ウクライナ南部 ロシアが防衛態勢構築か 戦闘激化の懸念も

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍をめぐって、南部ヘルソン州の中心都市で部隊を増強する動きが見られるという指摘が出ています。ウクライナ側が奪還に向けて反撃を強める中、防衛態勢を築いているとみられ、南部での戦闘が激しくなることが懸念されます。

ロシアが支配するウクライナ南部のヘルソン州では、ウクライナ軍が領土の奪還に向けて中心都市ヘルソンに部隊を進めているとみられ、州の西部ではロシア軍が撤退を始めたと伝えられているほか、ロシア側がヘルソンの住民を東側へ強制的に移住させています。

こうした中、戦況を分析しているイギリス国防省は28日、ロシアがヘルソンの周辺で部隊を増強させているとみられると指摘しました。

防衛態勢を築いているという見方を示したうえで、増強している部隊には予備役から動員された兵士も含まれていると指摘しています。

これに関連して、ヘルソン州にいる親ロシア派勢力の幹部は国営のロシア通信に対して、ヘルソン市内の建物の1階部分を土のうで補強するなどウクライナ軍の突破に備えていると主張しています。

ウクライナのレズニコフ国防相は今月25日、NHKの単独インタビューで、ロシア軍がヘルソン州などで農業用の用水路をざんごうとして使い、抵抗を続けているとして、反撃の勢いはこのところ弱まっているという見方を示していました。

ロシアのプーチン大統領は27日、「軍事作戦に伴う損失はあるが、ロシアの将来の利益になることは間違いない」と持論を展開して、軍事侵攻を継続する構えを崩しておらず、今後、南部での戦闘が激しくなることが懸念されます。