遠隔授業だけの大学に授業料の返還請求 訴え退ける 東京地裁

充実した学生生活を期待して大学に入学したのに、コロナ対策でオンライン授業しか受けられなかったとして、都内の元大学生が大学に授業料の返還などを求めた裁判で東京地方裁判所立川支部は、対応に問題はなかったと判断し、訴えを退けました。

2020年4月に東京 日野市の明星大学に入学し、その後、中退した元大学生は、「教員から直接指導を受けたり、友人と交流したりすることを楽しみにしていたのに、コロナ対策でオンライン授業となって1年間、対面での授業がなく、大学の施設も利用できなかった」として、大学に対し、授業料などの一部の返還や、慰謝料の支払いを求めました。

19日の判決で、東京地方裁判所立川支部の西森政一裁判長は、「オンライン授業を積極的に取り入れる運用は、新型コロナが蔓延する中で休校となるのを避け、授業の実施を可能にするための合理的な選択肢だった」と指摘しました。

そのうえで、「大学は1年生向けの交流会の実施や、図書館を利用させるなど学生がオンライン授業の受講に終始しないよう配慮していた」などとして、対応に問題はなかったと判断し、訴えを退けました。

判決を受けて元大学生は、「納得できない。ほかの学部や大学が対面授業を再開したあとに、自分の学部も再開していれば提訴はしなかったと思う。学生たちの苦しみを大学はわかっているのか。控訴するかしないかは弁護士と相談して決めたい」とするコメントを出しました。