【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(30日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる30日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア農相「農産物を貧しい国に無償提供する用意がある」

ロシアのパトルシェフ農業相は29日、ウクライナからの農産物は主にヨーロッパに輸出されていたと主張したうえで「ロシアは今後4か月の間、最大50万トンの農産物を貧しい国に無償提供する用意がある」と述べました。

プーチン政権は、これまでもウクライナの農産物の多くがヨーロッパ向けだとしてウクライナやヨーロッパ諸国の対応を批判していて、合意の履行停止に対するロシアへの批判をかわし、揺さぶりをかける思惑もあるとみられます。

米シンクタンク「黒海艦隊への攻撃はウクライナ軍によるもの」

ロシア国防省は、一方的に併合したウクライナ南部クリミアに駐留するロシア軍の黒海艦隊がウクライナ軍の無人機による攻撃を受けたと主張していて、外務省は、合意の履行を停止する理由として「船舶の安全な航行が保証できないこと」を挙げています。

ロシアが主張する黒海艦隊への攻撃について、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は29日「黒海艦隊は、巡航ミサイルでウクライナのエネルギー関連施設を攻撃する能力がある。過去、数週間にわたる大規模な攻撃に対する対応だったのだろう」として、ロシアによる攻撃に応じたウクライナ軍によるものという分析を示しています。

ウクライナの農産物 輸出再開合意からの経緯

ウクライナからの農産物の輸出をめぐっては、ロシア軍による封鎖で黒海に面するオデーサなど南部の港からの輸出が滞っていました。

このためことし7月、ウクライナとロシア、それに仲介役を務めたトルコと国連の4者が協議を行い、輸出再開に向けて合意しました。

合意を受けてロシア側は、船舶を安全に航行させるため貨物船の追跡や積み荷の検査などをウクライナとトルコ、それに国連とともに共同で行ってきました。

トルコのイスタンブールに設置された船舶の安全な航行を監視する機関、共同調整センターによりますと、ことし8月の輸出再開から今月24日までに延べ83隻が、合わせて860万トン余りの農産物を輸出してきたということです。

しかし、ロシアのプーチン大統領は9月、輸出された農産物は多くがヨーロッパ向けで、貧しい国に届いていないと主張し、ウクライナやヨーロッパ諸国の対応を批判しました。

一方、ウクライナ外務省は、ロシア側が意図的に積み荷の検査を遅らせ、多くの船が、イスタンブールの沖合にとどまっているとしてロシアを批判していました。

輸出再開に関する合意は11月19日が期限となっていますが、ロシアとウクライナが互いの対応を批判するなか、合意が継続され安定した輸出が続けられるか不透明な状況になっていました。

ゼレンスキー大統領「ロシアは意図的に食料危機を悪化」

ウクライナのゼレンスキー大統領は29日に公開した動画で「ロシアは食料を積んだ船の動きを妨害し、意図的に食料危機を悪化させることをすでに9月から始めていた」と述べ、ロシア側を非難しました。

そして、9月からこれまでに合わせて176隻の貨物船が予定の航路を進むことができず沖合で待機を余儀なくされていてウクライナの農作物など200万トン以上を輸出できていないと明らかにしました。

そのうえで、ゼレンスキー大統領は「国際的な強い対応が必要だ。国連やほかのレベルでもそうだが、特にG20において必要だ。意図的に飢餓をもたらそうとしているロシアがなぜG20の一員でいられるのか、ばかげている。G20にロシアの居場所はない」と述べ、来月インドネシアで開かれるG20の首脳会議でも各国がロシアに対して一層強い姿勢で臨むよう訴えました。

バイデン大統領 ロシアの無期限停止表明を批判

ロシアがウクライナ産の農産物の輸出をめぐり、合意の履行を無期限で停止すると一方的に表明したことについてバイデン大統領は記者団に対し「本当にひどいことだ。ロシアは、自分たちがひどいことをしているのは、西側諸国のせいだと主張できるような根拠を常に探している」と述べ批判しました。

また、アメリカ・ホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議の報道官は声明を発表し、「ロシアは、食料を武器化するための口実としてまたしてもみずから始めた戦争を利用しようとしている。食料を必要としている国々や世界的な食料価格に直接影響を及ぼし、すでに差し迫っている人道危機や食料不安を悪化させようとしている」と強く非難しました。

ロシア国防省 「ノルドストリーム」ガス漏れ 英の関与主張

ロシア国防省は、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」で9月下旬に起きた大規模なガス漏れについても、イギリス海軍が関与する破壊工作だったと主張しました。

これに対してイギリス国防省は29日、SNSで「ロシアは違法な軍事侵攻から注目をそらそうと、壮大な虚偽の主張に訴えている」と否定し、強く反発しました。

ノルドストリームの2本のパイプラインの合わせて4か所で確認された大規模なガス漏れをめぐって、捜査を進めているスウェーデンの治安当局は、爆発が原因と断定したほか、欧米各国は破壊工作という見方を強めていて、一部のメディアはロシアが関与した可能性を指摘しています。

ロシア国防省「ウクライナ軍が船舶攻撃」と主張

ロシア国防省は29日、ロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミアに駐留する黒海艦隊や民間の船舶が、ウクライナ軍の無人機によって攻撃を受けたと主張しました。

この中で「標的となったロシアの艦船はウクライナの港から農産物を輸出する船舶の安全確保に関わっていた」と強調したうえで攻撃にはイギリスが関与していたと主張しています。

ロシア ポリャンスキー国連次席大使 安保理の緊急会合を要請

ロシアのポリャンスキー国連次席大使は29日、自身のツイッターで、ロシアが農産物の輸出をめぐる合意の履行を停止するのは、ウクライナ側の攻撃が引き起こしたものだと主張したうえで「国連安全保障理事会の会合を呼びかけた」と投稿し、安保理の緊急会合を31日に開催するよう要請したことを明らかにしました。

ウクライナ ポドリャク大統領府顧問「ロシアと交渉 時間のむだ」

ロシア外務省がウクライナ産の農産物の輸出をめぐり、合意の履行を無期限で停止すると一方的に表明したことについて、ウクライナのポドリャク大統領府顧問はツイッターに「プーチンは、食料などを世界に対する武器へと変えた。ロシアは、アフリカと中東を人質にして、ヨーロッパに対して複合的な戦争を繰り広げている。このことは、ロシアとの交渉は時間のむだであることを証明している」と投稿し、ロシアの対応を非難しました。

またクレバ外相も29日、ツイッターに「モスクワは、何百万人もの人々の食料安全保障を担保する穀物の輸出に必要な輸送ルートを封鎖するため偽りの口実を使っている。ロシアに対して飢餓を利用したゲームをやめさせるようすべての国に呼びかける」と投稿しました。

ウクライナ産農産物輸出めぐる合意 ロシア「無期限停止」表明

ロシア外務省は29日、声明を発表し、ウクライナ産の農産物の輸出をめぐる合意の履行を無期限で停止すると一方的に表明しました。

これに先立ってロシア国防省は、一方的に併合したウクライナ南部クリミアに駐留するロシア軍の黒海艦隊がウクライナ軍の無人機による攻撃を受けたと主張していて、外務省の声明では、合意の履行を停止する理由として「船舶の安全な航行が保証できないこと」を挙げています。

ウクライナでは、ロシア軍による封鎖で黒海に面する南部の港からの農産物の輸出が滞っていましたが、ことし7月にトルコと国連の仲介でロシアとウクライナが合意し、輸出が再開されていました。

世界的な食料危機への懸念が続く中、ロシアによる合意の履行停止によって、輸出が再び滞るおそれがでています。国連のデュジャリック報道官は29日、コメントを出し、「合意は世界中の人々への食料確保につながる人道上、重要な取り組みだ。すべての当事者がこれを危うくするような行動を控えることが極めて重要だ」と訴えました。