ウクライナの市長 “ロシアに核の脅迫やめさせる議論を”

核兵器の廃絶を目指す166の国と地域の8000を超える自治体でつくる平和首長会議の総会が19日から広島市で始まります。これを前に会議に加盟するウクライナのドニプロ市の市長がNHKの取材に応じ、総会ではロシアに脅迫をやめさせるための議論を行うべきだという考えを示しました。

40年前の昭和57年に広島市と長崎市が世界に呼びかけて設立された平和首長会議の総会はオンラインも合わせて27の国の142の自治体の代表が出席して19日と20日の2日間、広島市中区で開催されます。

ロシアの侵攻を受けているウクライナからは加盟する5つの市がいずれも出席を見送りましたが、東部ドニプロ市のボリス・フィラトフ市長が総会を前にNHKの取材に応じました。

ドニプロ市ではロシア軍による砲撃などで市民に多くの犠牲者が出ているほか、戦闘が続くドネツク州やザポリージャ州などと隣接していることから戦闘に巻き込まれた東部を中心に各地から市民が避難してきています。

フィラトフ市長は今の市の状況について「私たちは侵略国であるロシアからロケット弾の攻撃を受けている。彼らは基本的なインフラ施設、暖房、電気、通信をねらって攻撃している」と説明しました。

そのうえで「冬に向かって絶対必要な物を破壊し、われわれに生活ができないようにするつもりだ。戦争と何の関係もない民間人が犠牲になっている。これは文字どおりテロだ」とロシアを強く非難しました。

また今回の総会について「ロシアは罰せられることもなく国連憲章に違反し、世界を核兵器で脅迫している。私たちはまずその脅迫を放棄させることなどに関して議論しなければならない。このまま続けば、世界が元に戻れなくなる可能性がある」と述べ、ロシアに脅迫をやめさせるための議論を行うべきだという考えを示しました。

そして「戦争は本当に怖いし慣れるのは難しい。自治体レベルでもほかのレベルでも、私たちの街の状況を皆さんに知ってもらいたい」と訴えました。