
ロシアのウクライナ侵攻8か月 冬を前に攻防いっそう激化か
ロシアがウクライナに軍事侵攻を始めてから24日で8か月となります。
ウクライナ軍は、南部ヘルソン州で反転攻勢を強める一方、ロシア軍は、発電所などへの攻撃を繰り返してウクライナ側を心理的に追い込む狙いともされ、冬を前にして双方の攻防がいっそう激しくなるとみられます。
ウクライナ軍は、先月から東部や南部で領土奪還に向けた反転攻勢を強め、ロシアが一方的な併合に踏み切った南部ヘルソン州では、ウクライナ軍の反撃が続いています。
ヘルソン州の親ロシア派は、住民の強制的な移住を進めるとともに、ロシア軍も部隊の撤退を始めたとされ、ことし3月以降、ロシアに占領されている中心都市ヘルソンを巡りウクライナ軍の奪還に向けた攻防が焦点となっています。
一方、ロシア軍は、今月中旬からミサイルやイラン製とみられる無人機も使い、発電所などエネルギー関連施設を狙った攻撃を繰り返しています。ウクライナ各地では停電が相次いでいて、冬が迫るなか、ロシア側としてはウクライナ側を心理的に追い込む狙いともみられます。
また、ロシアの独立系メディア「メドゥーザ」などは、プーチン政権と関わりが深いとされる民間軍事会社「ワグネル」が、ウクライナ東部ルハンシク州などで今月から防衛線の構築を始めたと伝えています。戦車の走行を阻むためのもので、コンクリート製のブロックの列の間には、地雷を設置すると伝えられ、衛星画像では、ブロックのほかざんごうが掘られているのも確認できます。冬を前にしてこれからロシア・ウクライナ双方の攻防がいっそう激しくなるとみられます。
一方、ロシア国防省によりますと、ショイグ国防相が23日、21日に続いて、アメリカのオースティン国防長官と電話会談を行ったということです。ショイグ国防相は、23日にはフランス、トルコ、イギリスの国防相とも相次いで電話で会談していて、プーチン大統領が核戦力の使用も辞さない構えを示すなど緊迫した情勢が続くなか、一連の会談でどういう議論が交わされたのか関心を集めています。
侵攻8か月 緊迫化する情勢
一方、ロシアのプーチン政権はウクライナ各地のインフラ施設を狙った攻撃を繰り返すとともに、核戦力の使用も辞さない構えで欧米を威嚇し続けていて、軍事侵攻の開始から8か月となる中、情勢はいっそう緊迫化しています。
一方的な併合強行したプーチン政権
またプーチン政権は先月、侵攻の長期化に伴って不足する兵員を補うため、予備役の部分的な動員に踏み切りましたが、抗議活動のほか周辺国へ逃れる人が相次ぐなど社会に動揺が広がっています。
イギリス国防省は、動員された兵士が訓練も装備も不十分なまま、戦地に送られているという分析も示しています。
反転攻勢強めるウクライナ軍
アメリカのシンクタンクは、ロシア軍がヘルソン州の西部から撤退を始めたという見方を示すなど、ロシア軍の劣勢が各地で伝えられています。
巻き返しを図るロシア ウクライナ各地へミサイル攻撃
戒厳令では、市民の権利や自由を必要な範囲で制限できるとされていて、戦時体制のもと強権的な手段をとることで、ウクライナ軍に対して巻き返しを図りたい思惑があるとみられます。
また、ロシア軍はこのところ、首都キーウなど各地のインフラ施設を狙ったミサイルや無人機による攻撃を繰り返しています。
ウクライナ側は、火力発電所が標的にされ、発電能力の少なくとも半分が失われたとするなど、本格的な冬を前に市民生活への影響が広がっています。
核戦力の使用も辞さない構え
欧米各国は警戒を強めていて、アメリカのバイデン大統領は今月6日「ハルマゲドン=最終戦争」ということばを使って、核兵器使用の懸念が現実味を帯びた、いわゆる「キューバ危機」以来の核の脅威に直面しているとの認識を示しました。
軍事侵攻の開始から8か月となる中、情勢はいっそう緊迫化しています。