ロシアの一方的な「4州併合」で国連の緊急特別会合始まる

ロシアがウクライナの4つの州を一方的に併合するとしたことについて、ロシアを非難し即時撤回などを求める決議案を話し合う国連総会の緊急特別会合が始まりました。欧米各国としては賛成多数で決議を採択し、ロシアに圧力をかけたい考えです。

国連総会の緊急特別会合は10日、アメリカ・ニューヨークの国連本部で始まりました。

決議案は、ロシアがウクライナの東部や南部の4つの州を一方的に併合するとしたことについて、国際法違反だと非難したうえで、ロシアに対し一連の決定を即時撤回し、ウクライナから軍を撤退させるよう求めています。

会合では、はじめにウクライナのキスリツァ国連大使が「ロシアが恐れる唯一のことは、国連憲章を守りすべての国の権利を守るため、われわれが強く団結することだ」と述べ、採決で賛成するよう求めると議場から拍手が起きました。

これに対しロシアのネベンジャ国連大使は「住民の選択はロシアとの未来を支持するもので、われわれはそれを尊重する」と述べ、正当化しました。

このあと演説した欧米をはじめ各国からは、一方的な併合はウクライナの主権と領土の侵害であり認めてはならないという意見や、ロシア軍によるウクライナ各地への大規模なミサイル攻撃を非難する意見が相次ぎました。

会合は12日に再開され、各国の演説のあと決議案の採決が行われる予定で、欧米各国としては賛成多数で採択し、ロシアに圧力をかけたい考えです。

各国がロシア非難 ロシアは「欧米側に原因」

ウクライナ情勢をめぐる国連総会の緊急特別会合では10日、およそ20か国が演説し、多くの国がロシアによる大規模なミサイル攻撃を非難しました。

このうちイギリスのウッドワード国連大使は「けさ、ロシアはウクライナの民間地域と民間施設に対して、この戦争で最大規模の砲撃を行った」と指摘し、民間人が犠牲となったロシアの攻撃を批判しました。

また、ロシアとウクライナの仲介役を務めてきたトルコのシニリオール国連大使も「全世界が戦争の終結を呼びかけるなか、私たちは再び衝撃的なニュースで目を覚ました。市民が死傷したロシアの攻撃は深く憂慮すべきであり、容認できない」と非難しました。

一方、ロシアのネベンジャ国連大使は、ウクライナ南部のクリミアとロシアをつなぐ橋で起きた爆発はウクライナ側による破壊工作だとしたうえで「ウクライナ側と、戦争をするようしむけた欧米側に、われわれの報復措置の原因がある」と主張しました。