ウクライナ反転攻勢強める 親ロシア派 南部で“退避”呼びかけ

ウクライナ軍は、ロシアに支配された領土の奪還に向けて反転攻勢を強めています。南部ヘルソン州を支配する親ロシア派の幹部は「これからウクライナ側との戦いが本格化する」として住民に事実上の退避を呼びかけ、南部での戦闘がいっそう激しくなることが予想されます。

ウクライナ南部のヘルソン州を支配する親ロシア派の幹部は15日SNSに投稿し「これからウクライナ側との戦いが本格化する」とした上で「子どもとその親に対しては、土地を離れる機会を与える」として、住民にロシアへの事実上の退避を呼びかけました。

ウクライナ政府は、南部ヘルソン州について13日までに、75の集落を解放したとしています。

またゼレンスキー大統領は14日の演説で「今後、南部のすべての都市にもウクライナの旗を取り戻し、クリミアを取り返し、領土の一体性を回復する」と述べ、南部での戦闘がいっそう激しくなることが予想されます。

ベラルーシ国防省 “ロシアの最初の部隊 ベラルーシに到着”

こうした中、ロシアと同盟関係にあるベラルーシの国防省は15日、ロシア軍とベラルーシ軍の合同部隊を編成するためロシア軍の最初の部隊が、ベラルーシに到着したと発表しました。

これに先立ちベラルーシのルカシェンコ大統領は、ウクライナやNATO=北大西洋条約機構の脅威が高まっていると主張し、合同部隊を編成することでロシア側と合意したと、明らかにしています。

ロシアのプーチン大統領としてはウクライナ侵攻での劣勢が強まるなか、盟友のルカシェンコ大統領に対して、さらなる軍事協力を求める狙いがあるとみられています。

一方、今後の見通しについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、14日「欧米やウクライナの当局はベラルーシ軍の部隊がウクライナに侵攻する可能性は低いとみている。プーチン大統領は、ウクライナ側に懸念を抱かせ、ベラルーシとの国境周辺でウクライナ軍を足止めしようとしている可能性がある」という見方を示しました。