「第8波」800万人感染の試算 ワクチン接種で3割減も 西浦教授

新型コロナウイルスの次の感染拡大「第8波」の見通しについて、京都大学の西浦博教授は来年2月までに800万人程度が感染する一方、ワクチンの接種が順調に進めば感染者数を30%近く減らすことができるとするシミュレーションの結果を示しました。

この夏の「第7波」では7月から9月までの3か月間だけでおよそ1200万人に上り、医療がひっ迫して死亡者数もこれまでの感染拡大で最大になりました。

新型コロナの第8波について数理疫学が専門の京都大学の西浦教授は26日に開かれた厚生労働省の専門家会合で、感染が広がる勢いやワクチンの接種状況を仮定したシミュレーションの結果を示しました。

ワクチン接種のペースと感染拡大 どうなる?

試算【1】基本のシナリオ

1人が何人に感染を広げるかを示す「実効再生産数」が、第7波が始まったことし7月ごろの東京よりもやや低い程度の「1.2」と想定し、ワクチン接種が現状のペースの場合、感染者数は最大で1日に20万人近くとなり、今月10日から来年2月28日までの累計ではおよそ844万人、入院者数は累計でおよそ32万人になると試算しています。

試算【2】ワクチン追加接種が3回目と同水準

今後のワクチンの追加接種が1日最大85万回行われ、3回目の接種と同じ水準まで4か月かけて進むとすると、感染者数の累計は27%少ないおよそ616万人、入院者数の累計は31%少ないおよそ22万人まで抑えられるとしています。

試算【3】ワクチン追加接種が3回目の半分

追加接種が1日最大42万回で、4か月かけて3回目の接種の半分の水準までしか進まないとすると、感染者数の累計は減少幅が15%でおよそ714万人、入院者数の累計は減少幅が18%でおよそ26万人になると試算されたとしています。

試算【4】ワクチン追加接種が2回目と同水準

一方で、追加接種が1日で最大111万回に上り、去年行われた2回目の接種と同じ水準まで4か月で進むという想定では、感染者数の累計は35%少ないおよそ550万人、入院者数の累計は38%少ないおよそ20万人に抑えることができるとしています。
西浦教授はこのほか「実効再生産数」が第7波が始まったことし7月ごろの東京と同程度の「1.3」やさらに高い「1.4」になるという仮定でもシミュレーションを行っていて、感染者数は実効再生産数が「1.3」のときは今月10日から来年2月28日までの累計でおよそ1038万人、「1.4」のときはおよそ1207万人に上り、ワクチンの追加接種の加速によって感染者数や入院者数を大きく減らすことができるとしています。

西浦教授は「ワクチンの接種を確実に進めることで、入院者数を2割程度減らすことができるなど、インパクトは大きい。実効再生産数が低く流行がゆっくりと進むときにはワクチンの接種が間に合いやすい傾向があり、感染予防対策と組み合わせられると、より効果が期待できる」としています。