【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(10月14日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる14日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領 旧ソビエト諸国でつくるCIS首脳会議に出席

ロシアのプーチン大統領は、カザフスタンの首都アスタナを訪問していて、14日からは旧ソビエト諸国でつくるCIS=独立国家共同体の首脳会議に出席しました。

このなかでプーチン大統領は「一部の国は、ナチスから人類を救ったソビエトの功績を記憶から消し去ろうとしている」と述べました。

そのうえで第2次世界大戦の終結から80年となる2025年を「ナチズムとの戦いにおける平和と結束の年」にすることを提案し、ナチス・ドイツに打ち勝った歴史を守ろうと各国に結束を呼びかけました。

ウクライナ政府 600以上の集落をロシア軍から奪還と発表

ウクライナ政府は13日、ウクライナ軍がこれまでに東部と南部で600以上の集落をロシア軍から奪還したと発表し、戦果を強調しました。

それによりますと、ウクライナ軍は、これまでに東部では、ハルキウ州で502の集落を解放したほか、ドネツク州では43、ルハンシク州では7つの集落をそれぞれ解放したということです。さらに南部のヘルソン州でも75の集落を解放し、ロシア側から奪還した集落は東部と南部で合わせて627に上るとして戦果を強調しています。

ウクライナ政府は、こうした地域でガスや水道などの整備、食料や医薬品の調達などの支援を行っていて業務を再開した銀行もあるということです。

ただ、復興には時間がかかり、インフラが整っていない地域や、地雷の除去が必要な集落からは解放されたにもかかわらず、市民が避難する動きが出ていて、ハルキウ州からは2万人以上がほかの地域へ避難しているということです。

ゼレンスキー大統領 都市部へのミサイル攻撃非難

ウクライナのゼレンスキー大統領は13日に公開した動画で、都市部へのミサイル攻撃を非難したうえで、「テロに対しては、制裁や法的措置などあらゆるレベルで力を持って対処しなければならない」と改めてロシアと対決する姿勢を示しました。

「サハリン1」 ロシア政府 事業移す新会社の設立命じる

日本の政府や大手商社も参画してロシア極東のサハリン沖で行われている石油と天然ガスの開発プロジェクト「サハリン1」について、ロシア政府は、事業を移す新会社の設立を命じたと13日、発表しました。

これに先立ちロシア側は、日本など外国の事業者は、設立から1か月以内に、新会社の株式を取得することに同意するかどうかをロシア政府に通知する必要があるとしていて、対応を求められています。

「サハリン1」には、日本からも、政府が50%を出資する「SODECO・サハリン石油ガス開発」に大手商社の伊藤忠商事と丸紅、それに「石油資源開発」などが参加し、この会社を通じてプロジェクトの30%の権益を保有しています。

IAEA グロッシ事務局長 “原発 引き続き極めて危うい状態”

IAEAのグロッシ事務局長は、今月11日、ロシアのサンクトペテルブルクでプーチン大統領と会談したのに続き、13日にはウクライナのクレバ外相と会談したあと、首都キーウで記者団の取材に応じました。

この中でグロッシ事務局長は「原発が軍事攻撃の対象になることは意図的であるか否かにかかわらずあってはならない」と述べ、ウクライナのザポリージャ原発周辺で砲撃などが繰り返されていることに強い懸念を示しました。

そのうえで「原発の状況は引き続き、極めて危うい状態にある」と述べ、周辺を安全な区域に設定する重要性を重ねて強調しました。

さらにグロッシ事務局長は、原発はウクライナの管理下にあるべきだとしたうえで、原発のある南部ザポリージャ州など4つの州をロシアが一方的に併合したと宣言したことについて「IAEAとしては認めないとプーチン大統領に明確に伝えた」と述べました。

NATO国防相会議 冬の戦闘に備えウクライナ支援強化で一致

NATOは13日までの2日間ベルギーの本部で国防相会議を開き、ウクライナに対する支援の強化などについて協議しました。

ストルテンベルグ事務総長は会議のあと記者会見を開き、これからの厳しい寒さの中での戦闘に備えて燃料や冬用の衣類、発電機などの装備をウクライナに支援することで一致したということです。また、ドローンによる攻撃から市民やインフラ施設を守るため、電波妨害装置なども提供することを明らかにしました。

ストルテンベルグ事務総長は「NATOは紛争の当事者ではないが必要なかぎり、ウクライナへの支援を続けていく」と述べました。

また、ウクライナへの支援を強化した結果、NATOの中には自国の軍の弾薬や装備が大幅に減っている加盟国もあるということです。会議では加盟国が弾薬などを速やかに補充できるよう、防衛関連の企業に長期的な調達計画を示すなどの対応を協議したということです。

ロシアによる攻撃続くも南部ではウクライナが反転攻勢

ロシアは13日も東部や南部で攻撃を続けていて、ウクライナの非常事態庁は、南部の都市ミコライウでのミサイル攻撃で、集合住宅に住んでいた2人が死亡し、5人の行方が分からなくなっていると明らかにしました。

ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官はSNSに、東部ドニプロペトロウシク州で学校が被害を受けたと投稿するなど、教育施設も被害を受ける中、ウクライナ政府は学校での授業をオンラインに切り替える措置をとっています。

一方、ウクライナ軍は東部だけでなく南部でも反転攻勢を強め、ロシアが一方的に併合したとするヘルソン州では、知事が12日、SNSで、州内の5つの集落が解放されたと明らかにしました。

ただ「状況は依然として厳しく、激しい戦闘が続いている」と書き込み、ロシア軍との激しい攻防が続いているとしています。

ヘルソン州の親ロシア派トップ 退避を呼びかけ 内部で混乱も

ウクライナ南部ヘルソン州を支配している親ロシア派のトップ、サリド氏は13日、SNSに動画で声明を投稿しました。

このなかでウクライナ軍からの反撃が各地で強まっているとしたうえで「住民には休養や子どもの学習のためにロシアのほかの地域へ行く機会を設けることを決定した」と述べ、ロシア南部などへの事実上の退避を呼びかけました。

ヘルソン州はロシアのプーチン政権が一方的な併合に踏み切った地域の1つで、サリド氏は「ロシアの指導者に協力を要請する。ロシアは自国民を見捨てず、常に困難なところに手を差し伸べてくれるはずだ」と述べ、プーチン政権に支援を要請しました。

ただ、同じヘルソン州を支配する親ロシア派の別の幹部が直後にSNSで「住民の避難はないし、ありえない。住民には混乱に陥らず冷静を保ってほしい」と訴えるなど、内部で混乱も見られます。

ウクライナ 授業をオンラインに切り替え ミサイル攻撃受け

ロシアによるウクライナ各地へのミサイル攻撃を受けて、ウクライナ政府は学校での授業をオンラインに切り替える措置をとりました。

首都キーウ郊外の小学校に通う4年生のアンナさん(9)は母親のナタリヤさん(38)が見守る中、パソコンを使って算数のかけ算の問題を解いていました。

親子は激しい戦闘の末、ロシア軍に占領された東部のマリウポリから避難し、ことし8月から首都キーウの郊外にある集合住宅で避難生活を送っています。

アンナさんは「学校の方がわかりやすいです。パソコンでの授業は送られてくる映像を見るだけで、先生の声ではありません。友だちにも会えないので早く学校に戻りたいです」と話していました。

また、母親のナタリヤさんは「学校の方が先生たちと直接話すことができるので授業も理解できると思います。しかし、このような状況では家で学ぶしかありません。早く授業が始まってほしいです」と話していました。

ウクライナ政府はオンラインでの授業を今週いっぱい続けるとしていますが、状況によっては延長するということです。

首都キーウ 復旧作業進む 10日の攻撃で被害

今月10日のロシアによる攻撃で被害が出た首都キーウでは、復旧作業が進められていますが、日常的な憩いの場の公園などへの攻撃に、人々は不安と怒りを募らせています。

このうち、首都キーウの中心部にある、市民の憩いの場となっているタラス・シェフチェンコ公園では、子どもたちの遊具のすぐそばにミサイルが着弾し、直径およそ10メートル、深さ2メートルほどの穴ができていました。公園の周辺の建物でも、窓ガラスが割れるなどの被害が出ていて、住民などが後片付けに追われていました。

68歳の女性は「皆が驚き憤慨しました。ここは少なくとも軍事施設ではありません。初めて現場を見ましたが、悲しいです」と話していました。

子どもを連れた40歳の父親は「息子が生まれた時からこの公園で遊ばせてきたので恐ろしかったです。彼は、ここで成長したようなものです。ショックを受けていましたが、実際に現場を見ようということになりました」と話していました。

父親と一緒に来た9歳の男の子は「最悪の気分です。いまだに信じられません。生まれて1か月の時から連れてきてもらっていた場所が破壊されてしまい悲しいです。少しでも早くロシアとの戦争が終わってほしいです」と話していました。

また、公園の脇の交差点でも、別のミサイルが着弾してできた穴を埋めたあと、道路を舗装する作業が行われていました。

さらに、被害を受けたドイツ大使館の事務所や韓国企業の支社が入っているオフィスビルはガラス窓が割れたままで、通りがかった人たちが不安そうに見上げていました。