北朝鮮から弾道ミサイル1発発射 変則的な軌道で飛行か 防衛省

防衛省は14日未明、北朝鮮から発射された弾道ミサイルについて、複数発射された可能性も含めて分析した結果、1発だったと推定されることを明らかにしました。
変則的な軌道で飛行した可能性があるということで、さらに詳しい分析を進めています。

防衛省によりますと、14日午前1時47分ごろ、北朝鮮の首都ピョンヤン近郊から弾道ミサイルが東の方向に発射されました。

このミサイルについて防衛省が、複数発射された可能性も含めて詳しく分析した結果、1発だったと推定されることを明らかにしました。

高度は50キロ程度、飛行距離はおよそ650キロで、変則的な軌道で飛行した可能性があり、日本のEEZ=排他的経済水域の外側の日本海に落下したとみられるということです。

北朝鮮は、戦術核弾頭の搭載を想定したミサイルで韓国の飛行場などを攻撃する訓練だとして、先月25日から今月9日にかけて7回にわたって弾道ミサイルを発射しました。

また、12日に長距離巡航ミサイル2発の発射実験を行ったと13日に発表していて、北朝鮮によるミサイル発射は巡航ミサイルも含めてことし27回目です。

北朝鮮は変則的な軌道で飛行する弾道ミサイルの発射を繰り返していて、防衛省が今回の発射も含めてさらに詳しい分析を進めています。

浜田防衛相 “挑発執よう 断じて容認できず” 北朝鮮に厳重抗議

浜田防衛大臣は「9月末からの短期間で8回目で挑発を執ようかつ一方的にエスカレートさせている。一連の北朝鮮の行動はわが国、地域および国際社会の平和と安全を脅かすものであり断じて容認できない」と述べ北朝鮮側に対し、北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議したことを明らかにしました。

一方、北朝鮮の発射の意図については「断定的に答えるのは困難だが、北朝鮮はアメリカの脅威に対抗して体制を維持するため独自の核抑止力が必要だと主張しており、そうした観点から核兵器の運搬手段である弾道ミサイルの開発や運用能力の向上に注力していると考えられる」と述べました。

岸田首相 情報収集と分析などを指示

岸田総理大臣は、情報の収集と分析に全力を挙げ国民に対し、迅速・的確な情報提供を行うこと、航空機や船舶などの安全確認を徹底すること、それに不測の事態に備え、万全の態勢をとることを指示しました。

政府 緊急参集チーム招集

政府は、総理大臣官邸の危機管理センターに設置している官邸対策室に関係省庁の担当者をメンバーとする緊急参集チームを招集し、情報の収集と被害の確認などにあたっています。

松野官房長官「弾道ミサイルは1発と推定」

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「北朝鮮がきょう未明に発射した弾道ミサイルは複数発だった可能性も含め分析を進めた結果、1発だったと推定している。北朝鮮が繰り返す弾道ミサイルの発射は断じて許されず、わが国と地域の安全保障にとって看過できない」と述べました。

そのうえで「核実験の実施を含め、北朝鮮がさらなる挑発行為に出る可能性はあると考えており、引き続きアメリカなどとも緊密に連携しつつ、必要な情報の収集・分析や警戒監視に全力を挙げていく。迎撃能力を高める不断の努力も重要で、いわゆる反撃能力も含めあらゆる選択肢を排除せず検討し、防衛力の抜本的な強化に取り組む」と述べました。

林外相「明らかな挑発行為 断じて容認できない」

林外務大臣は記者会見で「明らかな挑発行為だ。一連の北朝鮮の行動は、わが国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすもので断じて容認できない」と述べました。

また、韓国が北朝鮮への独自の制裁措置を発表したことについて、「北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けた韓国の立場を支持する。今後の日本の対応は現時点で予断を持って答えることは差し控えたいが、拉致・核・ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて何が最も効果的かという観点から、不断に検討している」と述べました。

アメリカ軍 “同盟国などと緊密協議 アメリカの関与揺るぎない”

アメリカのインド太平洋軍は声明を発表し「われわれは弾道ミサイルの発射を認識しており、今回の発射はアメリカの国民や領土、それに同盟国に差し迫った脅威を与えるものではないと判断している」としています。

そのうえで「われわれは同盟国などと緊密に協議を続け、不安定化をもたらす北朝鮮による弾道ミサイルの発射を監視していく。韓国と日本の防衛に対するアメリカの関与は揺るぎない」と強調しました。

北朝鮮 “挑発的行動への軍事措置” 韓国を強くけん制

北朝鮮の朝鮮人民軍総参謀部は、国営の朝鮮中央通信を通じて14日午前2時すぎ、報道官の声明を発表し「13日、南東部カンウォン(江原)道の前線地域で、南の軍は10時間にわたり砲射撃を強行した。われわれは南の軍部が前線地域で強行した挑発的行動を厳重に見て、強力な軍事行動措置を講じた」として韓国を非難し、対抗措置として弾道ミサイルを発射したことを示唆しました。

そのうえで声明は「わが軍隊は前線地域で軍事的緊張を誘発させる南の軍部の無分別な軍事行動に厳重な警告を送る」として、韓国を強くけん制しました。

北朝鮮が弾道ミサイルの発射直後に軍の声明を発表するのは異例です。

首都ピョンヤン郊外から短距離弾道ミサイル1発を発射 韓国軍

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が14日午前1時49分ごろ、首都ピョンヤン郊外の国際空港があるスナン(順安)付近から日本海に向けて、短距離弾道ミサイル1発を発射したと発表しました。

韓国軍とアメリカ軍は、飛行距離や高度など詳しい情報の収集と分析を急いでいます。

北朝鮮軍用機10機余り 飛行禁止区域近くまで接近 韓国軍

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が弾道ミサイルの発射に先立って、北朝鮮の軍用機10機余りが、13日午後10時半ごろから14日午前0時20分ごろにかけて、韓国との軍事境界線付近に設定されている飛行禁止区域の近くまで接近し、韓国軍の戦闘機がスクランブル=緊急出動したと明らかにしました。

韓国軍「持続的な挑発 厳重に警告」

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が14日未明に短距離弾道ミサイルの発射や砲撃などを行ったことを受けて、声明を発表しました。

この中で、弾道ミサイルの発射は、国連安全保障理事会の決議違反であり、砲撃についても、南北が海上の境界線付近に定めた海域への砲撃は行わないとした2018年の軍事合意に違反すると非難しました。

そのうえで「北が持続的な挑発を通じて朝鮮半島に軍事的緊張をもたらしていることに対し、厳重に警告し即刻中止することを強く求める」としています。

一方、韓国軍の関係者は、北朝鮮軍が声明で軍事行動措置を講じた理由に挙げている「韓国軍による砲撃」について、13日アメリカ軍が韓国北東部のカンウォン道で行った射撃訓練を指しているとみられると明らかにしました。

日米韓局長級電話協議 3か国で緊密に連携を確認

外務省の船越アジア大洋州局長は14日午前、アメリカ国務省のソン・キム北朝鮮担当特別代表、韓国外務省のキム・ゴン(金健)朝鮮半島平和交渉本部長とそれぞれ電話で対応を協議しました。

それぞれの協議では、14日の未明も含め北朝鮮が高い頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返していることは地域の安全保障にとって差し迫った脅威であり、国際社会に対する明白かつ深刻な挑戦だという認識を改めて共有しました。

そのうえで、国連安保理決議に沿った北朝鮮の完全な非核化に向けて、地域の抑止力強化や安保理での対応などについて、引き続き日米韓3か国で緊密に連携することを確認しました。

今回の発射はことしに入り27回目

防衛省などによりますと、北朝鮮が弾道ミサイルなどを発射したのはことしに入って27回目です。

これまでに、1月に7回、2月に1回、3月に3回、4月に1回、5月に4回、6月に1回、8月に1回、先月に3回、今月に5回それぞれ弾道ミサイルなどの発射を繰り返しています。
特に先月下旬から今月にかけては合わせて8回とこれまでにない頻度で相次いで発射しています。

これまでの26回のうち、22回は弾道ミサイルと推定されもう1回も弾道ミサイルの可能性が指摘されています。

残りの3回は長距離巡航ミサイルなどと推定されています。

最近の北朝鮮のミサイル発射

北朝鮮はことし、過去にない異例の頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返しています。

先月はいずれも短距離弾道ミサイルで
▽25日に北西部ピョンアン(平安)北道のテチョン(泰川)付近から1発、
▽28日に首都ピョンヤン郊外の国際空港があるスナン(順安)付近から2発、
▽29日に西部ピョンアン(平安)南道のスンチョン(順川)付近から2発を発射しました。

また、今月は、
▽1日にピョンヤン郊外のスナン(順安)付近から短距離弾道ミサイル2発、
▽4日に北部のチャガン(慈江)道ムピョンリ(舞坪里)付近から日本の上空を通過させる形で中距離弾道ミサイル1発を発射しました。

▽さらに6日には、ピョンヤン郊外のサムソク(三石)付近から短距離弾道ミサイル2発、
▽9日に東部のカンウォン(江原)道ムンチョン(文川)付近から短距離弾道ミサイル2発、
▽そして12日は西部のピョンアン(平安)南道ケチョン(价川)付近から巡航ミサイル2発を発射していました。

北朝鮮めぐる最近の動き

核・ミサイル開発を進める北朝鮮に対し、日米韓3か国は連携してけん制を強めてきました。

米韓両軍は、およそ4年ぶりとなった本格的な野外機動訓練を含む合同軍事演習のあと、先月下旬、日本海でアメリカの原子力空母が参加し、日本も含めた3か国で共同訓練を行いました。

今月4日に北朝鮮が日本の上空を通過させる形で中距離弾道ミサイル1発を発射すると、今月5日からアメリカの原子力空母が再び日本海に展開し米韓両軍は共同の機動訓練を行いました。

これに対して北朝鮮はキム・ジョンウン(金正恩)総書記の立ち会いのもとで、今月9日までの15日間、朝鮮人民軍の戦術核運用部隊が軍事訓練を行ったと今月10日に発表しました。

訓練は、先月25日以降、繰り返された弾道ミサイル発射を指していて、アメリカが原子力空母を日本海に展開して日本や韓国と実施した共同訓練に警告するために行われたとしています。