ウクライナ軍 南部で反転攻勢続く ダム攻撃めぐり非難応酬

ウクライナ軍は南部ヘルソン州で反転攻勢を続け、1週間余りで新たに13の集落を解放しました。一方、ウクライナ側は、ロシア軍がヘルソン州の水力発電所のダムを攻撃する可能性があるとして、警戒を強めています。

ウクライナ軍は、南部ヘルソン州で反転攻勢を強め、ロシア側に占領された中心都市ヘルソンに向けて部隊を進めているとみられています。

ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官は21日、南部ヘルソン州で、これまでに88の集落がロシア軍の支配から解放されたと伝え、この1週間余りで新たに13か所が解放されたことになります。

こうした中、ゼレンスキー大統領は20日、ロシア軍が、ドニプロ川にある水力発電所のダムを攻撃する準備を進めているという情報があるとして、警戒を強めています。

このダムをめぐっては21日、国連安全保障理事会の会合でも取り上げられ、ウクライナのキスリツァ国連大使は「ロシアがウクライナ南部で大惨事を起こそうと準備を進めているという情報がある。ロシアがダムを爆破すれば、何十万人もの人が住む地域が洪水の被害を受ける」と述べたほか「ザポリージャ原子力発電所の冷却用の水がなくなるおそれがある」と指摘しました。

そのうえで、ロシアがダムを攻撃しないよう国際社会が監視すべきだと訴えました。

これに対してロシアのネベンジャ国連大使は、ダムを攻撃しようとしているのはウクライナ側だと主張し、非難の応酬となりました。

ダムの攻撃をめぐって、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は「ロシア側が攻撃を受けたかのように情報をねつ造するいわゆる偽旗攻撃によって、ヘルソンからの撤退など混乱を隠そうとしている」と指摘しています。