日が期限となっているウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の延長とともに、ロシア産の農産物の輸出も必要だと強調しました。

日独閣僚協議 対ロシア制裁の継続 海洋進出の中国への懸念共有

日本とドイツの外務・防衛の閣僚協議がドイツで行われ、国際社会と連携しながらロシアに対する制裁とウクライナ支援を継続することを確認しました。また、海洋進出を強める中国の動きに深刻な懸念を共有し、安全保障面の協力を強化していくことで一致しました。

日本とドイツの外務・防衛の閣僚協議、いわゆる2+2は日本時間の3日夜、行われ、林外務大臣とベアボック外相が出席し、浜田防衛大臣とランブレヒト国防相はオンラインで参加しました。

協議ではロシアによるウクライナ侵攻について、ヨーロッパだけではなくアジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為だとして、国際社会と連携しながらロシアに対する制裁とウクライナ支援を継続することを確認しました。

“汚い爆弾”でIAEA査察 “申告ない活動や物質の形跡なし”

放射性物質をまき散らすいわゆる「汚い爆弾」をウクライナ側が使用する可能性があるとロシアが一方的に主張している問題で、IAEA=国際原子力機関は3日、ウクライナの原子力関連施設を査察した結果、申告されていない核関連の活動や物質の形跡は見つからなかったと発表しました。

IAEAはウクライナ側の要請に基づいて、ロシア側が汚い爆弾の製造に関わっていると主張していたキーウにある核関連の研究所など3か所の施設に査察官を派遣し、検証作業を進めていました。

IAEAは、現場で採取した試料の分析も進めその結果についてもできるだけ早く報告するとしています。

G7外相会合始まる ウクライナの越冬支援など協議

G7=主要7か国の外相会合がドイツで始まり、ロシアからエネルギー関連施設への攻撃を受けるウクライナの人たちが冬を越すための支援などについて話し合いました。

議長国ドイツのベアボック外相は冒頭、「プーチン大統領は軍事的に征服できない都市に暮らす人を寒さと飢えで殺そうとしている」と述べ、ロシアによるウクライナのエネルギー関連施設への攻撃を強く非難しました。

そのうえで、G7として制裁などを通じてロシアに圧力をかけ続けるとともに、ウクライナの人たちが冬を越すための支援も話し合うと強調しました。

ユニセフ事務局長 “厳しい寒さ ウクライナの子どもに支援を”

ユニセフ=国連児童基金のキャサリン・ラッセル事務局長がNHKの取材に応じ、ロシア軍による電力施設への攻撃が相次ぎ、冬を前に電力不足が続くウクライナについて「厳しい寒さは子どもたちに破壊的な影響をもたらすだろう」として支援を訴えました。

そして、「子どもたちは電力が不足するなかで厳しい冬を迎えることになる。私たちはできるかぎりの支援をしなくてはいけない」と訴えました。

イラン 元外交官が共同声明 “ロシアとの軍事的協力に警鐘”

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアにイランが無人機を供与していると指摘される中、イランの元外交官30人余りが共同声明を発表し、政府に対しウクライナ情勢の緊張緩和に向け国際社会と協力して対応をとるよう訴えました。

イランの元外交官35人は3日、地元紙にウクライナ情勢をめぐる政府の対応を批判する共同声明を掲載しました。

この中で「ウクライナの人たちが傷つけられている中、この戦争に対するイランの対応が国益を十分に考慮しているかは疑問だ。外交をわかっていない者たちが国の安全保障を脅かしている」と指摘しました。

そのうえで「どちらか一方の味方につけば歴史的な局面で重大な過ちを犯すおそれがあり、NATO=北大西洋条約機構との望まない戦争に突き進むことが懸念される。ロシアはイランと敵対する国とも協力関係にあり、二枚舌だ」として、ロシアと軍事的な協力を深めることに警鐘を鳴らしています。