【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(29日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる29日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

キーウ市長「全地区で一時的に電力供給停止 越冬の支援を」

キーウのクリチコ市長は28日、SNSで「20%から50%の大幅な電力不足により、現在、市の電力供給システムは緊急的な稼働となっている。そのため、市内のすべての地区で一時的に電力供給が停止している」と伝えました。

そのうえで「これ以上の攻撃がなければ、電力不足は2週間から3週間で解消できるだろう」としたうえで引き続き節電を呼びかけています。

また、クリチコ市長は、イギリスの新聞、テレグラフの取材に対し、冬を乗り切るために毛布と発電機を送るよう欧米諸国に求めたことを明らかにしました。

ウクライナ軍「ロシア軍は増員も成功を収めていない」

反転攻勢を続けるウクライナ軍は、28日、ザルジニー総司令官がアメリカ軍の制服組トップのミリー統合参謀本部議長との電話会談で「ロシア軍は火力で勝り、兵員を増やしたにもかかわらず成功を収めていない。防衛作戦は計画どおりに進んでいる」と伝えたことを発表しました。

米 ウクライナに防空ミサイルシステム 来月にも引き渡し

アメリカのバイデン政権は28日、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナに対して2億7500万ドル、日本円にしておよそ400億円相当の追加の軍事支援を行うと発表しました。

具体的には、高機動ロケット砲システム=ハイマースに使われる追加のロケット弾や、砲弾、それに、軍用車両125台などが含まれるということです。

アメリカ国防総省によりますと、ロシアによる軍事侵攻が始まって以降、アメリカがウクライナに行った軍事支援は総額でおよそ179億ドル、日本円にしておよそ2兆6300億円に上ります。

また、国防総省は7月に供与を発表していた防空ミサイルシステム「ナサムス」2基について、来月初旬にもウクライナ側に引き渡すとの見通しを明らかにしました。

国防総省は声明で「防空能力はこれまでも、そしてこれからもウクライナへの支援におけるアメリカの優先事項だ」としていて、ロシア軍がミサイルや自爆型の無人機による攻撃を行う中、支援を急ぐ考えを強調しました。

ゼレンスキー大統領 “ロシアは近くさらに人を送る必要に”

ウクライナのゼレンスキー大統領は28日、新たに動画を公開し、ロシアのプーチン政権が、30万人の予備役の動員が完了したと発表したことについて「ロシア側は国民をさらに前線に送る必要はないとしているが、私たちが前線で感じていることは全く違っている」と述べました。

そして「ロシアは動員された人たちを使ってわれわれへの圧力を高めようとしているが、彼らは準備も装備も不十分だ。ロシアは近いうちに、戦争に人を送る必要がさらに出てくるだろう」と述べ、ロシアがさらなる動員に踏み切る可能性があると指摘しました。

ロシア 30万人の予備役動員の完了を発表

ロシアのプーチン大統領は28日、モスクワ郊外の公邸でショイグ国防相から先月、政権が方針を示した30万人の予備役の動員が完了したと報告を受けました。

ショイグ国防相は、30万人のうち8万2000人がすでにウクライナ侵攻の任務に当たり、21万8000人が現在、訓練を受けているとしています。

そのうえで、ショイグ国防相は「追加の動員は計画されていない」と報告しました。

予備役の動員をめぐってはロシア各地で反対デモが起きたほか、国外への市民の脱出が相次ぎ、プーチン政権としてはこれ以上の動員の計画はないと強調することで社会に広がる動揺を抑えたい思惑もあるとみられます。

ロシア軍の無人機「防空システム消耗がねらいか」ウクライナ空軍

ウクライナの空軍の報道官は28日、ロシアがイランから調達していると指摘されている自爆型の無人機「シャへド136」について、9月13日以降、およそ300機を撃墜したと主張しました。

一方で、ロシア軍が無人機を使用している理由について「ウクライナの防空システムを消耗させようとしている。ロシア側は深夜0時から午前2時にかけて無人機を飛ばしていて、この時間帯は高性能な兵器でなければ撃墜できない」と述べ、ロシア軍が撃墜の難しい時間帯に無人機を集中的に運用し、ウクライナ軍の防空用の兵器を消耗させようとしているという見方を示しました。

ロシアの世論調査 軍事侵攻に「強く懸念」は過去最多の58%

ロシアの独立系の世論調査機関は、ロシア国内でウクライナへの軍事侵攻に強い懸念を抱いていると回答した人は58%と、ことし2月の侵攻以降、最も多くなったと発表しました。

ロシア軍によるウクライナ侵攻後、ロシアの世論調査機関「レバダセンター」は毎月下旬に全国の1600人余りを対象に、対面形式で調査を行っています。

27日に発表した調査結果では、ウクライナへの軍事侵攻について「強く懸念している」と答えた人は58%と、ことし2月の侵攻後、最も多くなりました。

また「軍事行動を続けるべきか和平交渉を始めるべきか」という質問に対して「必ず和平交渉を始めるべき」と「どちらかといえば始めるほうがよい」と答えた人は合わせて57%と過半数に上りました。

特に「必ず和平交渉を始めるべき」と答えた人は26%と、先月より5ポイント増えていて、世代別では18歳から24歳までが37%に上り、軍事侵攻が長期化する中、若い世代で外交による解決を望む人が多いことがうかがえます。

「レバダセンター」は、政権から「外国のスパイ」を意味する「外国の代理人」に指定され、圧力を受けながらも、独自の世論調査活動や分析を続けています。