9月の消費者物価指数 3%上昇 消費増税影響除けば31年ぶり水準

家庭で消費するモノやサービスの値動きをみる9月の消費者物価指数は、天候による変動が大きい生鮮食品を除いた指数が、去年の同じ月を3%上回りました。
3%の上昇率は8年ぶり、消費税率引き上げの影響を除けば1991年8月以来、31年1か月ぶりの水準となります。

総務省によりますと、9月の消費者物価指数は、生鮮食品を除いた指数が去年9月の99.8から102.9に上昇しました。

主な要因は、原材料価格の上昇に急速な円安の影響が重なった食料品の値上がりで、「生鮮食品を除く食料」は去年の同じ月を4.6%上回り、1981年8月以来、41年1か月ぶりの水準となっています。

具体的には、去年の同じ月と比べて
▽「食用油」が37.6%
▽「食パン」が14.6%
▽「からあげ」が11.3%
上昇しています。

また「エネルギー」全体では去年の同じ月と比べて16.9%上昇していて
▽電気代が21.5%
▽ガス代が19.4%
それぞれ上がっています。

このほか、電化製品では
▽「ルームエアコン」が14.4%
▽「ドラム式電気洗濯機」が32.1%
上昇しています。

総務省は「急速な円安による原材料の輸入コストの増加が物価の上昇につながっていて、さらに円安が進んでいることから、今後も影響が続くとみられる。10月は食料品などの値上がりが相次いでいて、引き続き、物価の動向を注視していきたい」としています。

鈴木財務相「電気代やガス代の負担軽減策の策定進める」

鈴木財務大臣は閣議のあとの会見で、消費者物価指数が3%上昇したことについて、ロシアのウクライナ侵攻などによる原材料価格の上昇や、急速な円安が影響しているとしたうえで、電気代やガス代の負担軽減策の策定を進めていく考えを示しました。

この中で、鈴木財務大臣は「今の物価高騰は、ウクライナ情勢などによる国際的な原材料価格の上昇に加えて円安などが影響していると考えている。こうした物価高は消費者の暮らしや事業者の経営に大きな影響を与えている」と懸念を示しました。

そのうえで、鈴木大臣は「切れ目のない対応を講じていくことが重要だと考えており、今月中に総合経済対策を策定する予定だ。電気やガスなどの負担軽減策を通じて、エネルギー・食料品などの価格高騰から国民生活・事業活動を守る対応をしていく」と述べました。

一方で、歳出が拡大しすぎると、日本の経済や財政にとってマイナスではないかという質問に対して、鈴木大臣は「バラマキのような形で際限なく、やってはいけない。現に家計が苦しい人がいるのでそういう方々への対応をする」と述べ、物価高騰の影響を大きく受けている人たちへの的を絞った支援が重要だという認識を示しました。

山際経済再生相「物価高要因の1つに円安 きちんと手当てを」

山際経済再生担当大臣は、21日の閣議後の記者会見で「物価高の要因の1つに円安が含まれている。政府としては円安の結果、物価が高くなっていることに対してきちんと手当てしないといけない」と述べ、今月中に取りまとめる総合経済対策に物価高への対応策を重点的に盛り込む考えを示しました。

また、物価上昇が進む中で課題となっている企業の賃上げについては「コストプッシュ型の物価上昇が続いているので、政府としては物価上昇率をカバーする賃上げを目標として労使で合意をいただきたい。実質賃金が上がるように、来年の春闘に先立って労使が参加する形で議論を進めていきたい」と述べ、賃上げを促していく考えを示しました。

松野官房長官「価格高騰から国民生活と事業活動 守る」

松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「原材料価格の上昇や円安の影響で、輸入物価が高い水準で推移してきたことにより、食料品価格や電気代・ガス代などのエネルギー価格が上昇したことが主因だ」と指摘しました。

そのうえで「物価高騰に対する追加策を速やかに実施するとともに、総合経済対策を今月中に策定する。経済対策には、電気料金負担の激変緩和措置などの施策を盛り込み、エネルギーや食料品などの価格高騰から国民生活と事業活動を守り抜くとともに、構造的な賃上げに向け、人への投資の抜本的強化や成長分野への労働移動を同時に強力に推進していく」と述べました。