【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(19日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる19日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 一方的併合のウクライナ4州に戒厳令

ロシアのプーチン大統領は19日、オンライン形式で安全保障会議を開催し、「ウクライナの政権は交渉を拒否して、わが領土を砲撃し続けている」と批判しました。

そのうえで、ロシアが一方的な併合に踏み切ったウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州、南部のヘルソン州とザポリージャ州の4つの州を対象に戒厳令を導入する大統領令に署名したと明らかにしました。

プーチン大統領は、これまでウクライナへの軍事侵攻について「特別軍事作戦」としてきましたが、ウクライナ軍からの反撃を受けるなかで4つの州を対象に戦時体制に移行することを明確にしたものと見られます。

ゼレンスキー大統領 女性の捕虜交換で兵士や民間人108人解放

ウクライナのゼレンスキー大統領は、17日に公開したビデオメッセージで、ロシア側と女性の捕虜の交換を行い、兵士や民間人など108人が解放されたことを明らかにしました。

また、今回解放された女性の中には、親ロシア派の武装勢力が活動しているウクライナ東部で、2019年から拘束されていた人も含まれているということです。

一方、東部ドネツク州の親ロシア派の指導者、プシリン氏は、SNSへの投稿で、今回の捕虜交換によりウクライナ側からは船員と軍人、あわせて110人の引き渡しが決まり、そのほとんどが女性だと説明しています。

ロシア側 ヘルソンなどの住民を強制移住へ

ウクライナ軍は、ロシアが一方的な併合に踏み切った南部ヘルソン州の奪還に向け、反転攻勢を強めています。

こうした中、ヘルソン州の親ロシア派のトップは、19日、ヘルソンなどの住民、5万人から6万人をおよそ1週間かけてこの地域を流れるドニプロ川の対岸や、ロシア側に強制的に移住させると明らかにしました。

すでにこの2日間でヘルソン州全体で住民のおよそ4割が離れたとしています。
また、占領政策を行う統治機構も安全な場所に移していると明らかにし、ロシア側も現地の厳しい状況を認めた形です。

ロシア軍新総司令官「非常に困難な状況 難しい決断排除せず」

ウクライナ侵攻を続けるロシア軍の新たな総司令官に今月任命されたスロビキン氏は18日、国営ロシアテレビのインタビューで、現状について「緊迫している」と述べ、ウクライナ軍の反転攻勢が強まっているという認識を示しました。

特にロシアが支配し一方的に併合したとする南部ヘルソン州の戦況については「非常に困難な状況にある」としたうえで「われわれは難しい決断を下すことも排除せず、迅速に行動する」と述べ、何らかの行動に踏み切ることも示唆しました。

またヘルソン州の親ロシア派のトップは18日、SNSに投稿したビデオ声明で「ウクライナ側は大規模な攻勢に備えて戦力を増強している。戦場は、われわれの町や村になるかもしれない」と述べ、一部地域の住民の退避を決定したと明らかにしました。

さらに別の親ロシア派の幹部も声明を出し「近くウクライナ軍がヘルソンへの攻撃を開始するだろう」と述べ、ウクライナ軍が中心都市ヘルソンの奪還に乗り出す可能性に触れたうえで、住民に対して「できるだけ早く退避することを求める」と呼びかけました。

ゼレンスキー大統領「ロシアは軍事的かつ政治的な破綻認めた」

ウクライナのゼレンスキー大統領は18日、新たに公開した動画で「ロシアがイランに支援を求めたということは、軍事的かつ政治的な破綻を認めたことにほかならない」と述べました。

そのうえで「そうした支援は、戦略的にロシアの助けにならない。ロシアが敗北に向かっていることと、テロの共犯者として誰かを引き込もうとしていることを示すだけだ」として、ウクライナ側がイラン製だと指摘する無人機などを使って攻撃を続けるロシアを非難しました。

米国務省副報道官 ロシアとイランの接近は“世界にとって脅威”

ロシアとイランの軍事的な接近について、アメリカ国務省のパテル副報道官は、18日の記者会見で「世界全体にとって脅威と見なすべきものだ」と述べ、警戒感を示しました。

そのうえで「アメリカはイランが兵器を供与できなくなるよう、制裁や輸出規制などの実用的かつ積極的な措置をとり続ける」と述べて、イランによるロシアへの軍事支援に歯止めをかけるため、追加の措置を講じる考えを示しました。

松田駐ウクライナ大使 エネルギー施設の復旧支援意向伝える

ウクライナのエネルギー省は、日本の松田邦紀駐ウクライナ大使が、首都キーウでハルシチェンコ・エネルギー相と会談し、ロシア軍の攻撃で被害を受けたエネルギー関連施設などの復旧を支援する意向を伝えたと、18日発表しました。

それによりますと、松田大使は17日に行われた会談で、ロシア軍の攻撃によるエネルギー関連施設の被害状況や復旧作業の現状などについて、ウクライナ側から説明を受けました。

そのうえで松田大使は、日本政府としてロシア軍の攻撃で被害を受けたウクライナ国内のエネルギー関連施設の復旧に必要な機材の提供などの支援を行う用意があるとの意向を伝えたということです。

松田大使はNHKの取材に対し「引き続き緊密に連絡を取り合い、支援の内容を具体的に詰めていくための情報収集を進めたい」と述べました。

ウクライナで停電・断水 ロシア軍の攻撃で影響広がる

ウクライナでは17日に続いて18日もロシア軍による攻撃が各地で確認され、ゼレンスキー大統領は国内の発電所の3割が破壊されたとしてロシアを非難しています。

このうち首都キーウのクリチコ市長はSNSで、市内の発電所への攻撃で3人が死亡したと明らかにしました。

発電所の周辺の一部地域では停電や断水が起きています。

キーウ市内では、一部の地域で信号機が消えていたほか、電気で動くトロリーバスの運行ができなくなるなど、公共交通機関にも影響が出ています。

このほか、自家発電機を使って電気を確保する店舗も見られ、本格的な寒さを迎えるのを前に、ロシア軍の攻撃による市民生活への影響がさらに広がっています。