コロナとインフル同時流行 “オンラインや電話で診察を” 政府

新型コロナとインフルエンザの同時流行に備え、政府は発熱外来のひっ迫を避けるため、65歳以上の高齢者や小学生以下の子どもなど重症化リスクがある人を除き、発熱しても新型コロナの抗原検査で陰性だった場合には、オンラインや電話での診察を呼びかけることを決めました。

新型コロナ対策をめぐり、感染症などの専門家でつくる政府の分科会は、13日午後、会合を開き、この冬に懸念される新型コロナとインフルエンザの同時流行に備えた対策を決めました。

決定された対策では、新型コロナが一日45万人、インフルエンザが一日30万人の規模で同時に流行し、ピーク時には一日75万人の患者が発生する可能性を想定して準備を進めるとしています。

具体的には、発熱などの症状が出ても、重症化リスクが低い人はすぐに発熱外来を受診せず、まずは自宅などで新型コロナの抗原検査を受けてもらい、陰性の場合にはオンラインや電話での診察やかかりつけ医など、発熱外来ではない医療機関の受診を呼びかけるとしています。

そして、オンラインや電話での診察でインフルエンザと診断された場合には、治療薬のタミフルを薬局から自宅に配送することもできる仕組みを活用するとしています。

一方、65歳以上の高齢者や小学生以下の子ども、それに基礎疾患があるなど重症化リスクが高い人は、直接、発熱外来やかかりつけ医を受診してもらう方針です。

このほか対策には、感染拡大防止と社会経済活動の両立に向けて、政府側から、マスクを着けなくてもよい場面などを示したうえで、業界ごとに策定しているガイドラインの見直しを促していくことも盛り込まれました。

山際大臣「オミクロン株と同程度なら新たな行動制限行わず」

山際担当大臣は、分科会の会合で「現在は全国的に感染者数の減少傾向が続いているものの、秋以降の感染拡大の可能性が指摘されており、季節性インフルエンザとの同時流行も懸念されている」と指摘しました。

一方で「その場合でも、この夏と同様、オミクロン株と同程度の感染力や病原性の変異株による感染拡大であれば、新たな行動制限を行わず、社会経済活動を維持しながら重症化リスクのある高齢者などを守ることに重点を置いて感染拡大防止策を講じていく」と述べました。

尾身会長「感染さらに拡大想定する必要」

政府分科会の尾身茂会長は、13日の会合のあとの記者会見で新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備えた対応について、政府から示された方針を分科会として基本的に了承したとしたうえで、コロナの次の感染拡大がさらに大きなものになるおそれがあると想定し、今後具体的な対策を検討する必要があるという認識を示しました。

この中で尾身会長は、新型コロナの第8波の見通しについて「医療の専門家からは仮にインフルエンザが流行しなかった場合でも新型コロナ単独で第7波を大きく上回るような感染拡大が起きる可能性があるという危機感が示された。ヨーロッパではワクチン接種率が高く自然感染した人の割合も日本よりもはるかに多いのに、コロナの感染が拡大している。社会経済活動が活発化していることなどを考えると、多くの専門家は日本でもこの冬、かなり大きなコロナの感染拡大が起きるおそれがあるという認識を共有している。これにインフルエンザの流行が重なれば医療体制にさらに深刻な負荷がかかるおそれがある」と述べました。

そのうえで「きょう了承された医療体制の強化や受診の流れの周知といった対策をとっても、医療がひっ迫するような感染拡大が起きた場合などに具体的にどのような対応を取るべきなのか、現時点でまだ明らかではない。社会経済活動が活発化していて緊急事態宣言やまん延防止等重点措置という選択肢がとりにくい中、実効性のある対策はどのようなものになるのか早急に検討していく必要があるという認識で一致した」と述べ、政府の分科会などで具体的な対策について検討する考えをしました。

加藤厚労相「国民の皆さんのご理解とご協力を」

加藤厚生労働大臣は、記者会見で「同時流行に備え、保健医療提供体制の確保に万全を期していく。重症化リスクの高い人に適切な医療を確実に提供するため、重症化リスクや疾患などに応じた国民の皆さんの協力が必要不可欠であり、ご理解とご協力をぜひお願いしたい」と呼びかけました。

そのうえで、どの時点で呼びかけを始めるのかについて「どのぐらいのスピードで感染者が増えていくのかを見極めながら早い段階でお願いを重ねていくことが必要だ。都道府県ともよく協議をしながら判断していきたい」と述べました。