ブラジル大統領選挙 決選投票 ルーラ元大統領が当選

30日に投票が行われた南米ブラジルの大統領選挙の決選投票は、かつて左派政権を率いたルーラ元大統領が当選しました。ルーラ氏は演説で「自分に投票した人だけでなく、すべてのブラジル人を統治する」と述べ、激しい選挙戦の中で分断が広がった国民の融和に取り組む考えを強調しました。

任期満了に伴うブラジルの大統領選挙は30日決選投票が行われました。

ブラジルの選挙管理委員会の集計によりますと、開票率99.9%時点での得票率は、
▽2003年から2期8年にわたって左派政権を率いたルーラ・ダシルバ元大統領が50.9%、
▽右派の現職ジャイル・ボルソナロ大統領が49.1%となり、
ルーラ氏が当選しました。
ルーラ氏は最大都市のサンパウロで支持者を前に演説し「自分に投票した人だけでなく2億1500万人すべてのブラジル人を統治する。2つのブラジルは存在せず、われわれは1つの国の1つの国民だ」と述べ、激しい選挙戦の中で分断が広がった国民の融和に取り組む考えを強調しました。

そのうえで「最も必要なのは飢餓を終わらせることだ。何百万人ものブラジル人が十分な食事ができず必要な栄養をとれていない」と指摘し、貧困に苦しむ人たちの生活支援に力を入れる考えを示しました。

一方、ボルソナロ大統領は今回の選挙結果について、これまでのところ態度を明らかにしておらず、どのような発言をするのかに注目が集まっています。

サンパウロ市民は

ルーラ氏の当選を受けて、ブラジル最大の都市、サンパウロでは1万人を超える支持者が中心部に集まってルーラ氏の勝利を祝いました。

このうち今回の選挙で初めて投票したという10代の女性は「ルーラ氏には新しい大学を開設してもらい、食料をもっと安く食卓に届けてほしい」と話していたほか、別の女性は「分断した国をまとめるのは大変なことだとは思うが、ルーラ氏なら再びブラジルを偉大な国にしてくれる」と述べ、新しい大統領の手腕に期待を示していました。

左派政権 率いたルーラ・ダシルバ元大統領とは

ルーラ・ダシルバ氏は77歳。ブラジル北東部 ペルナンブコ州の貧しい農村に生まれました。

旋盤工として労働運動に参加し、ストライキを指導するなど労働組合のリーダーとして頭角を現します。

1980年に左派の有力政党労働者党を立ち上げ、下院議員などを経て2003年に大統領に就任しました。

2期8年にわたる在任中は、国内に豊富な天然資源の価格上昇を背景に、平均で年4%の高い経済成長を実現。

増えた税収を貧しい人たちへの生活支援に充て、当時、人口の半数以上を占めていたとされる低所得者の割合を3割台に引き下げました。

貧困層を中心に人気が高く、大統領退任時の支持率は8割を超えたとされています。

一方で、在任中に建設会社から賄賂を受け取ったとされる汚職事件で有罪判決を受け、2018年4月から1年7か月にわたって収監され、前回2018年の大統領選挙では裁判所から立候補の資格を停止されました。

しかしその後、最高裁判所がルーラ氏に対する有罪判決を無効とする判断を示したことで、今回の大統領選挙に立候補。

直近の世論調査では一貫して現職のボルソナロ大統領を上回る支持を集めて、選挙戦を優位に進めてきました。

岸田首相「両国関係発展へ共に取り組みを」

岸田総理大臣は「『戦略的グローバル・パートナー』であるブラジルと、伝統的かつ良好な両国関係をさらに発展させるため、共に取り組んでいきたい」とする祝辞を送りました。

磯崎官房副長官「ルーラ政権とも緊密に連携」

磯崎官房副長官は記者会見で「ブラジルは基本的な価値を共有する、戦略的グローバルパートナーであるとともに、200万人を超える日系社会を介した特別な絆で結ばれている。引き続き、次期ルーラ政権とも緊密に連携しながら、伝統的かつ良好な関係をさらに発展させ、国際社会の諸課題に共に取り組んでいく」と述べました。

米バイデン大統領 祝意伝える

南米ブラジルの大統領選挙の決選投票で、ルーラ氏が当選したことを受けて、アメリカのバイデン大統領は30日、声明を発表し「自由かつ公正で、信頼に足る選挙だった」と評価し、祝意を伝えました。

そのうえで「2国間の協力を継続するため、ともに仕事ができることを期待している」として、首脳どうしの意思疎通を図っていくことに期待を示しました。