【動画】アメリカ元国防長官 ”彼はウクライナで勝てない”

オバマ政権で、国防長官やCIA長官を歴任したパネッタ氏。
長年、安全保障政策に携わってきた立場から、ウクライナ情勢について独自の見解を示しました。

”彼は非常に困難な状況に立たされている”

「プーチン氏が苦境に立たされウクライナが戦争に勝利するのは間違いない。最終的に彼はウクライナで勝てない」。

ロシア側が勝利することはないと断言するパネッタ氏。

背景として挙げたのが、プーチン氏が陥っている厳しい状況です。

「プーチン氏はいま2つの戦いに直面している。ウクライナ国内と首都モスクワでだ。最新の推計ではロシア軍の死傷者は8万人で1万5000~2万人が戦場で命を落としている。このことはロシアに残された家族に打撃を与えプーチン氏への批判を呼び起こしている。彼は非常に困難な状況に立たされている」。

核兵器使用の可能性については?

国内外で厳しい状況に直面しているというプーチン氏。

パネッタ氏は、核兵器使用の可能性について、プーチン氏の心理をこう分析しています。

「われわれの諜報活動によればプーチン氏は一か八かの賭けを続けている。彼のような人間を窮地に追い詰めれば、そこから抜け出すため何だってやるだろう。今まさに彼がやっているのは核兵器の使用をちらつかせることだ」。

パネッタ氏が懸念しているのが、放射性物質をまき散らすいわゆる「汚い爆弾」。一度使われれば、核兵器使用の足掛かりになりかねないと指摘します。

「完全な形の核兵器より威力は小さくても、(“汚い爆弾“の使用を)私は懸念している。誰かが放射性物質を武器として使用すれば、ほかの者が核兵器を使う可能性を増幅させる。そしてそのことが、核兵器使用の危険性をさらに高める。最も考えられるシナリオは、特定の戦場に限定した核兵器の使用だ。こうした武器の使用は一線を越えることを意味する」

アメリカはどう対応するべきか?

Q. ロシアが“汚い爆弾“や核兵器を使用したらアメリカはどう対応するべきか?

「私たちはプーチン氏に非常に強いシグナルを送らなければならない。バイデン大統領はもしプーチン氏が核兵器を使用すれば、それはすなわち「アルマゲドン」(最終戦争)、極めて破壊的な結果を招くことになると明確に示している。

もしプーチン氏が核兵器を使用すれば、アメリカは同盟国とともに通常兵器の使用で対抗するだろう。核兵器を使用すれば深刻な結果を招き敗北を確実にするだけだという断固たるメッセージをプーチン氏に送ることが重要だ」。

”プーチン氏に影響を与えられるのは軍事力だけ”

長期化する戦争。

パネッタ氏は、戦争をやめさせる唯一の方法について、最後にこう述べました。

「プーチン氏に影響を与えられるのは軍事力だけだ。それゆえ、アメリカと同盟国はウクライナからロシアを撃退し続け、この戦争に勝たなければならない。それがプーチン氏を何らかの解決策に同意させる唯一の方法だ」。