岸田首相 “旧統一教会の被害を放置 深刻に受け止める”

岸田総理大臣は、参議院予算委員会で、政府が、平成27年に旧統一教会の名称変更を認証する際、すでに被害を把握していたことを踏まえ、「今日(こんにち)まで放置したことを強く、深刻に受け止める」と述べ、被害者救済などの対応を進めていく考えを示しました。

日本維新の会の猪瀬参議院幹事長は新型コロナ対策としてのマスク着用をめぐって、質問席と答弁席の距離は2メートル程度あり、間にはアクリル板もあるとして、いったんはマスクを外して質問しましたが、末松委員長から注意を受けたため着用しました。

そのうえで「渋谷のスクランブル交差点と、パリやロンドンの街頭の写真を比べると、なんで日本だけマスクをしているのか。岸田総理大臣は『屋外ではマスクをしなくていい』と言っているが、全然、周知されていないのではないか」とただしました。

岸田総理大臣は「屋外では原則としてマスクは不要で、屋内でも人との距離が確保できて、会話がほとんどない場合は不要だ。一方、答弁をする際は、飛まつやエアロゾルが発生するとされ、1つの部屋で密な状況だ。闊達な議論が朝9時から7時間に渡って行われ、私の答弁が不十分だと、大きな声が巻き起こる。こうしたことを考えると、マスクが奨励される」と述べました。
国民民主党の浜口誠氏は、政府が今月決定する総合経済対策をめぐり、「国民民主党はいち早く総額23兆円規模の緊急の経済対策をまとめた。『インフレ手当』を1人あたり10万円給付することや、消費税を期間限定で5%に引き下げるなどさまざまなメニューがあり、提案を受け止めてほしい。政府の検討状況や予算規模を説明していただきたい」と求めました。

岸田総理大臣は「総合経済対策では電気やガス、ガソリン価格への対策が目玉になる。内容がまず大事だが、規模についても重要だという指摘は傾聴に値する。価格高騰の現状は格段、厳しい状況になっておりアメリカや中国の経済状況を考えると、わが国の経済の下振れリスクになるのではないか。こうした議論の中で、国民の心に届くような規模を考えていきたい」と述べました。
また、西村経済産業大臣は、来年春に想定される電気料金の値上がりについて、「平均的な家庭での使用量を機械的に計算すると2、3割程度の値上がりとなる。1か月の電気代が現在1万円と考えると、そこから2000円から3000円、上昇する」と説明しました。

その上で、電気料金の負担を和らげる新たな支援制度について「支援の幅はそれぞれの家庭において、平均的な負担増に対応する額としようということで、与党の党首間で合意がなされている」と述べました。
旧統一教会をめぐって、文化庁が平成27年に「世界平和統一家庭連合」への名称変更を認証したことについて、共産党の山添拓氏は、「文化庁は裁判などを通して、違法行為の組織性も悪質性も継続性も十分把握していたはずだが、解散命令の請求はおろか、調査も十分行わず、逆に『正体隠し』に加担する名称変更を認めた。そのもとで被害が拡大してきたことについて、政府の責任をどのように認識しているか」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は、「被害者が存在し、さまざまな形で政府には情報として入っていたわけだから、それを今日まで放置したことについては、政府として、強く、深刻に受け止めなければならない。だからこそ、宗教法人法の手続にのっとって事実把握に努めるとともに、被害者の救済、そして今後こうしたことが2度と起こらないために必要な法改正の、3つを進めていく」と述べました。
れいわ新選組の天畠大輔氏は、障害者への合理的配慮をめぐり、「国会も『温情主義的』で本当の意味での合理的配慮を理解していない。私の発話は時間がかかるが、持ち時間のカウントダウンを止めるか否かの判断は、最終的には委員長の個人裁量に委ねられる。健常者の議員と同じ土俵に立てないので、質疑時間自体を延ばす対応が必要だ」と指摘しました。

これに対して岸田総理大臣は、「合理的配慮が欠如しているといった指摘は、国会に関わる者すべてが重く受け止めなければならない。この国会の制度の中で、どれだけ、指摘に応えられるかみんなで考えていきたい」と述べました。
NHK党の浜田政策調査会長は国民の所得に占める税金や社会保険料の負担の割合を示す「国民負担率」について「令和4年度は46%で、いわば稼いだ額の半分をお上が召し上げる状況で、国民の活力がなくなるのは当然だ。下げようという意思はあるか」とただしました。

これに対し、岸田総理大臣は、「少子高齢化に伴う社会保障給付の増大により、上昇傾向が続いている。社会課題を成長のエンジンに転換し、持続可能な経済成長を実現することで、国民所得を増やしていきたい。合わせて若者世代の負担増の抑制などについて、幅広く検討を行い、能力に応じて支え合う持続可能な社会保障制度の構築に向けて議論を進めたい」と述べました。

井野防衛副大臣「しんぶん赤旗の報道 確認できず」

井野防衛副大臣は、「しんぶん赤旗日曜版」で、旧統一教会と関連するとみられる団体に2014年、パーティー券を買ってもらっていたと報じられたことについて、20日午後の参議院予算委員会で「現時点では、資料がなく確認できていない」と説明しました。

その上で、その団体の代表について、「支持者、応援していただいている立場と認識している」と述べました。

重い手足のまひ 天畠議員が質問

ことし7月の参議院選挙で初当選し、重い手足のまひや発話障害があるれいわ新選組の天畠大輔議員が20日の参議院予算委員会で質問しました。

天畠議員は、通訳者が付きそう中、障害者政策や経済対策などについておよそ45分間にわたって岸田総理大臣や加藤厚生労働大臣らに質問しました。

質問は、事前に政府側に通告し、通訳者がそのまま読み上げたものに加え、天畠氏が介助者と「あかさたな話法」と呼ばれる方法でコミュニケーションをとりながらその場で3問を質問したほか、政府側の答弁に対する評価などを述べました。

「あかさたな話法」は、本人の腕をつかんだ介助者が「あかさたな、はまやらわ」と50音の「行」の頭文字を読み上げ、本人が腕を動かして反応して、ひらがなの「行」をまず選びます。

次に「あ」から「お」までの「段」を同じ手順で選び、文字を決定して文章を作っていくものです。

20日の質問にあたっては予算委員会の理事会で与野党が協議し、天畠氏がその場のやり取りのなかで次の質問を通訳者を通じて作り上げる間は、準備の時間と見なし、割り当てられた質問時間には含めないという配慮を行うことを確認していました。

天畠氏は、8月の参議院厚生労働委員会で初めて質問を行い、20日は2回目でした。