ロシア軍 ウクライナ南部ヘルソン方面に4万人規模の部隊集結か

ロシアによる軍事侵攻への反転攻勢を強めるウクライナ軍が南部ヘルソン州の中心都市に向けて部隊を進めているとみられる中、ロシア側は4万人規模の部隊を集結させているとする見方が出ていて、予断を許さない情勢が続いています。

ウクライナ軍は30日、ロシアによる軍事侵攻への反転攻勢を強めていて、東部ドネツク州の10の地区でロシア軍を撃退したと発表したほか、南部ヘルソン州では中心都市ヘルソンに向けて部隊を進めているとみられます。

こうした中、ウクライナのメディアは29日、ロシア側がヘルソン方面に4万人規模の部隊を集結させているとする、ウクライナ軍の情報部門トップの見方を伝えました。

その多くは空てい部隊などの精鋭で、ヘルソンの解放には11月末までかかる可能性が高いとしていて、予断を許さない情勢が続いています。

ヘルソン州をめぐっては、ウクライナのレズニコフ国防相も25日、NHKとのインタビューで、ロシア軍が中心都市ヘルソンとその周辺に部隊を集めていると指摘していました。

一方、ロシア側は、ウクライナ南部クリミアに駐留するロシア軍の黒海艦隊が無人機による攻撃を受けたと主張し「船舶の安全な航行が保証できない」などとして、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の履行を無期限で停止すると一方的に表明しています。

これについてロシア国防省は30日「無人機は南部オデーサ近くの海岸から発射された」として、改めてウクライナ側を非難しました。

ウクライナ政府からの公式な反応はありませんが、クレバ外相は30日、ツイッターで「ロシアのふるまいは予想の範囲内だ。何百万もの人を飢餓のリスクにさらしていながら、交渉に臨む姿勢を装っている。だまされてはいけない」などと投稿し、合意の履行を一方的に停止するとしたロシア側の姿勢を強く批判しました。

ウクライナ 本格的な冬を前に 集中暖房施設などの復旧作業

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナでは、本格的な冬を前に、砲撃や戦闘で破壊された集中暖房の施設などの復旧作業を急いでいます。

このうち、侵攻当初、ロシア軍との間で激しい戦闘があった首都キーウ近郊のイルピンでは、集中暖房のボイラー施設で修理が行われていました。この施設は、街のおよそ7000戸に暖房のための温水を供給しているということですが、ボイラーにはロシア軍との戦闘による銃弾の痕が残ったままです。施設の建物には、砲弾が直撃して屋根に穴が開いたほか、爆風でほとんどの窓ガラスも割れたということですが、ほぼ修復を終え、仕上げの塗装作業が行われていました。

イルピンのクラフチュク副市長は「赤十字などの支援を受けて、ボイラー室の窓を交換した。復旧作業は継続中だが、11月の初めまでには作業を完全に終えたい」と話していました。

一方、ウクライナでは10月、火力発電所などエネルギー関連施設が相次いでロシア軍の攻撃を受け、各地で停電が相次ぐなど、冬を前にして市民生活への影響が広がっています。