
“乳がん再発の不安” アプリで軽減 ほかの病気にも応用期待
乳がんの再発の不安を抱える患者がスマートフォンのアプリを使って、悩みを具体的に認識して解消のために何ができるか考えられるようにしたところ、再発への恐怖感を軽減できたと名古屋市立大学などの研究グループが発表し、今後、ほかの病気の不安解消にも使えるのではないかと期待されています。
研究は、名古屋市立大学の明智龍男教授などのグループが行い、がん治療についての国際的な雑誌に発表しました。
がん患者は、手術などでがんを取りきったあとでも、再発の不安を抱える人が多く、グループでは心理的な苦痛を和らげるためのスマートフォンのアプリを独自に開発し、乳がん患者を対象に有効性を検証しました。
アプリでは、患者は案内に従って、例えば「一人でいる時にがんのことが頭から離れない」といった不安を具体的に入力し、
▽解消のために、どんな行動ができるかや、
▽行動のメリットとデメリット、
それに、
▽気持ちの変化を入力します。
乳がんの手術から1年以上たった20歳から49歳の女性、およそ450人を対象に調べたところ、アプリを使った人たちでは、再発への恐怖の度合いが2か月後には減り始め、その効果は、うつ病の人が抗うつ薬を使った場合と同等の程度あり、およそ半年後も続いていたということです。

研究グループは、アプリで通院の負担も軽減できるとしていて、明智教授は「乳がん以外の病気の不安解消にも応用が期待できるので、研究をさらに進めたい」と話しています。