【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(11月3日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる3日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

農産物を載せた船6隻 ウクライナ南部から出港

トルコ国防省は3日、声明でウクライナ南部の港から農産物を載せた6隻の船が出港したことを明らかにしました。

ロシアが2日、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意に復帰すると表明してから初めての輸出となりました。

声明では、アカル国防相が「今月19日に期限を迎える農産物の輸出の合意を延長すべく一層努力する」と述べたとしていて、今後も農産物を安全に継続して輸出していくため、改めてウクライナとロシア、それに国連と調整を続けていく考えを示しています。

ザポリージャ原発 外部からの電力供給 完全に失われたと発表

ウクライナ南部にあるザポリージャ原子力発電所について、管理している原子力発電公社エネルゴアトムは3日、声明を発表し、ロシア軍による砲撃で、原発の送電線が損傷して外部からの電力供給が2日、完全に失われたと発表しました。

ロシア軍 兵器不足でベラルーシ イラン 北朝鮮に依存の見方も

ウクライナに侵攻するロシアは兵器不足などに直面していると指摘されていて、ロシア軍は同盟関係にあるベラルーシ、そしてイランや北朝鮮などの兵器に依存しようとしているという見方が出ています。

ウクライナ大統領 ロシア合意復帰表明に不信感

ウクライナのゼレンスキー大統領は2日に公開したビデオメッセージで、ロシアのプーチン大統領がウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意への復帰を表明したことについて、「ロシアによるウクライナへの攻撃がなければ、世界的な食料危機の脅威が生じることはなかった」と述べ、食料価格の高騰の根本的な原因はロシアにあると非難しました。

さらに「けさもロシアの航空機が発射した複数の巡航ミサイルが、『穀物回廊』の上空を通過した」と述べ、ロシア側への不信感を表しました。

国連事務総長 ロシア合意表明に「歓迎する」

ロシアのプーチン大統領がウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意への復帰を表明したことについて、国連のグテーレス事務総長は声明で「歓迎する」としたうえで、トルコの外交努力や船舶の安全な航行を監視する共同調整センターの取り組みに謝意を示しました。

米広報調整官「北朝鮮がロシアにひそかに砲弾供与か」

ウクライナ情勢を巡り、アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は2日「北朝鮮が、大量の砲弾を中東や北アフリカの国々に送ると見せかけて、ロシアにひそかに供与しているという情報がある」と述べました。

一方「ロシアが実際に受け取ったかどうかについては今も監視を続けている」としています。

カービー氏は、砲弾の数や輸送の手段、また、北朝鮮が中東や北アフリカのどの国に送ると見せかけているのかについては明らかにしませんでした。

ロシアと北朝鮮の関係を巡ってバイデン政権はことし9月、ロシアが兵器の不足を背景に北朝鮮から砲弾などの購入を進めていると指摘しましたが、北朝鮮側は「そのような計画はない」と否定していました。

トルコ大統領 農産物輸出合意「継続は全世界に非常に重要」

トルコのエルドアン大統領は2日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話で会談し、ロシアも認める形でウクライナ産の農産物の輸出が再開される見通しとなったことについて「合意の継続は全世界のために非常に重要だ」と指摘しました。

そのうえで「戦争を公正な形で終わらせるために、トルコは一層の外交努力を重ねる」と述べ、引き続きウクライナとロシアの仲介役を果たしていく考えを示しました。

一方、ゼレンスキー大統領は2日ツイッターに投稿し「エルドアン大統領の積極的な関与に感謝する」と謝意を示しました。

ウクライナ大統領府顧問「ロシアの恐喝はうまくいかない」

ロシアがウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意への復帰を表明したことについて、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は2日、ロイター通信への取材に対し「トルコと国連は、合意が履行されなければならないという確固たる立場をとった。これにより、農産物の輸出は何があっても進められること、またロシアの恐喝はうまくいかないことを証明した」と述べました。

米有力紙 “ロシア軍幹部が戦術核兵器の使用可能性検討”

アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズは2日、複数のアメリカ政府高官の話として、ロシア軍の幹部が、ウクライナで戦術核兵器を使用する可能性について、検討したと報じました。

プーチン大統領はこの議論には加わっていないとしています。

そのうえで、こうした議論は軍事行動を思うように進められていないロシア軍の、いらだちの表れだと伝えています。こうした情報がアメリカ政府内で共有されたのは先月中旬ごろだということです。

これについてホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は「特定の報道についてはコメントしない」と述べたうえで「現時点でロシア軍が核兵器を使用する兆候は見られない」としています。

ロシア外務省 “核戦争を防止するための声明”発表

ロシア外務省は2日「核戦争を防止するためのロシア政府の声明」を発表しました。

この中で「ロシアは国連安全保障理事会の常任理事国であり、核兵器保有国の1つとして、国際的な安全保障と戦略的安定性の強化に特別な責任を負っている」としています。

そして「核戦争に勝者はおらず、決して戦うべきではないという信条にロシアは厳密に導かれている」とし、ロシアが核兵器を使用するのは、国家の存立が危機にさらされた時などに限られると主張しています。

そのうえで「最も差し迫った課題は、核保有国どうしの軍事衝突を回避することだ。ロシアは『核保有5か国』のほかの国々に対して、この最優先課題の解決に取り組む意欲を示し、壊滅的な結果につながる危険な試みを断念するよう求める」としています。

ウクライナ情勢をめぐり、ロシアのプーチン政権が、核戦力の使用も辞さない姿勢を示したことに対して、欧米などからはロシアが核兵器を使用するのではないかと警戒する声が強まり、今回の声明でロシアが反論したかたちです。

プーチン大統領 ロシア軍装備の充実を指示

ロシアのプーチン大統領は2日、軍などの部隊に必要な物資を調達するための調整会議を、オンライン形式で開催しました。

この中で「装備や医薬品は、使う人の意見を考慮してほしい。兵器も常に性能を向上させ、効果を維持していく必要がある」と述べました。

ロシア軍の装備品をめぐっては、数が不十分だとするほか、古くて使えないなどといった批判がロシア国内でもあがり、プーチン大統領が、関係閣僚に対応を急ぐよう促した形です。

プーチン大統領 G20議長国のインドネシア大統領と電話会談

ロシア大統領府は2日、プーチン大統領が、G20=主要20か国の議長国を務めるインドネシアのジョコ大統領と電話で会談したと発表しました。

会談でプーチン大統領は、ロシアがウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の履行を停止するとしていたことについてウクライナ側から、輸出に使う航路を軍事利用しない保証を受け取ったとして、合意の履行に復帰する考えを示したということです。
また、ジョコ大統領もツイッターで、電話会談を行ったと明らかにしたうえで、ロシアが農産物の輸出をめぐる合意の履行に復帰することを歓迎しました。

インドネシアでは今月15日と16日、G20の首脳会議が開かれ、プーチン大統領が対面で出席するかどうかに注目が集まっていますが、ロシア大統領府の発表では、プーチン大統領の出席については触れていません。

プーチン大統領 農産物輸出合意“保証を破った場合撤退する”

ロシアのプーチン大統領は2日、安全保障会議を開催し、このなかで、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の履行をロシアが停止するとしていたことについて「輸出に使う航路を軍事利用しないという保証を受け取った」と述べました。

そのうえで「国防省に完全な再開を指示した」と述べ、合意の履行に復帰することを表明しました。

一方で「ウクライナがこれらの保証を破った場合には、ロシアは撤退する権利を残している」と、ウクライナ側をけん制しました。