ロシア大統領府のペスコフ報道官は18日、ロシアが一方的な併合に踏み切ったウクライナ東部と南部の4州について、ロシアの法律や経済、そして安全保障にこれらの地域を統合するための作業が進められていると説明しました。
そして記者団からこれらの地域にロシアの「核の傘」が適用されるのか、質問されたのに対し「これらはすべてロシアの不可分の地域だ。われわれの保護の元にあり、ロシアのほかの地域と同じレベルで安全が確保される」と述べました。
ペスコフ報道官の発言は、一方的に併合したウクライナの地域もロシア軍の核戦力による「核の傘」の保護の対象だという認識を示したものとみられ、領土奪還を目指すウクライナや軍事支援を続ける欧米諸国をけん制するねらいがうかがえます。

【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(18日の動き)
ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる18日(日本時間)の動きをお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
ロシア報道官 一方的併合4州 “ロシアの「核の傘」保護対象”

ロシア軍 ウクライナ各地でインフラ施設や集合住宅攻撃
ウクライナでは17日夜から18日朝にかけて、首都キーウを含む各地でインフラ施設や集合住宅がロシア軍の攻撃を受け、1人が死亡したほか停電や断水などの影響が各地で広がっています。
このうち首都キーウのクリチコ市長は18日朝、市内の重要なインフラ施設が攻撃されたとSNSに投稿しました。
ロシア軍の攻撃は、ウクライナの各地で確認され、大統領府は、南部の都市ミコライウで、集合住宅にミサイルが着弾し、1人が死亡したと発表しました。
また、北西部の都市ジトーミルでも、エネルギー関連施設が破壊され、地元の市長は、停電や断水が起きているとSNSに投稿しました。
このうち首都キーウのクリチコ市長は18日朝、市内の重要なインフラ施設が攻撃されたとSNSに投稿しました。
ロシア軍の攻撃は、ウクライナの各地で確認され、大統領府は、南部の都市ミコライウで、集合住宅にミサイルが着弾し、1人が死亡したと発表しました。
また、北西部の都市ジトーミルでも、エネルギー関連施設が破壊され、地元の市長は、停電や断水が起きているとSNSに投稿しました。
ウクライナ国内 イランに対する抗議の動き広がる

ウクライナ政府は、ロシアがイランから供与された自爆型の無人機を攻撃に使ったとしていて、国内ではイランに対する抗議の動きが広がっています。
ウクライナ外務省は17日発表した声明で、先週だけでもロシアが100機以上のイラン製の無人機を使って各地で住宅や発電所などを攻撃し、子どもを含む多数の死傷者が出たほか、エネルギー関連施設の3分の1が被害を受けたとしています。
そのうえで、「ウクライナへの侵略戦争に武器を供与し市民を殺害することはイランがロシアの侵略・戦争犯罪・テロ行為に共謀することになる」とし、いかなる兵器の供与も直ちに停止するよう、イラン政府に対して求めました。
またクレバ外相がEU=ヨーロッパ連合の加盟国の外相に対し、イランがロシアのテロ行為に加担したとして、イランに対し制裁を科すよう求めたことも明らかにしました。
一方、17日、キーウのイラン大使館前には市民が集まり、「私たちを殺すのをやめて」と書かれたプラカードやウクライナ国旗を掲げて抗議をしたり、ろうそくに火をともして犠牲者を追悼したりしていました。
参加者の1人は「イランにはウクライナで民間人に犠牲が出ていることに目を向けロシアへの兵器の供与をやめてほしい」と訴えていました。
ウクライナ外務省は17日発表した声明で、先週だけでもロシアが100機以上のイラン製の無人機を使って各地で住宅や発電所などを攻撃し、子どもを含む多数の死傷者が出たほか、エネルギー関連施設の3分の1が被害を受けたとしています。
そのうえで、「ウクライナへの侵略戦争に武器を供与し市民を殺害することはイランがロシアの侵略・戦争犯罪・テロ行為に共謀することになる」とし、いかなる兵器の供与も直ちに停止するよう、イラン政府に対して求めました。
またクレバ外相がEU=ヨーロッパ連合の加盟国の外相に対し、イランがロシアのテロ行為に加担したとして、イランに対し制裁を科すよう求めたことも明らかにしました。
一方、17日、キーウのイラン大使館前には市民が集まり、「私たちを殺すのをやめて」と書かれたプラカードやウクライナ国旗を掲げて抗議をしたり、ろうそくに火をともして犠牲者を追悼したりしていました。
参加者の1人は「イランにはウクライナで民間人に犠牲が出ていることに目を向けロシアへの兵器の供与をやめてほしい」と訴えていました。
ゼレンスキー大統領「ロシアの無人機攻撃相次ぐ」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、17日に公開した動画で、ロシアが首都キーウで自爆型の無人機による攻撃を行ったことについて「キーウではアパートが標的にされ、若い家族が殺された。犠牲者の中には妊娠6か月の妊婦もいる。このほかにも、夜から朝にかけて25以上の集落が攻撃を受けた。いまもロシアによる無人機での新たな攻撃があり、撃墜したばかりだ」と述べ、ロシアによる攻撃が相次ぎ、市民が犠牲になっていると指摘しました。
そのうえで「世界はこのテロを止めることができるし、止めなければならない。これはウクライナだけの問題ではない。ロシアによるテロの機会を減らせば減らすほど、この戦争は早く終わるのだ」と述べ、改めて各国に対し最新の防空システムやミサイルを供与し、防空能力の強化を支援してほしいと呼びかけました。
そのうえで「世界はこのテロを止めることができるし、止めなければならない。これはウクライナだけの問題ではない。ロシアによるテロの機会を減らせば減らすほど、この戦争は早く終わるのだ」と述べ、改めて各国に対し最新の防空システムやミサイルを供与し、防空能力の強化を支援してほしいと呼びかけました。
ロシア南部 戦闘機が住宅地に墜落 住民4人死亡
ロシア南部クラスノダール地方の都市、エイスクで17日、戦闘機が集合住宅の敷地に墜落し火災が起きました。地元の当局によりますと9階建ての集合住宅が燃え、これまでに住民4人が死亡、子どもを含むおよそ20人がケガをしたということです。
ロシア国防省によりますと、墜落したのはスホイ34戦闘爆撃機で、脱出したパイロットの話などから訓練飛行中にエンジン部分から出火したとみられるということで、重大事件を扱う連邦捜査委員会が墜落の状況や原因を調べています。現場は、ロシアが支配するウクライナ東部ドネツク州の要衝マリウポリとアゾフ海をはさんだ位置にある港湾都市です。
ロシア大統領府はプーチン大統領が関係閣僚に対して速やかに現地に入り被害者の支援にあたるよう指示したと発表し、ウクライナ侵攻を続けるなか起きた軍用機の住宅地への墜落を深刻に受け止めていることがうかがえます。
ロシア国防省によりますと、墜落したのはスホイ34戦闘爆撃機で、脱出したパイロットの話などから訓練飛行中にエンジン部分から出火したとみられるということで、重大事件を扱う連邦捜査委員会が墜落の状況や原因を調べています。現場は、ロシアが支配するウクライナ東部ドネツク州の要衝マリウポリとアゾフ海をはさんだ位置にある港湾都市です。
ロシア大統領府はプーチン大統領が関係閣僚に対して速やかに現地に入り被害者の支援にあたるよう指示したと発表し、ウクライナ侵攻を続けるなか起きた軍用機の住宅地への墜落を深刻に受け止めていることがうかがえます。
EU ウクライナ軍兵士 約1万5000人に訓練実施へ

EUは17日、ルクセンブルクで外相会議を開き、ウクライナに対する軍事支援の強化などについて、協議しました。会議のあとEUの外相にあたるボレル上級代表は記者会見を開き「ウクライナへの支援は今も、EUにとって最優先事項だ」と述べてウクライナに対する軍事支援の強化で合意したと明らかにしました。

具体的には、兵器の供与などのため、5億ユーロ、日本円にして720億円余りを追加で支援するとともに、EUとしてウクライナ軍の兵士、およそ1万5000人に対して訓練を実施するとしています。EUの一部の加盟国は、供与した兵器の使い方などについて個別に訓練を行ってきましたが、EUとしてウクライナ軍の訓練を実施することで支援がさらに強化されることになります。
IAEA「ザポリージャ原発 電力供給再開」

ウクライナの原子力発電公社エネルゴアトムは、ザポリージャ原子力発電所につながる変電所がロシア軍の砲撃を受け、17日、外部から原発への電力供給が失われたと発表していましたが、その後、IAEA=国際原子力機関は声明を出し、原発が予備の送電線を通じて電力供給を受けることができていると明らかにしました。
声明によりますと、原発では非常用の発電機が10分ほど動いたあと、予備の送電線から原子炉の冷却などに必要な電力の供給を受けられるようになったということです。
IAEAはザポリージャ原発が外部からの電力供給を失うのはこの10日間で3度目だとして、懸念を示しています。
声明によりますと、原発では非常用の発電機が10分ほど動いたあと、予備の送電線から原子炉の冷却などに必要な電力の供給を受けられるようになったということです。
IAEAはザポリージャ原発が外部からの電力供給を失うのはこの10日間で3度目だとして、懸念を示しています。
イラン外務省「いかなる武器も供与せず」

イランがロシアに無人機を供与していると指摘されていることについて、イラン外務省のキャンアニ報道官は17日、会見で「イランはウクライナとロシアの戦争でどちらの側にも立たないし、いずれに対してもいかなる武器も供与していない」と述べ、改めて供与を否定しました。
そのうえで「何十億ドル分もの兵器などを戦争当事者の一方に供与してきた国々が、もう一方への供与を非難するのはブラックジョークだ。ウクライナで平和と政治的解決を支援するなら、こんなに多くの兵器を送ってどうしようというのだ」と反論し、逆にウクライナを軍事的に支援する欧米各国を非難しました。
そのうえで「何十億ドル分もの兵器などを戦争当事者の一方に供与してきた国々が、もう一方への供与を非難するのはブラックジョークだ。ウクライナで平和と政治的解決を支援するなら、こんなに多くの兵器を送ってどうしようというのだ」と反論し、逆にウクライナを軍事的に支援する欧米各国を非難しました。
ウクライナ国防相「ロシアとイランは結託」
ウクライナのレズニコフ国防相は17日、みずからのツイッターに投稿し、ロシアがイランから購入した自爆型の無人機をウクライナの首都キーウへの攻撃に使ったとして、ロシアとイランを厳しく非難しました。
この中で「ロシアとイランはテロと死を広めようと結託している。 今回、ロシアが使用したイラン製の無人機も、そのための道具の1つにすぎない。こうした攻撃を撃退し悪を打ち負かすため世界の民主主義の国は力を合わせ英知を結集させるべきだ」と述べ、各国に対しロシアとイランへの圧力を強めるよう訴えました。
この中で「ロシアとイランはテロと死を広めようと結託している。 今回、ロシアが使用したイラン製の無人機も、そのための道具の1つにすぎない。こうした攻撃を撃退し悪を打ち負かすため世界の民主主義の国は力を合わせ英知を結集させるべきだ」と述べ、各国に対しロシアとイランへの圧力を強めるよう訴えました。
ウクライナ非常事態庁 全土で8人死亡
ウクライナ非常事態庁は、17日のロシアによる自爆型の無人機やミサイルでの攻撃で、合わせて8人が死亡したと発表しました。
それによりますと、首都キーウの中心部にある集合住宅が被害を受けた自爆型の無人機による攻撃で4人が死亡したということです。また、北東部のスムイ州にある変電所がロシアによるミサイル攻撃で被害を受け、4人が死亡したとしています。このほか、東部のドニプロペトロウシク州にある変電所もミサイルで攻撃され、1人がけがをしたということです。
それによりますと、首都キーウの中心部にある集合住宅が被害を受けた自爆型の無人機による攻撃で4人が死亡したということです。また、北東部のスムイ州にある変電所がロシアによるミサイル攻撃で被害を受け、4人が死亡したとしています。このほか、東部のドニプロペトロウシク州にある変電所もミサイルで攻撃され、1人がけがをしたということです。
反戦訴えたロシア国営テレビ元職員が出国

ロシア国営の「第1チャンネル」の職員だったマリーナ・オフシャンニコワさんは、在職中のことし3月、ニュース番組の放送中にスタジオに入り、「戦争反対」と書いた紙を掲げてロシアによるウクライナ侵攻を批判し注目されました。
ことし7月にも軍事侵攻に抗議する活動を行い、ロシア軍に対するうその情報を広めた罪で起訴され、裁判所から自宅軟禁の決定を受けていましたが、今月に入って行方が分からなくなったとして、ロシア内務省が指名手配していました。
国営のロシア通信は17日、弁護士の話として、オフシャンニコワさんがすでにロシアから出国していると伝えました。弁護士は「オフシャンニコワさんはロシアを離れることを余儀なくされた。現在はヨーロッパのある国で保護されている」と話したということです。
また、フランスのAFP通信は、同じ弁護士の話として、オフシャンニコワさんが娘とともに自宅軟禁の場所を離れた数時間後に出国したとしたうえで「公の場で話せるようになるにはまだ安全ではない」と話したと伝えています。
ことし7月にも軍事侵攻に抗議する活動を行い、ロシア軍に対するうその情報を広めた罪で起訴され、裁判所から自宅軟禁の決定を受けていましたが、今月に入って行方が分からなくなったとして、ロシア内務省が指名手配していました。
国営のロシア通信は17日、弁護士の話として、オフシャンニコワさんがすでにロシアから出国していると伝えました。弁護士は「オフシャンニコワさんはロシアを離れることを余儀なくされた。現在はヨーロッパのある国で保護されている」と話したということです。
また、フランスのAFP通信は、同じ弁護士の話として、オフシャンニコワさんが娘とともに自宅軟禁の場所を離れた数時間後に出国したとしたうえで「公の場で話せるようになるにはまだ安全ではない」と話したと伝えています。
ウクライナ議員団「最悪の事態は各国の戦争疲れ」

ウクライナの議員団5人は、ことし2月にロシアの軍事侵攻が始まって以降初めて15日から来日していて、今月下旬までの滞在期間中、国会議員や日本政府の関係者らと面会することになっています。
議員団の代表が17日、都内でNHKの取材に応じ、ハリーナ・ミハイリュク議員は「ロシア軍は、インフラ施設の破壊を試みていて、市民の生死に関わる状況だ。25万人以上が家を失い、200万人は水道を使えない。電力がなければ、暖房も使えない」と述べ、ロシア軍が発電所などを攻撃する中で、市民が厳しい冬をどう越すかが喫緊の課題になっていると訴えました。
また、これまでの日本の支援に謝意を示したうえで「日本の支援とビジネス上の協力関係は極めて重要だ」と述べ、日本側にロシアへの一層の圧力強化を求めるとともにインフラの復旧や将来的な街の復興に向けて、支援や投資を呼びかける考えを示しました。
議員団の代表が17日、都内でNHKの取材に応じ、ハリーナ・ミハイリュク議員は「ロシア軍は、インフラ施設の破壊を試みていて、市民の生死に関わる状況だ。25万人以上が家を失い、200万人は水道を使えない。電力がなければ、暖房も使えない」と述べ、ロシア軍が発電所などを攻撃する中で、市民が厳しい冬をどう越すかが喫緊の課題になっていると訴えました。
また、これまでの日本の支援に謝意を示したうえで「日本の支援とビジネス上の協力関係は極めて重要だ」と述べ、日本側にロシアへの一層の圧力強化を求めるとともにインフラの復旧や将来的な街の復興に向けて、支援や投資を呼びかける考えを示しました。

さらに、ミハイリュク議員は、ロシア軍がウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所の占拠を続ける中、「日本は、原発での事故にどう対応したらよいか先端的な知見を持っている」と述べ、重大な原発事故が起きるおそれに懸念を示し、市民の被ばくをどう抑えるかなど、日本の経験に学びたいという意向を明らかにしました。
一方、かつて親ロシア派の武装勢力との戦闘を指揮し、現在も戦闘に参加しているというロマン・コステンコ議員は、戦地の部隊が冬を乗り越え、ロシア軍と戦えるよう発電機や防寒着などの支援が必要だと訴えました。
そのうえで、「私にとっての最悪の事態は、核攻撃を受けることではなく各国が戦争に疲れ、私たちにロシアと交渉するよう言ってくることだ。中途半端に停戦すれば、ロシアは調子に乗ってしまう」と述べ、ウクライナが占領された領土を奪還してロシアに勝利するまで、支援を継続するよう日本側に求める考えを示しました。
一方、かつて親ロシア派の武装勢力との戦闘を指揮し、現在も戦闘に参加しているというロマン・コステンコ議員は、戦地の部隊が冬を乗り越え、ロシア軍と戦えるよう発電機や防寒着などの支援が必要だと訴えました。
そのうえで、「私にとっての最悪の事態は、核攻撃を受けることではなく各国が戦争に疲れ、私たちにロシアと交渉するよう言ってくることだ。中途半端に停戦すれば、ロシアは調子に乗ってしまう」と述べ、ウクライナが占領された領土を奪還してロシアに勝利するまで、支援を継続するよう日本側に求める考えを示しました。