雇用調整助成金の特例措置 原則通常に戻し一部経過措置で調整

新型コロナウイルスの影響を受けた企業に対する雇用調整助成金の特例措置について、厚生労働省は、12月から中小企業への助成率を67%とするなど原則として通常に戻し、特に影響が続く企業に限って経過措置を設ける方向で調整に入りました。

雇用調整助成金は、企業が従業員を休業させた時に休業手当の一部を助成する制度で、新型コロナの影響を受けた企業には、助成金の上限や助成率を引き上げる特例措置が設けられています。

特例措置はコロナ禍からの経済の回復や雇用情勢などを踏まえ縮小されてきていますが、厚生労働省は、12月から原則として通常に戻す方向で調整に入りました。

1日当たりの上限額は8355円で変わりませんが、助成率は大企業では現在の75%が50%に、中小企業では90%が67%に戻ります。

一方で、売り上げが大幅に減少するなど影響が続く企業に限っては経過措置を設ける方向で、1日当たりの上限額は現在の1万2000円から9000円となりますが、通常時の8355円は上回る水準とします。

厚生労働省は今月24日に開かれる審議会で労使の意見を聞くなどしたうえで、月内にも最終的に決定する見通しです。

特例措置は最も手厚いときには企業の規模にかかわらず、1日の上限が1万5000円、助成率は中小企業で100%でした。

雇用調整助成金をめぐっては、特例措置が設けられて以降、支給決定額が6兆円を超え、雇用保険の財政が圧迫されているほか、労働移動の妨げになっているという指摘も出されています。