オオサンショウウオと外来種との交雑個体 広島で発見相次ぐ

国の特別天然記念物オオサンショウウオと中国原産の外来種との交雑個体が広島市で相次いで見つかり、市は生態系を乱すおそれがあるとして捕獲して隔離しています。今後も交雑個体の確認が増える見込みであることから、市は13日、捕獲したあとの扱いについて文化庁と協議することにしています。

“生態系を乱すおそれ” 文化庁と協議へ

広島市では、国の特別天然記念物オオサンショウウオと中国原産の外来種チュウゴクオオサンショウウオとの交雑個体がことし5月、市内の佐伯区の八幡川で初めて見つかって以降、これまでに数十個体が確認されています。

このまま交雑が進むと、日本固有のオオサンショウウオが絶滅するおそれがあるとして、市は広島大学などとともに交雑個体を捕獲して隔離していますが、すべてを捕獲できておらず、今後も交雑個体の確認が増える可能性が高くなっています。

オオサンショウウオの仲間は寿命が数十年と長く、飼育スペースや餌代などが課題となっていることから、市では捕獲した交雑個体の扱いについて13日、天然記念物を所管している文化庁と協議することにしています。

オオサンショウウオとチュウゴクオオサンショウウオの交雑個体は、京都府や三重県などでも確認されていて、交雑個体を駆除できるように「特定外来生物」に指定するよう求める意見が研究者から出されるなど対応をめぐって議論になっています。

交雑個体の捕獲と隔離 施設確保や費用が課題に

オオサンショウウオの仲間は寿命が数十年と長く、体長が1メートルほどになる個体もいて、飼育する場合には十分なスペースを確保する必要があるほか、餌代や水道代などもかかります。

自治体などでオオサンショウウオとチュウゴクオオサンショウウオの交雑個体を野外で捕獲して隔離するにしても、こうした課題が立ちはだかります。

三重県名張市では、平成22年に市内で初めて交雑個体が確認され、日本固有のオオサンショウウオとの交配が進まないように平成25年から捕獲した個体を隔離する取り組みを行っています。

交雑と判明した個体は、廃校となった小学校の25メートルのプールで飼育していますが、飼育数は現在、150匹余りになっていて、中には体長が1メートルほどの大型の個体もいます。
名張市によりますと、この10年間、毎年のように野外で交雑個体が見つかっているため、プールも過密になってきており、新たな施設の確保が急がれています。

また隔離と飼育に要する費用もかさんでいます。

交雑個体かどうかを調べるDNA鑑定などには1回1万円余りがかかるほか、餌として与える年間35キロの冷凍アジの費用や、1か月に2回入れ替えるプールの水道代などこの10年間で2500万円余りに上り、市の予算や国の補助金でまかなっているということです。
飼育を担当している名張市教育委員会の山崎雅樹係長は「交雑個体と分かれば、ずっと死ぬまで飼い続けることになる。この取り組みをやめてしまうと他の流域にも広がってしまい、生態系に影響が出てしまう。名張市だけの問題ではなく、他の市町村も関わる問題であり、国や県の事業として取り組んでほしい」と話していました。