ロシア戒厳令導入 ウクライナ大統領“住民に招集行う可能性”

ロシアのプーチン大統領は、一方的に併合に踏み切ったウクライナ東部と南部の4つの州に戒厳令を導入しました。ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアを非難するとともに、この地域の住民に対し、ロシア軍が招集を行う可能性があるとして、占領地を離れるか、仮に軍に所属することになっても直ちに投降するよう呼びかけました。

ウクライナ軍は、ロシアが一方的に併合に踏み切った南部ヘルソン州で反撃を続け、今後、ロシア側に占領された中心都市ヘルソンに向けて部隊を進軍させるとみられています。

こうした中、ロシアのプーチン大統領は19日、一方的な併合に踏み切ったヘルソン州などウクライナ東部と南部の4つの州を対象に、戒厳令を導入する大統領令に署名したと明らかにしました。

戦時体制のもと、強権的な手段をとることで、ウクライナ軍に対し巻き返しを図りたい思惑があるとみられます。

これに対しウクライナのゼレンスキー大統領は19日、「敗北が近づくにつれて強まるヒステリーのようなものだ」とロシアを非難しました。

そのうえでこの地域の住民に対し、ロシア軍が招集を行う可能性があるとして、占領地を離れるか、仮に軍に所属することになっても直ちに投降するよう呼びかけました。

また、アメリカのバイデン大統領も「プーチンができることはウクライナの国民に残虐な行為をし、脅して降伏させようとすることだけなのだろう」と批判し、反転攻勢を続けるウクライナ軍に対してロシア側が厳しい状況に置かれていると強調しました。

ヘルソン州では、親ロシア派が住民をロシア側などに強制的に移住させる動きも出ていて、戦況で劣勢に立たされるロシア側が今後、どのような行動に踏み切るのかが焦点です。

松野官房長官「戦局に与える影響を注視」

松野官房長官は、午前の記者会見で「政府としてロシア側の意図について申し上げることは差し控えるが、今後の戦局に与える影響を引き続き注視していく」と述べました。

そのうえで「ロシアによるウクライナ国内地域の違法な併合と称する行為は、主権と領土の一体性を侵害し、国際法に違反する行為であり、決して認めてはならず強く非難する。引き続き、G7=主要7か国をはじめとする国際社会と緊密に連携し、ロシアに対し即時に侵略を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう改めて強く求める」と述べました。