英 スナク新首相就任 国民向けに演説 経済安定を最重要課題に
イギリスで新たに就任したスナク首相は25日、国民向けに演説し「ことばではなく、行動によってこの国を団結させる」と強調したうえで、経済の安定を最重要課題に据えるとして国民に痛みを共有する覚悟を求めました。
イギリスのスナク元財務相は25日、首都ロンドンのバッキンガム宮殿でチャールズ国王に任命され、新たな首相に就任しました。
インド系の両親を持つスナク氏はイギリスで初のアジア系の首相となったほか、42歳5か月での就任は20世紀以降、最も若い首相となりました。
スナク新首相は、首相官邸前で国民向けに演説し「わが国は重大な経済危機にひんしている」と切り出しました。
そして、トラス前政権の政策について「国の成長を促すのは崇高な目標だったが、いくつかの過ちがあった」と指摘したうえで「経済の安定と信頼を政権の最重要課題に据える。これは今後、困難な決断を伴うことを意味する」と述べ、財政再建に向け、国民に痛みを共有する覚悟を求めました。
保守党政権下の首相はこの6年余りで5人目となり、政治への不信感が高まっていますが、スナク首相は「私はことばではなく、行動によってこの国を団結させる。国民のために日々尽くし、誠実さ、プロフェッショナリズム、そして説明責任のある政府になるだろう。皆さんの信頼を得てみせる」と強調しました。
また、みずからが財務相のとき、政権の不祥事に抗議する形で辞表を提出し、辞任に追い込まれることになったジョンソン元首相にも言及し「彼の温かさと寛大な精神を大切に思っている」と述べる一方「2019年の総選挙で保守党が得た負託はいち個人のものではなく、私たち全員のものだ」として、今回の政権が国民の信任を得ていないという指摘に反論しました。
スナク首相は26日、早速、議会で与野党の質問を受ける予定で、記録的なインフレなどで国民の多くが生活費の高騰に苦しむ中、財政規律を重視する政権運営への理解を得られるかが焦点です。
主な閣僚人事発表 財務相は留任 財政再建の姿勢鮮明
この中で、トラス前政権の終盤に就任し、看板政策だった大型減税策を撤回したハント財務相を留任させ、財政の再建を進める姿勢を鮮明にしました。
副首相兼司法相には、党首選挙でスナク氏を支援するなど首相と関係の近いラーブ氏が就任しました。
ラーブ氏はジョンソン政権でも副首相兼司法相を務め、およそ1か月半ぶりの復帰となりました。
外相には、トラス政権の外相だったクレバリー氏が留任し、国防相も、ウォレス氏が留任しました。
内相には、私用のメールアドレスで公文書を送った責任を問われ、今月19日にトラス政権の内相を辞任したばかりのブレーバーマン氏を再び起用しました。
ブレーバーマン内相はイギリスへの移民の数を大幅に制限するべきだと主張するなど、保守党内でも右派として知られています。
また、今回の党首選挙で、立候補の意向を表明していたものの必要な推薦人が集まらなかったモーダント下院院内総務は留任しました。
バイデン大統領はツイッターで祝意
ゼレンスキー大統領と電話会談 引き続き全面的支援伝える
イギリスの首相官邸によりますと、この中で両首脳は、ロシアのプーチン政権に、経済制裁の継続を通じて圧力をかけ続ける必要性で一致したということです。
また、ゼレンスキー大統領から就任を祝福されたスナク首相は感謝を示したうえで「近いうちに直接会いたい」と伝えたとしています。
イギリスはウクライナに対し、軍事・経済の大規模な支援をしていて、スナク首相としては、ロシアに強硬な姿勢をとってきたジョンソン元首相やトラス前首相と同様、引き続き、ウクライナを全面的に支援する姿勢を示した形です。