「中傷ツイートに『いいね』は名誉毀損」国会議員に賠償命じる

ひぼう中傷する内容のツイートに多くのフォロワーがいる国会議員が繰り返し「いいね」を押したことが名誉毀損にあたるかどうかが争われた裁判で、2審の東京高等裁判所は「侮辱する内容のツイートに賛同の意を示すことは名誉感情の侵害にあたる」という判断を示し、1審とは逆に国会議員に賠償を命じる判決を言い渡しました。

ジャーナリストの伊藤詩織さんは2018年に不特定多数の人が投稿した自身をひぼう中傷するツイートに繰り返し「いいね」を押されてフォロワーに拡散され、名誉を傷つけられたとして杉田水脈総務政務官に対し賠償を求めました。

1審判決は「いいね」を押す行為について「非常に抽象的でさまざまな意味を持つ表現行為で、特段の事情がないかぎり違法とはならない」と判断して訴えを退け、伊藤さんが控訴していました。

20日の2審の判決で東京高等裁判所の石井浩裁判長は「伊藤さんへの批判を繰り返していた杉田議員が侮辱する内容のツイートに賛同の意を示すことは、名誉感情の侵害にあたる」と判断しました。

そのうえで、「名誉を傷つける意図を持って『いいね』をしたと認められる。11万人ものフォロワーがいるうえ、国会議員であり影響は大きい」と指摘して、1審とは逆に訴えを認め、55万円の賠償を命じました。

「いいね」を押す行為について名誉毀損にあたると判断し、賠償を命じた判決は初めてとみられます。

伊藤詩織さん「『いいね』増えていくのは苦しかった」

判決のあと記者会見した伊藤詩織さんは、「名誉を傷つける意図があったと認められたのは画期的だと思う。私を中傷するツイートに『いいね』がどんどん増えていくのを見るのは苦しかった。誰もが『いいね』を押す時には自分にどんな意図があるのか立ち止まって考えてほしいし、ツイートの内容が人を傷つけるものである時にはさらによく考えてほしい」と話しました。

杉田政務官の事務所「対応を検討」

杉田水脈総務政務官の事務所は「1審と異なる判断をされたことから、判決内容をよく精査し、対応を検討します」とコメントしています。

専門家「『いいね』行為でも責任伴うこと認識を」

SNSのひぼう中傷に詳しい国際大学の山口真一准教授は、1審と2審の判決の違いについて「1審は、ツイートへの賛同を示す意図だけでなく、ブックマークなどさまざまな意図で『いいね』を使うユーザーがいるという、ツイッターの文化を考慮した判断だったが、2審は、特にフォロワー数が多く影響力のある人が賛同ともとれる行為をすると名誉毀損にあたるという、一歩踏み込んだ判断を示した」としています。

そのうえで、「『いいね』という気軽にできる行為でも責任が伴うことが示された。そのことをよく認識したうえで、SNSを利用することが大切だ」と話しています。