【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(10月13日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる13日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

南部ヘルソン州知事 “州内の5集落を解放も 激しい戦闘続く”

南部ヘルソン州のヤヌシェビッチ知事は12日、SNSに「州内の5つの集落を解放した」と書き込み、一部の集落をロシア軍から奪還したとしています。

一方「ヘルソン州での状況は依然として厳しく、激しい戦闘が続いている。いったん解放した集落でも攻撃が続いている」としてロシア軍との攻防が続いていることを明らかにしています。

イラン ロシアの立場に一定の理解

カザフスタンで13日、中央アジアや中東などの首脳が集まる国際会議に出席したイランのライシ大統領は、ウクライナ情勢について直接的に言及はしなかったものの「NATO=北大西洋条約機構の拡大は地域の安定や安全保障を脅かす」と述べ、軍事侵攻に踏み切ったロシアの立場に、改めて一定の理解を示しました。

その上で、イランとロシアのいずれに対しても経済制裁を科しているアメリカを念頭に「世界の金融システムを人質にとって各国の富を略奪するいじめっ子は、信頼できるパートナーにはなりえない。地域の通貨を使い共通の金融システムをつくることが重要だ」と述べ、基軸通貨のドルを介さずに決済ができる経済圏を構築する必要性を訴えました。

イランとロシアの関係については、こうした経済的な協力に加え、軍事面での関係強化を欧米などが警戒しています。

特に、ウクライナ情勢をめぐっては、イラン政府は否定しているものの、兵器の不足に苦しむロシア軍がイランから調達した無人機を先月からウクライナへの攻撃に多用していると、ウクライナ政府などが指摘しています。

首脳会談 ロシア報道官 “和解議論せず”も 協議内容に関心

会談について、ロシア大統領府のペスコフ報道官は国営のロシア通信に対し、1時間半に及んだ会談で両首脳は、長時間、双方の外交団を退室させ、2人だけの会談を行ったとしています。

一方、ペスコフ報道官は「ロシアとウクライナの和解については議論しなかった」としています。

会談を前にトルコのメディアは、エルドアン大統領が、トルコの仲介で、ロシアと、アメリカやイギリスなど欧米各国が交渉を始めることを打診する可能性を伝えています。

両首脳が行った協議の内容に関心が集まっています。

首脳会談 エルドアン大統領「特別な話し合いに入る」

ロシアのプーチン大統領は、トルコのエルドアン大統領に対して会談の冒頭、天然ガスの供給を含めてエネルギー協力を一層進めていく考えを示しました。

そのうえで「あなたの尽力で、ウクライナの穀物を海外に輸出することが実現された」と述べ、仲介役を務めたエルドアン大統領に謝意を示しました。

一方で輸出された穀物について「残念ながら多くは発展途上国に届いていない」と述べ、ウクライナからの穀物の輸出先がヨーロッパなどに偏り、アフリカなどに届いていないと主張しました。

これに対してエルドアン大統領は、「イスタンブールで結んだ合意を前に進め、ロシアの穀物と肥料をトルコを通じて、発展途上国に届ける。最も貧しい国に届けることが大切だ」と応じ、ことし7月にウクライナとロシアが仲介役のトルコと国連を通じて合意した、穀物などの輸出に関する枠組みを発展させたいという考えを示しました。

そして最後に「トルコとロシアが話し合うことを不満に思う国もあるだろうが、これを進めよう。これから特別な話し合いに入る」と述べ、プーチン大統領と突っ込んだ話し合いを進めたいという考えを示しました。

ロシアとトルコ 首脳会談始まる

トルコ大統領府によりますと、ロシアのプーチン大統領とエルドアン大統領による首脳会談が、カザフスタンの首都アスタナで日本時間の13日夜、始まりました。

両首脳は、中央アジアや中東などの首脳が集まる国際会議に出席するため、カザフスタンを訪問しています。

ウクライナ情勢をめぐり、エルドアン大統領は、トルコの仲介で、ロシアと、アメリカやイギリスなど欧米各国が交渉を始めることを打診するとみられていて、プーチン大統領の対応が焦点です。

ロシア独立系メディア “ロシア側の死者など9万人超に”

ロシアの独立系メディア「バージニエ・イストーリイ」は12日、FSB=連邦保安庁の当局者などの話として、ウクライナの戦地でのロシア側の死者や行方不明者、それに大けがをして兵役につくことができない兵士が「9万人を超える」と伝えました。

ロシアのショイグ国防相は先月、プーチン政権が発表した予備役の動員を説明するとともに、ロシア軍の死者はこれまで5937人だと述べていますが、欧米側は、実際の被害はこれを大きく上回ると指摘しています。

13日未明 南部ミコライウに激しいミサイル攻撃 2人死亡5人不明

ウクライナでは13日も各地でロシア軍による攻撃が続き、このうち南部ミコライウ市では、未明に激しいミサイル攻撃がありました。

ウクライナの非常事態庁によりますと、この攻撃で5階建てのアパートに住んでいた2人が死亡し、5人の行方が分からなくなっているということです。

また、キーウ州の当局は13日朝、首都キーウの近郊で無人機による複数の攻撃があったと明らかにしました。

キーウへのミサイル攻撃 在日ウクライナ人男性 家族を心配

ロシアによる大規模なミサイル攻撃で、ウクライナの首都キーウ中心部の公園なども被害を受けたことについて、日本に住むウクライナ人の男性はキーウで暮らす家族たちを心配しています。

キーウ出身のボグダン・スルシンスキさんは、2018年に来日し、都内のIT企業でソフトウエアエンジニアとして働いています。

キーウには母親や祖母などが暮らしていて、ボグダンさんはビデオ通話やメッセージで、母親のナタリヤさんと連絡を取り合っています。

12日夜もナタリヤさんとビデオ通話をつなぎ、ミサイル攻撃を受けたときの町の様子や家族の状況について話を聞きました。
母親のナタリヤさんによりますと現地時間の10日午前8時半ごろ、車で職場に向かっていたところ、突然、爆音が鳴り響き、上空をミサイルが通過したといいます。

ナタリヤさんはそのまま職場の地下シェルターに避難し、半日を過ごしたということで、「大きな恐怖を感じた」とボグダンさんに伝えていました。

ボグダンさんは「母親のすぐ上をミサイルが飛んでいったと聞いてとてもショックを受けました」と話していました。

また、ボグダンさんがキーウで暮らしていたときによく訪れていたという公園がミサイル攻撃で被害を受けたことについては、「公園には子どもの遊具があるのを昔から目にしていました。なぜ遊具の近くにミサイルを撃ったのか。悲しいです」と話していました。

そのうえで「今回ロシア軍によるとんでもない砲撃があり日本にいるウクライナ人の仲間たちはみんな怒っています。早く戦争が終わって、キーウにいるお母さんたちに会いにいきたいです」と話していました。

英国防相 対空ミサイルをウクライナに供与の考え示す

ロイター通信によりますとロシアがウクライナ各地に大規模なミサイル攻撃を行ったことを受け、イギリスのウォレス国防相は、ウクライナに対し巡航ミサイルを撃ち落とす事ができる対空ミサイルを数週間以内に供与する考えを示しました。

イギリスは今後、さらにほかの種類の対空ミサイルやドローン、りゅう弾砲も追加で供与する予定だということです。

ウォレス国防相は「ロシアはウクライナの市民がいる地域に対し、無差別な攻撃を行った。国を守ろうとするウクライナに対してさらなる支援が必要だ」としています。

フランス レーダーや対空ミサイルなどをウクライナに提供へ

フランスのマクロン大統領は、12日に出演したフランスのテレビ番組で、「ここ数日起きていることはこの紛争の開始以来、これまでになかった局面だ。ウクライナの抵抗を支援する」と述べ、最新鋭のりゅう弾砲「カエサル」の追加供与とともにドローンやミサイルでの攻撃から守るため、レーダーや対空ミサイルなどを数週間以内に提供する考えを明らかにしました。

これは、11日にオンラインで開かれたG7=主要7か国の首脳による緊急会合のなかでウクライナのゼレンスキー大統領が各国に対して防空システムの支援を求めたことに応じた形です。

マクロン大統領は一方で、「これからもプーチン大統領と話し合いを続けるし、ある時点ですべての関係者がテーブルを囲む必要がある」とも述べ、停戦協議の重要性も強調しました。

ゼレンスキー大統領 防空能力増強のための支援を要請

ウクライナのゼレンスキー大統領は12日に公開した動画で、「ロシアによるテロが大胆で残虐になるほどウクライナの防空体制を支援することがヨーロッパにとって最も重要な人道的な任務の1つであることがより明白になる」と述べ、各国に対して防空能力を増強するための支援を要請しました。

そしてウクライナ空軍が、ウクライナ南部でロシアの攻撃ヘリコプター4機とイラン製のドローン10機以上を撃墜したと明らかにしたうえで、「前線の周辺地域では厳しい状況が続いている」と述べました。

さらにゼレンスキー大統領は世界銀行とIMF=国際通貨基金の会議にオンラインで参加し、「ロシアによる軍事侵攻で国内経済が3分の1以上落ち込んでいる」としたうえで、ロシアによる攻撃で破壊された学校や病院、エネルギー施設などの修復のために170億ドル、日本円にしておよそ2兆5000億円が必要だと訴えるなど、経済的な支援を強く求めました。

ウクライナ 原子力公社 “ザポリージャ原発への電力供給復旧”

ウクライナの原子力発電公社エネルゴアトムは12日、変電所がロシア軍のミサイル攻撃を受けたことで電力供給が失われていたザポリージャ原子力発電所について、ほかの変電所からの送電に切り替えるなどして電力供給を復旧させたと発表しました。

ウクライナのザポリージャ原発は、ロシア軍によるミサイル攻撃で原発に電力を供給する変電所が被害を受けたため現地時間の12日午前9時ごろから電力供給が失われ、非常用のディーゼル発電機を稼働させて原子炉の冷却機能を維持してきました。

こうした中、エネルゴアトムは現地時間の12日午後5時すぎ、ほかの変電所からの送電に切り替える作業を行うなどして原発への電力供給を復旧させたと発表しました。

エネルゴアトムは「なんとか事態の悪化を回避できたが、ロシア軍はヨーロッパ最大規模の原発やエネルギー関連のインフラ施設への攻撃を続けていて、世界はますます原子力災害の危機に近づいている」と重ねてロシアを非難しています。

ウクライナ ドネツク州知事 “市場にロシア軍の砲撃 7人死亡”

ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事は12日、州内の市場にロシア軍の砲撃があり少なくとも7人が死亡し、8人がけがをしたとSNSで明らかにしました。

キリレンコ知事は当時、市場には多くの人がいたとしたうえで「このような砲撃には軍事的な道理は何もない」とロシア軍を強く批判しました。

また、住民に対してドネツク州から避難するよう改めて呼びかけました。

ウクライナ大統領府 “大規模ミサイル攻撃で市民14人死亡”

ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官は12日、SNSに投稿し、11日にロシア軍が行ったウクライナの複数の都市に対する大規模なミサイル攻撃で、市民14人が死亡し、34人がけがをしたと明らかにしました。

また、別の投稿では10日のロシア軍の攻撃で市民23人が死亡し100人がけがをしたと明らかにしていて、2日間を合わせた数は、死者が37人、けが人が134人にのぼっています。

英情報機関「ロシア軍 補給と弾薬が枯渇し始め 兵が疲弊」

イギリスの情報機関GCHQ=政府通信本部のトップを務めるジェレミー・フレミング氏は11日、ロンドンで講演し、ウクライナへの侵攻を続けるロシア軍について「兵力と装備面で、驚くほどの損害が出ている。補給と弾薬が枯渇し始め、兵が疲弊していることを、われわれもロシア軍の指揮官たちも知っている。兵力を服役囚で補充したり、戦闘経験の浅い人を何万人も徴兵したりしていることが、絶望的な状況を物語っている」と述べました。

そのうえで「ロシア国民も、プーチン大統領による状況判断のひどい誤りに気付き始めている。徴兵から逃れようとしても、自由に移動できない。近代的なテクノロジーや国外の情報に触れることが大幅に制限されている。そして、彼が選んだ戦争によってどれほど大きな人的損害がもたらされたか実感している」と指摘しました。

また、フレミング氏はこの日、公共放送BBCのラジオ番組でロシアによる核兵器の使用の可能性について「今のところわれわれが理解する基本原則の内側にとどまっている。もしその道を選んだ場合、兆候が覚知できることを望む」と述べ、今のところ核兵器の使用を示す具体的な情報はないとしました。