ロシア軍 エネルギー関連施設を攻撃 ウクライナ7州で停電

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシア軍は、火力発電所など、エネルギー関連施設を狙った攻撃を続けています。
ウクライナ大統領府は、西部や南部の7つの州でおよそ150万戸が停電したとするなど、市民生活への影響が広がっています。

ウクライナでは、ロシア軍が今月中旬からミサイルや無人機によるエネルギー関連施設を狙った攻撃を集中的に行っています。

ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官は22日、SNSへの投稿で、西部フメリニツキー州や南部ミコライウ州など、7つの州で合わせておよそ150万戸が停電したとするなど、市民生活への影響が広がっています。

ウクライナのエネルギー相も21日、電力インフラの30%から40%が攻撃を受け、特に火力発電所が標的にされたことで火力発電能力の少なくとも半分が失われたと明らかにしていました。

ゼレンスキー大統領は22日「テロリストの主な標的はエネルギーだ。これまで以上に意識して電気を使うよう注意してほしい」と述べ、改めて節電を呼びかけました。
アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は22日、ロシア軍によるエネルギー関連施設への攻撃について「ウクライナが戦意を喪失する可能性は極めて低いが、気温の低下に伴い、経済的、人道的な課題がさらに増えるだろう」と指摘しています。

さらに、ロシア側は、一方的な併合に踏み切った東部ルハンシク州で、広範囲に及ぶ防衛線を築いていることがわかりました。

イギリス国防省が23日に発表した分析によりますと、防衛線は、プーチン政権とのつながりが指摘されるロシアの民間軍事会社「ワグネル」が築いているもので、ざんごうを掘ったり、戦車の進撃を阻む構造物などを設置したりして要塞化しているということです。

イギリス国防省は「ロシアは、現在の戦線の後方に深い防衛線を築くことに、多くの労力を払い、ウクライナの急速な反転攻勢を阻止しようとしている可能性が高い」としていて、東部では、「ワグネル」がウクライナ軍の反撃に対抗しようとしていると指摘しています。