音楽教室での楽曲使用料めぐる裁判 最高裁できょう判決

レッスンで使う楽曲について音楽教室が著作権使用料を支払う必要があるかどうかが争われている裁判で、最高裁判所が、24日判決を言い渡します。
争点は、生徒の演奏も対象になるかどうかに絞られていて、音楽教室での著作権について最高裁が判断を示すのは初めてです。

ヤマハ音楽振興会などおよそ250の音楽教室の運営会社などは、楽曲の著作権を管理するJASRACが、5年前、音楽教室からも楽曲の使用料を徴収する方針を示したことに対し、「支払う義務がない」と主張して訴えを起こしました。

1審の東京地方裁判所は、訴えを退けましたが、2審の知的財産高等裁判所は、先生と生徒の演奏を分けて考え、先生の演奏については使用料を徴収できるとした一方、生徒の演奏は徴収の対象にならないと判断しました。

判決を不服として双方が上告し、最高裁の審理では、生徒の演奏について音楽教室に使用料を徴収できるかどうかが争点となっています。

先月開かれた弁論で、JASRAC側は、「生徒が教師の指示なしに演奏することはなく、音楽教室の管理のもとで演奏させている」として徴収できると主張した一方、音楽教室側は、「生徒は技術向上のために自主的に演奏していて、場所や楽器を提供しているだけの音楽教室に支払いの義務はない」と主張しています。

判決は、24日午後、言い渡される予定で、音楽教室での著作権について最高裁が判断を示すのは初めてです。

使用料徴収 拡大の経緯は

JASRAC=日本音楽著作権協会は、作詞家や作曲家などの権利者から委託を受けて、CDなどの「録音」やコンサートなどの「演奏」、「放送」「ネット配信」など、幅広い分野で楽曲の使用料を受け取り、権利者に分配する管理業務を行っています。

昨年度の決算では「演奏」の収入は、161.5億円とネット配信、放送に次いで多く、コロナ禍で演奏会などが制限される中でも権利者にとっては重要な収入源となっています。

「演奏」の使用料は生演奏だけでなく録音物の再生も徴収の対象となっていて、JASRACではこれまで、1970年代には社交ダンス教室での音楽利用、1980年代には飲食店でのカラオケについて、さらに、ここ10年あまりではフィットネスクラブやカルチャーセンター、歌謡教室などにも徴収の範囲を拡大してきました。

そして、5年前には、ピアノ教室など、楽器の演奏を教える音楽教室から使用料を徴収する方針を示しました。1施設あたりの使用料は、音楽教室の形態や規模にもよりますが、包括契約の場合、受講料収入の2.5%としています。この方針について音楽教室側が「音楽文化の発展を妨げる」と反発し、訴えを起こしていました。

徴収はすでに始めていますが、司法の判断を待つ教室事業者も多く、JASRACによりますと契約を結んだ事業者は10あまりにとどまっているということです。

東洋大 安藤教授「中小規模の教室 経営に影響が出るおそれも」

音楽の著作権に詳しい東洋大学の安藤和宏教授は判決の影響について「音楽教室から徴収できるという結論になった場合、中小規模の教室の場合は経営に影響が出るおそれもある。どの楽曲を使用したのかJASRACへの報告などが必要になるので、手間と労力が増えることも考えられる」と指摘しています。

そのうえで「使用料は楽曲を制作・提供したアーティストのためのものだが、音楽教室のレッスンを通じて音楽を学んだ人も多く、教室から徴収することに批判や疑問を示すアーティストもいる。今回の判決は、音楽の著作権とは誰のためのものなのかを考えるきっかけにもなると思う」と話しています。