いまさら聞けない「自動運転」 もう実用化?「レベル」って?

ニュースでよく耳にする自動運転。
世界で開発競争が激化していますが、その技術の進歩を日常的に体感している人は少ないのではないでしょうか。

でも、実はわたしたちの生活に近いところで着々と実用化が進んでいるんです。
いまさら聞けない自動運転の今とこれからをまとめました。

自動運転 その「レベル」とは

自動運転は技術の進み具合によってレベル1からレベル5までの5段階に分かれています。
レベル1やレベル2の機能は自動ブレーキのようにドライバーの運転をサポートする役割ですが、レベル3になると一定の条件のもとでシステムにすべての操作を任せられるため、本格的な自動運転となります。

「レベル3」進む実用化

ホンダは去年、レベル3の自動運転の機能を搭載した乗用車「レジェンド」を販売しました。高速道路が渋滞しているか渋滞に近い状態で速度50キロ以下で走行している場合に、ハンドルやブレーキなどすべての運転操作をシステムが自動で行います。

日本ではレベル3の車が走ることを想定してすでに法律も改正されていて、市販の車が走るのは世界で初めてとなりました。
福井県永平寺町では、カート型の車両を使った自動運転のサービスが行われていて、決められたルートの路面に「電磁誘導線」と呼ばれる設備を埋め込むことで完全に無人の状態でおよそ2キロの区間で利用客を乗せて運行しています。

世界の焦点は「レベル4」へ

開発はその次の段階、ドライバーがいない完全な自動運転の「レベル4」に移っています。
国内のメーカーでは、ホンダが去年9月から栃木県のテストコースで走行実験を重ねていて、2020年代半ばには、GM=ゼネラル・モーターズと共同開発している運転席のない車両を使い、相乗りサービスなどの事業化を目指しています。

トヨタ自動車は、2020年代の前半にレベル4も視野に入れた実用化に向けて研究開発を進めています。

日産自動車は、通信会社などと連携して国内で実証実験を行っているほか、出資している中国の新興企業が公道で無人での自動運転の実験を始めています。

一方、海外ではアメリカにあるIT大手アルファベット傘下のウェイモがエリアを限定した完全自動運転の配車サービスを始めているほか、中国のIT大手百度もAIなどの技術を活用した自動運転の車を開発しています。

国内最先端「車だけで自動運転」開発へ

現在、日本を含めて各国で開発されている自動運転は、車にはレーダーやセンサーなどの機器が必要なだけでなく、信号機と通信したり、車線の正確な位置といった道路の詳細なデータが盛り込まれた高精度な地図など、さまざまなインフラの整備が必要になっています。

それに対してホンダは車に搭載されたカメラだけで自動運転を実現しようという技術開発を新たに始め、今月、実証実験に乗り出します。

今回の開発は、車のカメラだけ。
その他は使わない。
つまり、“車だけ”で完結する、それを実現しようというアプローチです。

開発中の車 どこまでできる?

ホンダは茨城県常総市で始まる実証実験を前に、開発中の車の走行などの様子を報道陣に公開しました。

小型車両は屋根に3つのカメラが取り付けられ、道路と歩道の境目や歩行者などを画像から解析し、道路を道なりに自動走行しました。

一方で、交差点での右折や左折を自動走行できる開発は途中段階ということで、車に乗っている担当者がジョイスティックを曲がる方向に手動で倒して車に指示すると、その後は自動走行によって交差点を曲がっていました。

いまの技術はここまでですが、将来、完全な自動運転を目指そうとしています。

声とジェスチャーで

さらに、離れた場所から携帯電話を使って音声で指示したり、自動走行で近づいてくる車に向かってジェスチャーで停止位置を指示したりする開発中の技術も公開されました。

公開されたデモンストレーションでは、男性が車の停止位置をジェスチャーで指示し、それをカメラとAIで認識。

途中で歩行者を避けるなど、周囲の状況を判断しながら指示された場所に向かっていきます。

電話の音声で操作する方法も開発されていて、声とジェスチャーで“とにかく簡単に”自動運転の車を使えるようにすることを目指しています。

「2040年や50年には免許持ってない人も」

早ければ2030年ごろの実用化を目指すとしているこの技術。

本田技術研究所の安井裕司エグゼクティブチーフエンジニアは「SF映画で描かれているような賢いモビリティに成長させたいし、2040年や50年には免許を持っていない人にも乗ってもらえるくらいの技術進化になる」と話しています。