円安で外国人従業員を抱える企業 人材流出の懸念強める

円安が進む中、従業員に外国人を多く抱える企業の中には、人材流出への懸念を強めるところもあります。

大阪府枚方市の建設会社ではおよそ30年前から外国人材の受け入れを始め、いまは職人の高齢化などを背景に技能実習生や特定技能のベトナム人が従業員の3割近くを占める重要な存在になっています。

ベトナム人たちは稼いだお金を母国に仕送りしていますが、この1年ほどで円はベトナムの通貨ドンに対して2割ほど値下がりしていて、送金すると目減りしてしまいます。

親への仕送りの回数を減らすなどしていますが、日本で働き続けることに不安を感じ始めている人もいます。

29歳の特定技能の男性は「円が高ければもっと働いて残業もしたいが、円安はしんどいです」と話していました。
また、25歳の技能実習生の女性は「以前は全然考えなかったけど、円安で貯金できるお金が少なくなりベトナムに帰って仕事するか悩みました。この状況が続けばベトナム人が実習生として日本に来るのが難しくなると思います」と話していました。

こうした状況のなか、会社では、ことし8月から「生活応援手当」として毎月1人あたり5000円を支給して人材の流出を食い止めようとしています。

原材料価格や燃料費の高騰に加え人材確保のための費用も増えています。
建設会社「正栄工業」の岩田正吾代表取締役は「材料と人件費と合わせて相当上がっているのは事実ですが、働き手がいなくなると建物は作れなくなる。会社も頑張ってくれてるということを少しでも理解してもらって思いとどまっていただかないと会社の経営自体成り立たない。本当に二重苦、三重苦の状況だ」と話していました。

円安 資産運用セミナーに多くの人

円安が進む中、都内で開かれている資産運用に関するセミナーには去年より多くの人が参加しているといいます。

10月28日、ネット証券大手のグループ会社が都内で開いたセミナーには、およそ20人が参加しました。

セミナーでは、担当者が日銀の大規模な金融緩和などを背景とした円安傾向は今後も続く見通しだとしたうえで、外貨なども含めた金融商品を組み合わせてリスクを分散することが重要だなどと説明していました。

この会社では、こうしたセミナーを毎月、開いていますが、ことしは去年に比べて参加者がおよそ2倍に増えているということです。

参加した50代の男性は「外貨をある程度持つべきかと考えていましたがどうしたらよいか分からず、きっかけになればよいと思って来ました。資産が目減りする懸念もあり攻めというよりも守りの気持ちで参加しました」と話していました。

また、別の男性は「いま持っているお金の価値が極端に下がってしまうのではないかという不安はあります。これだけ円安が進むと資産運用のバランスを考える必要があると思います」と話していました。

セミナーを開催したSBIマネープラザの神洋平さんは「インフレと円安の進行はある程度止められないのではないかという状況に来ていると思う。不透明な世の中だからこそ、円の預金だけでいいのかなど資産をどう運用していくのか考えてもらいたい」と話していました。