新型コロナ オミクロン株 BA.1とBA.5対応 ワクチンは選べる?

新型コロナウイルスのオミクロン株のうち、感染の主流になっている「BA.5」に対応するワクチンの接種が開始されました。

厚生労働省はすでに接種が始まっている「BA.1」対応ワクチンと「BA.5」対応ワクチンとで、合わせて8000万人分のワクチンを年末までに配送する計画です。

今後、自治体ごとに2つのワクチンの接種が進められることになりますが、私たちが接種するときにワクチンを選ぶことができるのでしょうか?

疑問点をQ&A方式でまとめました。

Q.2つのワクチン接種はどう進められる?

新型コロナウイルスのワクチン接種は原則、住民票のある自治体で行われます。
厚生労働省は2つのワクチンの扱いについて、自治体に対し次のように説明しています。

まず、接種会場に「BA.5」対応ワクチンが配送された際に「BA.1」対応ワクチンが残っている場合について、ワクチンに有効期限があることから、無駄にならないよう有効期限の到来が早いものから順番に使うようにする必要があるとしています。

また、「BA.1」対応ワクチンから「BA.5」対応ワクチンに切り替える際に、一時的に両方のワクチンを同時に使用することも差し支えないとしています。

Q.どちらを打つか選べるの?

次に2つのワクチンを住民が選択できるようにするかについてです。
厚生労働省は自治体に対し、住民の予約時に使用するワクチンが「BA.1」対応ワクチンか、「BA.5」対応ワクチンかは明示する必要はないとしています。

自治体の判断でどちらのワクチンを使用しているかなどを情報提供することも可能としていますが、厚生労働省は、ワクチンの配分計画では「BA.1」対応ワクチンと「BA.5」対応ワクチンを合わせて必要な量を配分する予定であることに留意してほしいとしています。

Q.どちらを打つのがいい?

厚生労働省はオミクロン株の成分が含まれる2つのワクチンは、いずれも従来のワクチンを上回る効果が期待されているほか、今後の変異株にも効果がある可能性が高いとしています。
そのうえで、2つのワクチンの効果を比較するデータが現時点では確認できていないとしていて、その時接種できるオミクロン株対応ワクチンをできるだけ早く打ってほしいと呼びかけています。
これについて臨床ウイルス学が専門でワクチンに詳しい北里大学の中山哲夫 特任教授は次のように話しています。
「現在、主流となっている『BA.5』に対しては感染や発症を防ぐ効果は、今回のワクチンのほうが高いと思われる」

「『BA.1』と『BA.5』の違いは従来のウイルスとその後の変異ウイルスの違いと比べると大きなものではない。『BA.1』対応のワクチンでも重症化を防ぐ効果は十分期待できる。いま『BA.1』対応のワクチンを予約しているのならそれを接種すればいいのではないか。前回の接種から5か月たつころに『BA.5』対応のワクチンが実際に出回るなら『BA.5』対応のワクチンを接種すればいいだろう。接種できる機会を逃さずに接種するというのが基本だと思う」

Q.今後の接種スケジュールは?

オミクロン株に対応したワクチンの接種対象となるのは、従来のワクチンで2回目までを終えた12歳以上のすべての人で、前回の接種から少なくとも5か月以上経過していることが条件となります。
厚生労働省は、年内に接種の対象となる人数をおよそ7652万人と想定しています。

内訳は、60歳以上の高齢者が2188万人、12歳以上60歳未満の人が5464万人です。

厚生労働省は、ファイザー社の「BA.1」対応ワクチンと「BA.5」対応ワクチン、モデルナ社の「BA.1」対応ワクチン、合わせておよそ8000万回分を来月上旬にかけて自治体に配送する計画です。

このほか、モデルナ社の「BA.1」対応ワクチン500万回分が、今月17日から始まる職域接種のために確保されています。

年末年始に懸念される感染拡大に備え、厚生労働省は希望するすべての人に接種を行う方針を示していて、少なくとも5か月としている前回の接種からの間隔について、今月下旬にも短縮する方向で検討しています。