「Go Toトラベル」事業停止の補償費用 2億円余が対象外か

新型コロナウイルスの感染拡大で「Go Toトラベル」の事業を一時停止した際、国が行ったキャンセル分の補償のうち2億円余りが補償の対象外だった疑いのあることが会計検査院の検査で分かりました。

おととし7月から始まった「Go Toトラベル」は、緊急事態宣言の発令などを受けて、おととし11月以降、複数回にわたって事業を一時停止していて、国は旅行のキャンセルに伴う費用の一部を補償しました。

これまでに、旅行業者などで作る事務局を通じて1300億円余りが旅行会社や旅館などに支払われていますが、会計検査院が、申請件数が多かった11社の記録を検査したところ、事業の停止前にキャンセルされていた旅行など補償の対象外のものに、およそ3000万円が支払われていたことが分かりました。

さらに、令和3年度末までに補償を行った400万件余りすべてについて日付などを照合したところ、このほかにおよそ9100件、1億8700万円が対象外の疑いがあることが分かったということです。

観光庁は、以前、事務局が行った抽出調査で、対象外の補償が500件余り見つかったという報告を受けていたのに、それ以上の調査を指示していなかったということです。

会計検査院は、観光庁に対して改めて事務局に調査するよう指示し、対象外と確認されたものについて返還させるよう求めました。

観光庁は「指摘を重く受け止め、支払金額の多い会社から優先的に確認し、対象外のものについては返還を求めます」としています。

農家支援の交付金 5800万円余が過大支給か

新型コロナウイルスの影響を受けた農家を支援する国の交付金について、会計検査院が調べたところ、売り上げが減っていない農家などに5800万円余りが過大に支給されていたことが分かりました。

この交付金は新型コロナウイルスの影響で売り上げが減った野菜や花、果物などの農家が、生産体制を強化して販路の拡大に取り組む場合に国から支給されるもので、会計検査院は令和2年度の支給額の半分余りにあたるおよそ530億円分について検査しました。

その結果、37の事業実施主体に5800万円余りが過大に支給されていたことが分かったということです。

このうち岩手県の農業再生協議会では、前の年の売り上げを誤って算出し、売り上げが減っていない農家に600万円余りが支給されていました。

会計検査院は、農林水産省に対して、過大に支給された交付金の返還手続きを求めるとともに、事業実施主体に事後のチェックを促すなどの改善を要求しました。

農林水産省は「速やかに返還措置を取るとともに点検を行います」などとしています。