コロナ オミクロン株 BA.1とBA.5対応 ワクチン選べる?改訂版

新型コロナウイルスのオミクロン株のうち、感染の主流になっている「BA.5」に対応するワクチンの接種が10月13日から始まっています。

厚生労働省は「少なくとも5か月」としていた前回の接種からの間隔を「少なくとも3か月」に短縮することを決めました。厚生労働省はすでに接種が始まっている「BA.1」対応ワクチンと「BA.5」対応ワクチンとで、合わせておよそ9908万人分のワクチンを年末までに配送する計画です。

自治体ごとに2つのワクチンの接種が進められていますが、私たちが接種するときにワクチンを選ぶことができるのかなど、疑問点をQ&A方式でまとめました。

(10月13日公開の記事を20日時点の情報で更新しました)

Q.2つのワクチン接種はどう進められる?

新型コロナウイルスのワクチン接種は原則、住民票のある自治体で行われます。
厚生労働省は2つのワクチンの扱いについて、自治体に対し次のように説明しています。

まず、接種会場に「BA.5」対応ワクチンが配送された際に「BA.1」対応ワクチンが残っている場合について、ワクチンに有効期限があることから、無駄にならないよう有効期限の到来が早いものから順番に使うようにする必要があるとしています。

また、「BA.1」対応ワクチンから「BA.5」対応ワクチンに切り替える際に、一時的に両方のワクチンを同時に使用することも差し支えないとしています。

Q.どちらを打つか選べるの?

次に2つのワクチンを住民が選択できるようにするかについてです。
厚生労働省は自治体に対し、住民の予約時に、使用するワクチンが「BA.1」対応ワクチンか、「BA.5」対応ワクチンかは明示する必要はないとしています。

自治体の判断でどちらのワクチンを使用しているかなどを情報提供することも可能としていますが、厚生労働省は、ワクチンの配分計画では「BA.1」対応ワクチンと「BA.5」対応ワクチンを合わせて必要な量を配分する予定であることに留意してほしいとしています。
一方、「BA.5」対応ワクチンの接種が始まってから1週間がたちますが、有効期限の近い「BA.1」対応ワクチンの接種を進め、今後「BA.5」対応ワクチンに切り替えを計画している自治体や、集団接種会場では「BA.1」対応ワクチン、医療機関など個別接種会場では「BA.5」対応ワクチンと会場ごとに分ける自治体、そして、すでに「BA.5」対応ワクチンに切り替えて接種を進めている自治体など、対応にばらつきがあるのが現状です。

早い段階で「BA.5」対応ワクチンに切り替えた場合、将来的に有効期限が近い「BA.1」対応ワクチンが残る可能性もありますが、厚生労働省は新たに「BA.5」対応ワクチンを配送するかどうかは未定だとしています。

Q.どちらを打つのがいい?

厚生労働省はオミクロン株の成分が含まれる2つのワクチンは、いずれも従来のワクチンを上回る効果が期待されているほか、今後の変異株にも効果がある可能性が高いとしています。
そのうえで、2つのワクチンの効果を比較するデータが現時点では確認できていないとしていて、その時接種できるオミクロン株対応ワクチンをできるだけ早く打ってほしいと呼びかけています。

これについて臨床ウイルス学が専門でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫特任教授は次のように話しています。
「現在、主流となっている『BA.5』に対しては感染や発症を防ぐ効果は、今回のワクチンのほうが高いと思われる」。

「『BA.1』と『BA.5』の違いは従来のウイルスとその後の変異ウイルスの違いと比べると大きなものではない。『BA.1』対応のワクチンでも重症化を防ぐ効果は十分期待できる。いま『BA.1』対応のワクチンを予約しているのならそれを接種すればいいのではないか。接種間隔が3か月間に短縮されたが、前回の接種からちょうどいい時期に『BA.5』対応のワクチンが出回るなら『BA.5』対応のワクチンを接種すればいいだろう。接種できる機会を逃さずに接種するというのが基本だと思う。」

Q.今後の接種スケジュールは?

オミクロン株に対応したワクチンの接種対象となるのは、従来のワクチンで2回目までを終えた12歳以上のすべての人です。
年末年始に懸念される「第8波」の感染拡大に備え、厚生労働省は年内に希望するすべての人に接種を行えるようにする方針を示していて、前回の接種からの間隔が「少なくとも5か月」から、「少なくとも3か月」に短縮されました。

厚生労働省は、オミクロン株対応ワクチンの接種を先月20日から開始していて、年末までに対象となる人数をおよそ1億人と想定しています。
厚生労働省は、ファイザー社の「BA.1」対応ワクチンと「BA.5」対応ワクチン、モデルナ社の「BA.1」対応ワクチン、合わせておよそ9908万回分を来月下旬にかけて自治体に配送する計画です。

このほか、モデルナ社の「BA.1」対応ワクチン500万回分が、今月17日から始まった職域接種のために確保されていて、対象者全員分のワクチンが確保されているということです。

Q.海外で広がる新しい変異ウイルスに効果はあるの?

「第8波」では海外から新たな変異ウイルスが流入し感染が拡大するケースが予想されています。

懸念されるオミクロン株の変異ウイルスとして、シンガポールなどで広がっている「XBB」と呼ばれるタイプのウイルスや、アメリカやインド、ヨーロッパ各国などで検出されている「BA.2.75.2」が挙げられています。

これについて、厚生労働省はワクチンが新たな変異ウイルスに効くかどうかを判断できるデータはまだなく、現状「BA.1」対応ワクチンと「BA.5」対応ワクチンが効くかどうか言える状況ではないとしています。
東京医科大学の濱田篤郎特任教授は新たな変異ウイルスについて「同じオミクロン株の範囲なので重症度合いが高まるとは考えにくいが、感染力が高まっていないか注視する必要がある」とした上で、「大事な点は、今始まっているオミクロン株ワクチンを打つことだ。オミクロン株だけではなくて新型コロナ全般への免疫も増すので、ぜひこのワクチン接種を受けてほしい」と話しています。