【解説】ロシアが調達したイラン製無人機で首都キーウを攻撃か

17日朝、キーウで複数の爆発があり、ウクライナのイエルマク大統領府長官は「ロシアによる自爆型の無人機による攻撃を受けた」と明らかにしました。キーウのクリチコ市長は、建物が被害を受け、これまでに妊娠6か月の妊婦などが死亡したと明らかにし、救助活動を続けているとしています。

今回、首都キーウを襲った自爆型の無人機。

ウクライナ国防省は、ロシア軍が最近多用しているイラン製の無人機。

ゼレンスキー大統領は、先週、ロシア軍による「シャヒド136」の使用頻度が極めて高く、ロシアはイランから2400機受注した情報があるなどと強い懸念を表明していました。

さらに懸念されているのは、「シャヒド136」よりも攻撃力の高い無人機「アラシュ2」をロシアが調達するという情報です。
「アラシュ2」は「アラシュ」の改良型で、イランが敵対するイスラエルを攻撃するために最近開発したばかりと言われています。

「シャヒド136」よりも飛行距離が長く、爆薬もより多く搭載できるとされて、欧米は警戒を強めています。

さらにアメリカの新聞ワシントンポストは「イランが短距離弾道ミサイルをロシアに売却する計画だ」だと伝えました。無人機だけでなく弾道ミサイルも、となると問題の深刻さが新たなレベルに上がります。

EU=ヨーロッパ連合はイランがロシアに対する兵器供与を増やしているのであれば、問題だとしてきょう開かれているEU外相会議でも協議する見通しです。しかし、当のイラン政府はというと、ロシアにイラン製の兵器が売却されているというのは、欧米側の作り話だとして完全否定しています。

欧米はロシアが欧米による制裁を受けてミサイルなどの兵器を自国内で生産できず、イランに頼らざるを得ない状況だとみています。イランとロシアがどこまで連携を深めていけるのか。欧米は、ロシアだけでなくイランに対するさらなる制裁措置も視野に対応を検討しています。


(10月17日のBS国際報道2022で放送された内容です)
(動画は6分6秒。データ放送ではご覧になれません)