【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(17日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる17日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

モスクワ市長 予備役動員 招集完了

ロシアの首都モスクワのソビャーニン市長は17日、プーチン政権が進める予備役の動員について、モスクワでは、招集が完了したと発表しました。ソビャーニン市長は、17日午後にはモスクワの徴兵事務所は閉鎖するとしていて、このあと届く招集令状は無効になるとしています。

プーチン大統領は10月14日、9月下旬に発表した30万人にのぼる予備役の動員についてすでにおよそ22万人を招集し、今後2週間で完了するという見通しを示していました。また追加の動員の可能性についてもプーチン大統領は、「当面は必要だとみていない」と述べていて、動員をめぐって国内で広がる市民の動揺を抑えたい思惑もあるとみられています。

ソビャーニン市長は、プーチン大統領の側近の1人で、これまでも、動員を進める過程で誤りがあったことを認めて、一部の招集を撤回し市民の反発に応じる姿勢を示してきました。

ザポリージャ原発 “外部からの電力供給 再び失われた”

ウクライナの原子力発電公社エネルゴアトムは、ロシア軍が占拠を続けるザポリージャ原子力発電所につながる変電所がロシア軍の砲撃を受け、17日、外部からの電力の供給が再び失われたと発表しました。今回の攻撃を受け、非常用のディーゼル発電機で原子炉の冷却を開始したとしています。

ザポリージャ原発をめぐっては、今月8日と12日にも送電線や変電所への攻撃で一時的に外部からの電力の供給が失われ、そのつど、別の変電所からの送電に切り替えるなどして復旧させてきました。

エネルゴアトムによりますと、今回攻撃されたのは、原発から離れた場所にある変電所で、ロシア軍に掌握されていない地域にあるということです。

エネルゴアトムは「侵略者は戦術を変え、原発から離れた変電所への攻撃でウクライナと世界全体を脅迫しようとしている」と非難し、原発やその周辺から一刻も早くロシア軍を撤退させるよう、国際社会に重ねて圧力の強化を訴えました。

ウクライナ大統領府 首都キーウで「ロシアによる無人機攻撃」

ウクライナの首都キーウで現地時間の17日朝、複数の爆発音があり、イエルマク大統領府長官は首都キーウが「ロシアによる自爆型の無人機による攻撃を受けた」と明らかにしました。

また、ゼレンスキー大統領は自身のSNSで、「敵は昨夜からけさにかけて市民に対するテロを行った。自爆型の無人機やミサイルでウクライナ全土を攻撃し、キーウの住宅が被害を受けた」などと投稿し、ロシア側を厳しく非難しました。

キーウ市当局は自爆型の無人機4機が爆発したとしています。

クリチコ市長は「市の中心部の人が住んでいない建物で火災が起き、消防が対応している。人が住む建物も被害を受けた」としたうえで、壊れた建物からこれまでに18人を救出し、さらに救助活動を続けているとしています。

首都キーウでは、17日は早朝から防空警報が出されていました。

ウクライナ軍「南部ヘルソン州でロシア側が退避開始」

ウクライナ軍の参謀本部は16日、SNSの投稿で、南部ヘルソン州のロシアが支配する地域からロシア側が銀行の従業員などを退避させ始めたことを明らかにしました。

参謀本部は「銀行や年金基金の従業員や財産を州都ヘルソンからクリミアに移しているという情報がある」としています。

ヘルソン州では13日、親ロシア派のトップがほかの地域への移動を希望する住民の輸送に向けて本部を設置したことを発表し、事実上の退避を呼びかけていました。

ゼレンスキー大統領「節電はロシアの計画を失敗させるため」

ウクライナのゼレンスキー大統領は16日に公開した動画で、ロシアによるエネルギー関連施設への攻撃で電力供給に支障が出ていることに触れ「電力の供給システムを安定させるため、電力供給を制限しなければならない状態だが、国民が意識して電力消費を抑えれば計画停電を回避することは可能だ」と指摘しました。

そのうえで「私たちは、午後5時から午後11時にかけて電力消費を削減する必要がある。これは、ロシアによるテロ計画を確実に失敗させるための取り組みだ」と述べ、国民に対し電力消費の多い夜間の節電を呼びかけました。

「ロシアのミサイル攻撃 半数以上を迎撃」英国防省

イギリス国防省は16日、ロシア軍が今月10日に行ったウクライナの複数の都市に対するミサイル攻撃について「80発以上のミサイルを打ち込んだものの、ウクライナ側が半数以上を迎撃したとしている」と指摘しています。

そのうえで「ロシアの国防産業は、これまでと同程度の量の軍需物資を生産する能力はないとみられる。ロシアの長距離ミサイルの在庫がさらに減ることを意味していてロシア側が望むような攻撃は将来的にできなくなるとみられる」との分析を公表しました。

ロシア エネルギー施設を攻撃 ウクライナ全土で節電呼びかけ

ウクライナ軍は16日、東部のハルキウ州やドネツク州、それに南部のヘルソン州で激しい反転攻勢を続ける一方、ロシア側が、ウクライナ国内の重要インフラや住宅地への攻撃を行っていると非難を強めています。

これについて、ロシア国防省は16日、こうした地域でウクライナ側への砲撃などで損失を与えたと主張していて、ウクライナ東部と南部を中心に激しい戦闘が続いているものとみられます。

さらに、ロシア国防省は、軍事施設のほか、エネルギー関連施設への攻撃を行ったと発表し、「ねらった攻撃対象はすべて破壊した」などと強調しています。

ウクライナ国営の電力会社は、16日、ロシアによるエネルギー関連施設への攻撃で電力供給に支障が出る事態となっているとして、国内全土で夜間の節電を呼びかけるなど、前線以外でも市民生活への影響が広がっています。